フルタワーやミドルタワーのケースを用いた自作PCに利用するマザーボード規格は「ATX」である。拡張性が高く、ハイエンドCPUに対応する電源回路を搭載するなど、スペックを重視した構成で使われるマザーだ。ATXをひと周りコンパクトにしたものがMicro ATX規格で、こちらは小型ケースを用いたコンパクトなPCを自作するのによく用いられる。マザーボードの規格はこの2つが主流である。
そして、Micro ATXよりもさらに小さいマザーボード規格として「Mini-ITX」が存在する。そのサイズは170mm×170mmで、面積はATXマザーボードの約1/2.5という小ささだ。Mini-ITXマザーボードを使えば、ぱっと見にはPCには見えないような小型マシンが自作可能になる。この規格は組み込み機器向けとして設計されたものだが、日本人は小さいもの好きなこともあり、古くは組み込み向けの工業用マザーボードが少数ながら流通していた。それが次第に認知され、日本市場向けに自作用Mini-ITXマザーボードが販売されるようになった。Mini-ITXマザーボードは、ベアボーンキットやCPUをあらかじめ組み込んだセット品が多かったが、最近ではマザーボード単体販売も増え、さまざまなCPUと組み合わせての自作が可能になってきている。
Mini-ITXマザーボードと小型ケースを使った自作は、サブマシン用途として人気が高い。だが、最近のMini-ITXマザーボードはCPUの制限もさほど厳しくなく、さらにPCI Express x16スロットを装備する製品も増えたため、その気になれば3Dゲーム向けのミドルレンジクラスのPCも十分可能だ。ローコストのサブマシンを目指すもよし、超小型3Dゲームマシンを作るもよしと、Mini-ITXには自作ユーザーの心を駆り立てるロマンがあるといっても過言ではない。
今回はそんなMini-ITXマザーボードを使ったスペック重視の自作を、全3回にわたり紹介していこう。
小さいことはいいことだ!
今自作するなら、Mini-ITXが熱い!
今、Mini-ITX自作を取り上げる理由は、マザーボードの種類が増え選択肢が大幅に増えたことにある。かつてはベアボーンやCPU組み込み済みの製品が主流で、価格も割高感があったのだが、最近はATXマザーボード同様に好きなCPUを組み合わせて使えるマザーボード単体製品が増えた。これにより自作の自由度が大幅にアップし、パーツの選び方次第では、メインPCとして十分使えるスペックも可能になった。また、マザーボード価格の割高感がなくなり、コストパフォーマンスがよくなったのも理由の1つである。
小型PCに潜む思わぬ落とし穴
パーツ選びで失敗しないための注意点
Mini-ITXは、ATXやMicro ATX以上にパーツ選びに制限がある。小型サイズを活かして超コンパクトPCを目指すのなら、ケースもなるべく小さいものを選びたくなるものだ。だが、Mini-ITXマザーと小型ケースで実際に組んでみようとすると、使おうとおもったパーツが使えなかったり、パーツがケースに収まらない事態に陥ることがよくある。そうならないよう、次ページ以降、Mini-ITXを使った自作の注意点を紹介していこう。
- CPUクーラーのサイズ
- メモリの規格
- 拡張スロットの規格(転送速度)
- 拡張カードのサイズ
- ドライブベイの種類と数
- 電源容量
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