「東京国際アニメフェアの歩みとこれから」CEDEC2008
[ゲームの中のアニメビジネス]
9月11日、東京・世田谷の昭和女子大で、ゲーム開発者のためのコンファレンスCESAデベロッパーズカンファレンス(CEDEC)2008が3日間の予定で始まった。開催初日には東京国際アニメフェア実行委員会のチーフプロデューサー鈴木仁氏によ
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9月11日、東京・世田谷の昭和女子大で、ゲーム開発者のためのコンファレンスCESAデベロッパーズカンファレンス(CEDEC)2008が3日間の予定で始まった。開催初日には東京国際アニメフェア実行委員会のチーフプロデューサー鈴木仁氏による講演「東京国際アニメフェアの歩みとこれから~TAF10周年に向けて~」も行われた。
一見、ゲーム開発と無関係なアニメビジネスの企画だが、これはゲームとアニメのビジネス面やテクノロジー面での接近を念頭に置いた主催者CEDECの方針である。ゲームの場にも、アニメの存在を知らしめるものである。現状では、両者の人材面でのつながりは必ずしも大きくないが、今後は次第に活発になってくると考えられるからだ。
この日の講演会は、主に東京国際アニメフェア(TAF)の機能とその成長の紹介、そして今後の方向性という構成だった。TAFの紹介では様々な数字を基に、過去7年間のTAFの成長ぶりや、機能の充実などが語られた。
TAFの運営は様々な問題が指摘されることもあるが、7年間という短期間での規模と質の面での拡大は、他の多くのコンテンツ関連のビジネスイベントのなかでも高く評価されていいだろう。
[明確な目標設定が成功の秘密]
今回の話からは、こうした成功はアニメが国際市場にアピールするコンテンツであることを重視した、海外向けのセールスプロモーションを行っていることの成果であることが分かる。また同様に、人材育成という目標を掲げ、拡大、成功するクリエイターズワールドの存在もある。
いずれも、TAFが国際市場の中のアニメ、新しい才能の発掘という明確な目標を設定し、それに向かった動いた結果の成功といえる。
また今回は、特にTAFの国際アニメフェアというポジション、そして消費者向け(B2C)よりも企業同士(B2B)を重視していることが強調されていた。コンシュマー向けのアニメーションイベントは世界各地に多いが、ビジネス向けのイベントは数が少ないからだ。
実際に鈴木氏は、ライバルと考えているイベントに、フランスの国際的な番組見本市MIPTVと国際アニメーションフェアと見本市を併設するアヌシー国際アニメーションフェスティバルに言及した。この二つの名前を並べることで、TAFの目指している場所も明らかだ。
[2009年は海外バイヤー、欧米からの出展を増加目指す]
こうしたビジネス機能の強化を前提に、今回はおよそ半年後に開催が迫るTAF2009の方針にも触れた。鈴木氏は、過去最大の来場者となり、財政も黒字となった2008年のTAFを及第点とする。そのうえで、これをスタンダートに2009年はさらに優れたイベントにしたいという。
具体的には国際見本市の基盤となる海外からのバイヤーと来場者の増加である。これに合わせて2009年は、欧米からの出展企業の増加を目指す。鈴木氏によれば、アジアの企業やバイヤーは既にTAFに必ず来るようになっているから、次は欧米だという。
しかし、米国企業の出展は、現地のアニメDVDの失速などから過去数年で激減したという経緯がある。現時点ではかなりハードルが高い目標だと思われる。それでも、もし実現すれば日本から海外という一方向のビジネスが多いTAFに、逆方向の流れも生まれる。TAFを飛躍的に拡大する機会になる可能性がある。
また、毎年行われ、年々開催コマ数が増えているシンポジウムについては、現在の百数十名規模の特設シアターでは不十分かもしれないとした。
そのうえで来年は、シンポジウムの開催場所が会議場棟に移る可能性があると述べた。ここでも、ビジネス機能強化の方向性が感じられた。
全体の話は、このほかにも人材育成や2011年に開催される10周年に向けた動き、さらに東京アニメアワードのグレードのさらなる引き上げなど様々な分野に及んだ。
それでも大きな流れでは、東京の地場産業であるアニメ産業の振興、そのためのビジネス機能の強化が印象深いものであった。
CESAデベロッパーズカンファレンス2008 /http://cedec.cesa.or.jp/
東京国際アニメフェア2009公式サイト /http://www.tokyoanime.jp/ja/