最近気になるセキュリティ事件のあらましをざっくり解説! 注目点とユーザーレベルでの対策をお伝えします。
画像をリツイートしただけで書類送検! その根拠は?
11月21日、児童ポルノ法違反(公然陳列)などの疑いで、横浜市の男性と大阪府の男性が書類送検された。2人は大手SNSに投稿された「児童ポルノ画像」をリツイート(転載)したという。児童ポルノ画像をリツイートした人が摘発されるのは、神奈川県警によれば全国初とされている。
報道によると、横浜市の男性は今年3月、大手SNS上に画像を投稿し、さらに別のアカウントでリツイートしたという。大阪府の男性は、同月この画像をリツイートし、不特定多数に見せた疑いがある。また、同じ画像をリツイートした関東の中学生も、同法違反の非行事実で児童相談所に通告されている。
しかし、違法な画像を投稿した人はまだしも、リツイートしただけの人まで書類送検されるのはなぜだろう? ITジャーナリストの三上洋氏に訊いてみた。
判例に基づけば、アウトとされることに不思議はない
三上 「今回のポイントとして、リツイートが犯罪になるとされた根拠ですが、平成24年7月の最高裁の判例があります。この場合は、URLの英字の一部分をわざとカタカナにするような、若干の改変を加えていました。しかし、このように一部に改変ありのURL情報を掲載することも、公然陳列に該当するという判決となっています。
今回の場合、私は画像を見ていないのですが、児童ポルノの画像だとすれば、元ツイートをした人はもちろんアウト。ではリツイートはどうかというと、ツイッターの公式見解では、リツイートは『他の誰かのツイートを再投稿すること』とされています(Twitterヘルプセンター)。ですから、改変なしのURL掲載のようなもの。先の判例に基づけば、アウトとみなされても不思議ではありません」
最近では、SNSの投稿を基にしたバイラルメディアの記事を目にすることも多いが、こちらはリツイート以上に問題になりえると三上氏は言う。なぜなら「投稿(画像)そのもの」を記事に埋め込んで広く公開することになるので、明確にアウトとなるわけだ。
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