Windows 7は標準で、地上デジタル放送(以下地デジ)対応機能を搭載している。Windows Vistaの際は、別途「Windows Media Center TV Pack」を導入したり、サードパーティーが独自に開発したソフトウェアを使うことで、地デジに対応していたのとは大違いだ。
そこで今回は、Windows 7での地デジ環境がどうなるかを解説しよう。今回は(株)アイ・オー・データ機器のPCIカード型地デジチューナー「GV-MVP/HX2」、Windows 7用のドライバー、地デジ視聴・録画ソフト「mAgicTV Digital」、DTCP-IP対応のLAN HDD(NAS)「HVL1-G」、DTCP-IP対応のネットワークメディアプレーヤー「AV-LS500VX」を試用してテストしている。
Media Centerか? 独自のTVソフトか?
Windowsには、Vistaから「Windows Media Center」(以下Media Center)というメディアアプリケーション向けの統合ユーザーインタフェースが搭載されている。アナログテレビの視聴・録画や、前述のTV Packによる地デジ視聴・録画もこれで行なう。そのためWindows 7では、テレビ視聴や録画はMedia Centerに統合され、サードパーティー製の地デジ視聴・録画ソフトはなくなるのか、と思っていた。しかし現実には、Media Centerとサードパーティー製ソフトの2本立てとなっている。
なによりも面倒なのは、Media Centerは専用の地デジチューナーカードを使う必要があることだ。そのため、ひとつの地デジチューナーを使い、Media Centerでも独自ソフト環境でも利用できるというわけではない。Media Center用の地デジチューナーカードを導入すると、それはMedia Centerでしか使用できない。
アイ・オー・データがVista用に発売していた地デジチューナーカードも、Windows 7用のドライバーソフトやmAgicTVの対応版を導入することで、Windows 7環境で利用できる。しかし、この場合は、アイ・オー・データのmAgicTV環境でしか利用できない。
Media Centerと独自TVソフトのどちらが使いやすいかは、一概には言いにくい。ただ、利用シーンの違いはある。Media Centerはテレビと同じように、リモコンで操作したり、録画したテレビを見たりするという受け身的な使い方だ。
サードパーティーの独自TVソフトは、パソコンで何か作業をしながら、デスクトップの端にテレビを小さく表示するといった使い方ができる。筆者は独自TVソフトの方が、多彩な機能があって使いやすいと思う。Media Centerは、Media Centerのウインドウ内ですべての機能を実現しているが、独自TVソフトでは複数のウインドウで、テレビ画面や番組表を表示する。仕事をしながらやネットサーフィンをしながらといった場合は、独自TVソフトの方が使いやすいだろう。
残念なのは、独自TVソフトを利用した場合は、Vistaと同じように画面がWindows 7 Basicに切り替わってしまうことだ。どうにかして独自TVソフトでも、Aero環境のまま使えるようにしてほしかった。いちいち、画面モードが切り替わるのは、どうしても違和感がある。
なお、アイ・オー・データの地デジチューナーは、Windows 7の32bit/64bit版の両方に対応している。Windows 7で64bit環境に移行しようと考えているユーザーにとってはありがたい。もちろん、すでに発売された地デジチューナーも32bit/64bit用のドライバーソフトがリリースされているため、Vista版を使っていたユーザーもWindows 7の64bit環境に移行できるだろう。
また、同社のMedia Center用地デジチューナーカード「GV-MC7/VS」「同VZ」には、DTCP-IP対応のDLNAサーバーソフトや、BDへの録画番組書き込みプラグインが付属している。そのため、これらのチューナーならMedia Centerでも、mAgicTV環境とほぼ同じ機能を実現できる(番組表は無理だが)。
この連載の記事
-
第50回
PC
次期IE「Internet Explorer 10」プレビュー版が公開 -
第49回
PC
RTM版も登場 Windows Home Server 2011の変更点とは -
第48回
PC
5秒で起動するSplashtop OSを自作パソコンで試す -
第47回
PC
ベンチで検証 Internet Explorer 9 RCの互換性と性能 -
第46回
PC
正式版の直前となるInternet Explorer 9 RC版が登場 -
第45回
PC
Silverlightをさらに進化させる「Silverlight 5」 -
第44回
PC
「Windows on ARM」が持つ意味と課題は何か? -
第43回
PC
GPUを利用できる仮想化ソフト XenClient 実践編 -
第42回
PC
複数のWindowsを使い分ける仮想化ソフト XenClient -
第41回
PC
3秒で起動しWindowsと共存するOS「Splashtop OS」 -
第40回
PC
最新版「PP7」に見るIE9の性能と互換性の高さ - この連載の一覧へ