これをいうとどこの州で働いているかが、わかる人にはわかってしまいますが、私の州は、数年ほど前に、ある奨学金プログラムを作りました。
その奨学金には、いくつか特筆すべき点があるのですが、まず1つめ特徴としては、税金が財源ではないということです。多くの州は、公営の宝くじを持っているのですが、自分の州は、その収益をこの奨学金プログラムに回しています。一般的にLottery Scholarshipとして知られている奨学金プログラムです。
そして2つめの特徴として、この奨学金は給与であり、学生は返還の必要性はありません。日本ではローンが奨学金の別名みたいになっていますが、個人的にはローンと奨学金は違うと思うんですよね。ローンはある意味学費の後払いですから、Scholarshipではなく、Deferred Paymentの部類に入ると個人的には思います。
話がそれましたが、そして、3つめに、奨学金の給付条件として、州内の高校を卒業し、高校卒業時のGPAが3.0であること、もしくは、ACTのスコアが21以上であること、そして高校を卒業してから15ヶ月以内に州内の大学に入学することとなっているのですが、それをクリアすれば、無条件で奨学金が給与されます。4年制の大学ならば約4000ドル、コミュニティカレッジならば約2000ドルが、年間で支給されます。ただし、大学のGPAが2.75を切ると、その奨学金資格は剥奪されます。
なぜこの話をしているかというと、先日、議会で教育関連の委員会がありました。その時の一つの議論が、この奨学金プログラムは、本来の目的を果たしているのかどうか、という内容だったわけです。それに関して自分の上司が答弁をしなければならなかったので、その答弁の準備にここ数日間取り組んでいました。
自分は委員会には傍聴者として参加したのですが、政治家=政策決定者の考え方を知る上で非常に勉強になりました。委員会に入っている議員と言うのは、大学教育政策の素人が大半です。従って、聞いてくる質問も単純なものが多かったのですが、しかし、素人だからこそできる大胆な、しかしよく考えれば的を得た質問がたまに飛んできて、それは非常に考えさせられました。
最も、自分達もそういう質問を予測して答弁を作成するわけですが、今回は以下の質問を想定していました。
①Lottery Scholarship以降、大学に通う学生数は増えたのか?
回答: 州全体として学生数は特に増えていないが、より多くの割合の学生が4年制大学に通うようになるなど、学生の進学パターンに変化が見られた。
②Lottery Scholarshipによって、学力のある学生をより多く州内に引き止めることができたか?
回答: 州の旗艦大学には、州内からより学力のある学生が来るようになった。一方で州の外に出て行く学生数は多少減少した。他の大学は変化なし。
③Lottery Scholarshipによって、学生数が増えた結果、大学のキャパシティは今後大丈夫か?
回答:今後10年間は大丈夫と思われる。
簡単に言うとこんな感じなのですが、それ以外にある議員からはこんな質問が飛んできました。
①Lottery Scholarshipをもらうことができる学生と言うのは、大体金持ちの家族で育った学生が多いのであり、彼らは別に奨学金がなくても大学に通うことができる。本当に奨学金が必要なのは、貧しい家庭から来る学生であるはずなのに、この奨学金はそういう人たちを助けないで、もともと助ける必要がない人に向けられている。それに関してどう思うか?
確かに、この議員の言っていることはもっともです。Lottery Scholarshipについての議論の際、いつもこの類のコメントが必ずでてきます。実際、うちの州においては、約4分の1のLottery Scholarshipの受給者が年収1000万円以上の家庭から来ています。
しかし、Lottery Scholarshipというものは、多少他の奨学金プログラムと異なるタイプの奨学金であると言うことを理解する必要があります。
ちょっと長くなってきたので、続きはまた今度に・・・。