先日「次世代iPhoneにインセル型タッチパネルが使われる可能性がある」という噂が流れた。今回のキーワードは、このインセル型タッチパネルと、NVIDIAが開発したタッチパネルをより快適にする技術「NVIDIA Direct Touch」を取り上げよう。
より薄く、より美しく表示できる
インセル型タッチパネル
現在普及しているタッチパネルは、液晶パネルと組み合わせて利用する外付け型だ。タッチセンサー部は液晶パネルと別部品になっている。一方でインセル型は、液晶パネルの中にタッチセンサーを組み込んだ構造になっており、パネル全体の薄型に寄与する。
iPhone以降の携帯機器では、「投影型静電容量方式」タッチパネルの利用が増えた。投影型静電容量方式は、縦方向と横方向に並べられた2つの透明電極のそばを指が触れることで、電極間の静電容量が変化することを利用して、タッチ位置を知る仕組みだ。カバーガラスと液晶パネルの間にタッチパネルが入るので、反射が発生したり、透過率が下がる問題もある。またタッチセンサーパネルの分厚みが増す。
インセル型タッチパネルの場合、液晶パネルの構造部品の中にタッチセンサー配線があるので、反射や厚みの問題がない。ただし、今までは「良品率が低い」という問題があり、先のニュースはその問題が改善したため採用するということのようだ。
iPhoneで使われるかどうかはともかく、ソニーはインセル型タッチパネル技術「Pixel Eyes」を使用した液晶パネル「ACX433BLN」を半導体最新技術情報誌「CX-PAL」で紹介している。それによると、インセル型タッチパネルを採用することで、表示パネル部全体の厚みを0.4~0.9mm薄くできるという。
表面保護ガラスで人気の高いのは、コーニング社の「Gorilla」ガラスだが、同社は1月に開催された展示会「International CES 2012」にて、次世代製品「Gorilla Glass 2」は8割の厚さで現行製品並みの強度を確保できる、というデモを行なっていた。スマホは新技術でさらに薄くできそうだ。
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