キヤノンから8月末に発売されたハイアマチュア向けの一眼レフカメラ「EOS 40D」(関連記事)。同製品および、同時発表された低価格な光学式手ぶれ補正(IS)付きズームレンズの開発/企画に携わったメンバーに話をうかがう機会を得た。
「価値の高い製品」を求める団塊世代がターゲット
── EOS 40Dの基本コンセプトやターゲットについて教えてください。
戸倉 EOS 40Dはハイアマチュア層に訴求できる「カメラとしてのコア機能」を強化した製品となります。コア機能というのは、EOSの基本コンセプトである「快速・快適・高画質」の3本柱を支えるものです。EOS 40Dでは、そのすべての性能をアップさせることに取り組みました。
── ラインナップ的にはエントリークラスの「EOS Kiss Digital X」と、フルサイズセンサー搭載の「EOS 5D」にはさまれる形となりますが。すみ分けは?
戸倉 フルサイズセンサーで究極の高画質に魅力を感じられるお客さまはEOS 5Dを。一方、APS-Cサイズで高画質、小型、高速の性能バランスに魅力を感じる方には、EOS 40Dをお勧めできると思いますね。
── EOS 40Dは、APS-Cサイズの中では最上位機ですが、フラッグシップという打ち出し方ではないですね。
戸倉 開発ターゲットは基本的に団塊世代に向けたものです。趣味として本格的に写真を楽しみたいという方を想定しています。比率としてはアマチュア層が多くなるとは思いますが、実際にはプロのサブ機として使われる方も多いようです(関連記事)。もちろんEOS Kiss Digitalからステップアップされた方もいらっしゃいます。幅広いユーザー層に使っていただいていますね。
EOS 30Dをゼロから一新した機種
── 進化ポイントについて聞かせていただけないでしょうか。
戸倉 EOS 40Dの「快速・快適・高画質」のコンセプトに沿って説明します。基本的にすべての性能を強化させるというコンセプトなので、項目的には多くなってきます。
まず高画質に関しては、画素数のアップと新エンジンで高画質化を図りました。快速という点では「コマ速」ですね。クラス最高の毎秒6.5コマを実現する。それからAFの進化もあります。
快適の部分に関しては、ファインダーのスペックアップを図っていますね。新しい撮影スタイルということでライブビューも搭載しましたし、撮像素子に付着したゴミを振動で落とす仕組みも装備しています。
── EOS 30Dも完成度の高い機種という印象がありました。EOS 40Dは全体的なスペックの底上げを行ない、さらに高い次元での完成度を目指した機種ということでしょうか。
戸倉 「EOS 30D」を開発した際には、「EOS 20D」をベースに時代に合わせた改良を加えるという側面が強くありました。一方、EOS 40Dでは、メカニカルの部分も含めた全面的な見直しを行なっています。その意味では「底上げ」というよりは「完全にベースが違っている」と言ったほうがいいでしょうね。