リクルートと子会社のインディードが2月、競技プログラミング大会「リクルートプログラミングコンテスト」を開催。東大や京大など日本の大学と、マサチューセッツ工科大学(MIT)の学生がプログラミング能力を争った。結果はMIT生が優勝し、東大生は僅差で準優勝だ。競技の模様は週刊アスキーPLUSで。とても熱い。
大会の取材をしていて、日本の学生たちが本当に優秀なことに心底驚かされた。トップ10のうち7人が日本人だったのだ。世界最大級の競技プログラミング大会サイト「トップコーダー」で上位の成績を残している学生も数名が参加していた。まさに世界トップクラスの逸材が集まった結果といえるのではないか。
優秀な学生は当然トップ企業のリクルーティングもある。ある学生はGoogleから声をかけられたというが、本人はMemSQLというベンチャー企業に行きたいと話していた。なぜかとたずねてみると「トップコーダーで上位にいる優秀なエンジニアだけが集まった会社だから」と返ってきた。
MemSQLは、元Facebookエンジニアのエリック・フランキールが立ち上げたITベンチャーだ。商用データベースMySQLを手がけるOracleの競合で、売り文句は「世界最速のSQLデータベース・プラットフォーム」(インメモリーデータベース)。共同経営者兼CTOのニキータ・シャムグノフは元マイクロソフトSQLサーバーのシニアデータベースエンジニアであり、ACM国際大学対抗プログラミングコンテストのメダリストでもある。
記者は「メムエスキューエル」とカタカナでメモをとるほど勉強不足かつ無知だったが、高みを目指すものには登るべき山が見えているものだと感心した。実際、あるIT企業の採用担当者は、米国では優秀な学生ほどGoogleのような大手よりも新しい技術を持ったベンチャーに魅力を感じていると言う。
「最近はGoogleに入っても面白い仕事ができる社員は一握りという話がある。ほとんどのエンジニアは検索エンジンのように巨大なシステムの管理・運用に当たっているが、技術的に解決できる課題は少なく、サービスの改善さえ難しいと。もちろん社員はみんな優秀だし、一緒に仕事が出来るのは楽しいと思うが」
トップ企業ゆえの悩みと言うべきか。Googleにもそんな話があるかと思うと、つくづく事業は難しい。
しかし先行企業の巨大化は、逆に考えれば小さな企業にとってのチャンスでもある。コンテストの難問に挑み続けてきたエンジニアたちにとって、「先達を超えよ」という課題は刺激的に映るはずだ。事業規模が膨らみ、動きの鈍った大手を超えるサービスがすんなり開発される可能性は十分にある。
一方、米国企業には日本人のように優秀な海外エンジニアをどうしても採用したい理由があるという。そちらは3月24日発売の「アスキークラウド5月号」を読んでほしい。