企画書をわかりやすく書くために重要なポイント
以前あるトップ営業マンの方から成功の秘訣を聞きました。
その人がまだ30才くらいのとき、銀行で融資を担当しており、経営者層の人たちに対して営業周りをしていたときのことです。彼は今でも童顔で、一見すると10才は若く見えます。そんな駆け出しの若造がノコノコやってきても、説明をじっくり受けてくれるような経営者はいませんでした。会ってもみなソファーにふんぞり返って座り、時間をつぶしにきたというような人ばかりでした。
そこでその人は同僚と競い合い、そのふんぞり返った人たちの姿勢を、プレゼンを始めて何分で前のめりにさせるか、知恵を出し合ったそうです。
その人のやり方はこうでした。
「博多はいいところですよねー。私すごく好きなんですよ。「ハカタ」の語源は、大鳥が羽を広げたような地形から「羽形」、海外へ出る船の停泊する潟から「泊潟」、射た鶴の羽が落ちたとして「羽片」といろいろありますよね。
最初にその地域の話をしました。これは相手が博多の企業であったときの話です。
「それから、明治には川上音二郎のような文化人が出ましたし、昭和にはあの『ブラジレイロ』という喫茶店が文学サロンとして有名になって、火野葦平とか夢野久作のような人がきたそうですよね。」
(この内容ははっきり私自身覚えていなかったのでWikipedia
を参照してはりつけたものですが、本人から聞いたときにはもっともらしい話でした)
当然相手は「博多」といえば自分の地元であって、ある程度詳しいつもりでいるものの、この若造は自分よりも詳しいから「こいつはただものじゃないかもしれない、話を聞いておく価値がある」と思うそうです。
最初にこういう話をすると、ソファーにふんぞり返って座っていた人も、たいてい5分で前のめりになってきたそうです。
こうして相手の心をつかんだら、商品説明については相手よりもちろん詳しいですから、じっくりと説明ができたということでした。
また、プレゼンのときに、相手の業界の話をするときにはこうしたそうです。
だれも知らなそうな○○論の図表を持ってきて、「これは○○論の図表ですが当然知ってますよね?」という調子でさも当然であるかのように話しました。するとみな平然とした顔をしながら、じっくりと話を聞いていたとのことでした。プレゼンの少し前にどっかの雑誌から引っ張ってきただけの図表らしいんですけどね
相手が経営者という立場なので、体面上「なにかわからないことがあってもその場で部下に確認したりしたら恥ずかしい」という心理をたくみについた方法で、「相手の知っていそうな分野で、だれも知らなそうなことを事前に調べておいて、当然知っているかのように話す」というコツでした。
この話から、経営者のように頭の切れる人であっても、
「自分の専門以外はたいして知らない人が多い」
(専門といってもたいして知らない)
ということが言えるんじゃないかなと思います。
もちろんその人の専門ど真ん中に甘い球を投げたらいとも簡単にスタンドまでもっていかれてしまいます。けれど、ほとんどの人はそれが専門でないことが多いし、専門であっても、ちょっとした変化球が来たら普通はヒットを打つのも難しい。
だれでも、自分の専門でもなければ、ホントは易しく、深く考え込まずに知りたいのだと思います。
だから企画書を書くときや、なにか説明をするとき、始めて見たり聞いたりする人でもわかるように、わかりやすくすること。これを肝に命じるようにしています。
「これくらい当然知っているだろう」 ← 案外知りません。ホントに。
それを相手のプライドに触らないように、わかりやすく、見やすく表現。当然知っているはずの前提も書いておきます。
企画書はプレゼンした相手には内容が通じても、お金の決裁権のある人に渡る際に、紙だけ一人歩きすることも多々あります。それを考えたら、それだけ読んでも内容が通じるように。とても面倒なことではありますが。
「さおだけ屋はなぜつぶれないのか」という本がベストセラーになったことがありますが、小難しい会計学について、素人でも興味を持てるよう日常生活の疑問を引用しながらわかりやすく書いた本でした。
任天堂Wiiが大ヒットしたのは、ゲームが取っつきにくくて入り込めない層にも、わかりやすくゲームの本質的なおもしろさと楽しみ方を伝えたからだと思います。
本質的に理解していないとわかりやすく書けない。
相手のことを思わないと相手にとって難しくなってしまう。
こんなことを閑雅ながら、企画書は「相手は全然知らない」と思ってわかりやすく書こう。
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