PCでの音楽再生を格段にグレードアップするPC用スピーカー特集もこれで最終回。今回は、さらに一歩ステップアップした高音質再生の楽しみ方と、PC音源のサラウンド化をガイドしていく。まずは、前回取り上げたアクティブ型スピーカーのグレードアップだ。
アクティブ型スピーカーは、スピーカーに合わせた設計のアンプを内蔵できることなど音質面でもメリットが大きい。しかし、PCとアナログ接続をするとなると、PC内で発生するノイズの影響を受けやすく、S/N感に差が出やすい。
これを回避するには、USB接続などでノイズに強いデジタル信号のままPCから信号を取り出し、アナログ信号に変換してやることが一番効果がある。
PCからデジタル信号を取り出す方法としては、光デジタル出力などを持つサウンドボードを追加するものもあるが、現在ならばUSB接続可能なDAC(D/Aコンバーター)を使うのが選択肢も大きく、おすすめだ。
大きく分けて4タイプ! USB DACの選び方
USB DACはPCオーディオでは重要度の高い機器ということもあり、各社からさまざまなモデルが発売されている。オーディオ機器だからそれぞれに音質の違いもあり、好みの音のモデルを探す楽しみも含めて選択肢が広いのはいいことだ。
だが、気をつけなければならないのが、対応するサンプリング周波数と量子化ビット数。現在ならば、USB DACを導入するならば当然ハイレゾ音源も視野に入れて考える人が多いだろう(ハイレゾ音源って何? という方はこちらも参照いただきたい)。その意味でも、対応するサンプリング周波数と量子化ビット数はきちんと確認しておきたい。
USB DACを対応するデジタル信号別に分類すると、4つのタイプに分けられる。
1つはサンプリング周波数が48kHzまで対応のもの。さすがに現行の単体USB DACで48kHzまで、というモデルはないが、USB DAC内蔵スピーカーなどには多い。手軽さを優先する人には向いているだろう。
2つ目は、サンプリング周波数が96kHzまでに対応するもの。ここまではWindowsの場合、汎用のサウンドドライバーで使用できるので、ドライバーのインストールなどの設定が不要という簡単さもある。音楽配信サービスの楽曲を見ていても、その多くは96kHz収録のものが多く、192kHz収録版がある曲でも96kHz版も用意されていることが少なくないので、実用上では大きな差はない。
3つ目はサンプリング周波数が192kHzに対応するもの。こちらは専用ドライバーのインストールが必要になり、多少手間がかかってくる。機能的には最高レベルになるので、製品の価格もおよそ5万円前後かそれ以上と、少々高め。サンプリング周波数については、384kHzなどさらに高いサンプリングレートに対応する高級機もあるが、まだ384kHz収録の楽曲はないので、あまり気にする必要はないだろう。
そして4つ目は、192kHzまでのサンプリング周波数対応に加えて、DSD音源に対応するもの。DSD音源はリニアPCM音源とはデジタル化の方式が異なるので、再生するにはDSD対応のDACが必要になるのだ。
DSD音源は音楽配信でも取り扱われているし、アマチュア向けの音楽録音機器にもDSDレコーダーが発売されているなど、環境は整ってきている。方式上、よりアナログに近い空気感まで記録できるため、自分で音楽演奏をする人や生録をしている人には見逃せないものと言える。
ただし、専用ドライバーのインストールに加えて、再生ソフトもDSD対応である必要がある。定番の再生ソフトである「Foobar2000」の場合、DSD再生に対応は可能だが、追加コンポーネントのダウンロードやインストールが必要になるなど、多少ハードルは高い。詳しくはこちらの記事を参照してほしい。
こうした4タイプから、自分にとって必要なものを選ぶことが肝心だ。個人的には価格的にも安価な96kHz対応のものでも十分に楽しめると思うが、192kHz収録の楽曲やDSD音源などにも興味があるならば、それぞれに対応したUSB DACものを選ぶといいだろう。
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