1月15日公開の映画『ソーシャル・ネットワーク』。世界で5億人のユーザーを集めたソーシャルネットワークサービス(SNS)「Facebook」を創った大学生が得たものと失ったものは何か。
経営や会計を学ぶ、慶應義塾大学最大規模のサークル「経営会計研究会」が、夏野剛氏(慶應義塾大学政策メディア研究科特別招聘教授)と中村伊知哉氏(慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授)を招き、学生の起業や日本のベンチャー企業の行く末についてトークイベントを行った。
ハーバード大学の学生マーク・ザッカーバーグは、恋人のエリカにフラれた腹いせで、同大学のコンピュータをハッキング。親友のエドゥアルド・サベリンとともに女学生の顔写真を集めたランキングサイト「フェイスマッシュ」を公開する。これに注目したエリート学生、ウィンクルボス兄弟がハーバード大学生専用コミュニティサイトのアイデアを持ち寄る。後に5億人のユーザーを集めるソーシャルネットワークサービス「Facebook」は、誰が創りだしたのか。
中村 みなさん、こんにちは。アクションでもサスペンスでもない映画だと思うのですけど、非常にスピード感、疾走感があって、音楽もきれいで、2時間全然飽きなかったですね。夏野さん、いまの映画、ごらんになっていかがでしたか?
夏野 いやあ、おもしろかったですね。この映画を観て、たぶんIT系のビジネスをやったり、ここにいるみなさんのようなFacebookなどのサービスを普通に使ったりしている人、あるいはこの何年かの間にサービスが大きくなっていくさまを目の当たりにしている人が得る印象と、まったくITに関係しないような人が得る印象は、まったく違うんだろうなあと思いました。
そういう非ITな人たちは、これは全部フィクションなんだろうと思うんですよね。でも、僕にとってはものすごいリアリティがある。僕は1996年に1回会社をつぶしているので、すごくよく分かります。
中村 僕自身は10年前にMITにいて、5年前にはスタンフォード大学にいたので、この映画に出てくる光景が非常に懐かしいな、と。町並みとか一緒だねって。
夏野 みんなパーティシーンしか覚えてないですよ。
中村 大学って何だかよく分からないけど、元気があるんですよね。
さて、監督のデビット・フィンチャーは、夏野さんがiモードを作った1999年に『ファイトクラブ』という、それも二重人格な登場人物によるパラレルな世界を描いています。今回のザッカーバーグ※にしても多面性というか、何が本当に起きた真実なのか分からないけど、多様な見方ができるかもしれないというものになっている。
ほかの映画でいうと、黒澤明の『羅生門』に近い。そこで起こっていることは1つなんですけど、いろいろな人の見方によって、見え方が全然違う1つの世界というものを描いている。これは、『十二人の怒れる男』も同じ。
では、本物のザッカーバーグがFacebookを作るうえで起こったことがら、周りで関わった人たちの思いなどはどうだったのでしょうか。ザッカーバーグはこの映画を観て「本当に正しいのは服装だけだ」って言ったそうですが。
おそらくみなさんは、みなさんなりのイメージを抱いていると思うので、今日はそのあたりを聞いていきたいと思います。
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