「XenDesktop」ベースのDaaSを採用、フリーアドレスや在宅勤務、BYODを実現
ANA、1万席超の仮想デスクトップ導入で「働き方改革」推進
2014年06月18日 09時00分更新
全日本空輸(ANA)が、デスクトップ仮想化の採用による「働き方改革」を推進している。2016年にはANAグループ全体、1万1000アカウントのデスクトップ仮想化を完了し、オフィスのフリーアドレス化や在宅勤務環境の改善、BYODの拡大などによる、生産性が高く柔軟な働き方の実現を目指している。
シトリックス・システムズ・ジャパンが6月16日、「Citrix XenDesktop」「Citrix NetScaler」の導入事例として公開した。
ANAでは2012年、それまでの「IT推進室」を「業務プロセス改革室」に改称した。グループ全体をリードする立場で、現場コミュニケーションの活性化や情報活用を可能にする「働き方改革」を実施し、意思決定の迅速化や業務生産性の向上に取り組むのが同部署の役割だ。これまで、内線電話のスマートフォン移行やWi-Fi環境整備によるオフィスのフリーアドレス化対応、「Google Apps for Business」導入による柔軟なメール利用環境の実現などを果たしている。
2011年に検討を開始したデスクトップ仮想化は、その後約2年をかけてトライアルなどを繰り返し、XenDesktopおよびNetScalerの採用を決定した。システム構築は2013年1月から開始し、2カ月後にパイロット使用(早期試用)をスタート。約3000アカウントで、仮想デスクトップ環境の運用を開始している。
運用環境としては、新日鉄住金ソリューションズ(NSSOL)が提供するXenDesktopベースのDaaS(Desktop-as-a-Service)、「M3DaaS@absonne(エムキューブダース@アブソンヌ)」を採用している。従業員は会社支給、または個人所有のPC/デバイスを使い、インターネット経由で個人のデスクトップ環境や社内システムに接続できる。
ANAでは、デスクトップ仮想化の導入によって働く場所や使える端末の制約がなくなり、現場主義の強化やコミュニケーションの活性化、迅速な情報活用環境が実現したとしている。さらに、在宅勤務時の利便性向上やBYODの実践、ペーパーレス化のうえでの効果もあったという。
ANAでは現在、本社を含む国内/アジア地域の10拠点超で仮想デスクトップ環境を利用している。今後、他の事業所でも順次利用を拡大していき、2016年までには1万1000アカウントに拡大する計画。また、これまでは共通の仮想デスクトップイメージを提供してきたが、パワーユーザー対応のため、共通イメージに含まれていない既存の業務アプリケーションにも順次対応していく方針だとしている。