ドラクエ9が何気に面白いことをやってると思うのだが―現実のネトゲー化、聖地、AR、同期性
(*動画はイメージです)
探してみたが誰も指摘してないので書いてみる。
結論を簡単に言うと「ドラクエ9は現実をネトゲーに変えた」ということだ。
ちなみに僕はドラクエ9やってないし、最近はほとんどゲームもネトゲーもやってないので全く検討違いなことを言ってるかもしれないし、別段これは新しい現象でも何でもないのかもしれない。*1そこらへんはどっかでツッコミ入れたい人は入れといてください。
すれ違い通信
アマゾンレビューでの酷評祭りなど、発売時からネタにしてはひどいほどのネガティブキャンペーンの憂き目に会ったドラクエ9だが、売り上げは好調のようだし、僕の周囲でもハマってる人が多い。
「ドラクエなんだから売れるの当たり前だろ」とか思われるかもしれないが、僕の周囲を見ているとただ「ドラクエ」というブランド性だけで売れているとは思えない。そこには何か新しい仕掛けがあるようなのだ。
ドラクエ9にハマってる人がTwitterやブログなどでよく「今日はすれ違い○人だった」とか「すれ違い○人超えた」とか言ってるのをよく見かけないだろうか?何やらDSには「すれ違い通信」という空間を共有したユーザーと通信できる機能があるらしく、ドラクエ9ではそれを利用したユーザー同士のアイテムやメッセージの交換が可能らしい。
通信というと「ポケモンの交換」くらいしか出てこない僕には何が面白いのかよく分からなかったのだが、先日アキバのヨドバシカメラで見たある光景を思い出して「そうか!そういうことかリリン!」とこれは結構すごいことなのではないかと思い直した。
現実のネトゲー化
ヨドバシカメラ マルチメディア AKIBA前の広場に「ドラゴンクエストIX」の“すれ違い通信”コーナー「ルイーダの酒場」が7月31日(金)オープン、初日のピーク時には250人近く集まるという盛り上がりを見せた。
…ドラクエIXのすれ違い通信に関しては、発売直後から「秋葉原駅に行っただけで何人もすれ違えた」「ヨドバシAKIBAのゲーム売り場はもっとすごい」という情報がネット上で飛び交う状況だった。
これらの結果として同店6Fゲーム売り場は過剰に混雑、「安全面での不安が出てきた」(スタッフ)ことから専用コーナーの設置になったという。専用コーナーであれば通信相手が確実に見付かる上、様々なプレイヤーと何度も通信できるメリットもあるため、早くも人気スポットになったようだ。
僕が見たときはDS持った数人が互いに会話もせずに画面を凝視しながらウロウロしていて、「すれ違い通信」のことをよく知らなかった僕は「なにこの人たち、こわっ」とか思ってしまった(笑)
これと似たような光景を僕は友人の家のパソコンの画面の中に見たことがある。
僕が家に遊びに来たにも関わらず、画面の中の広場のような場所で仲間たちと会話に興じている友人。
このモンハン中毒の友人がひどすぎるのは置いとくとして、ドラクエ9というのはこういうオンラインゲームやMMORPGでいう広場のような場所を現実空間に自生的に生み出したと言えないだろうか?
かつてもゲーセンなどがそういう広場的な場所としてあったとも言えるが、ドラクエ9の場合はそういう場所をユーザーたちが「すれ違い通信」という匿名的なコミュニケーションの中から生み出してしまう。ユーザーの中にはそうした通信に適した場所を探している者もいるようだ。
ユーザーたちはゲームの空間だけでなく、現実の空間までもが攻略対象となっている。
聖地とAR
さらに驚くべきはユーザーたちのそうしたコミュニケーションは先のヨドバシアキバのように現実の風景を変えてしまうことだろう。
これと似たような現象は実はアニメなどの領域ではすでに起こっている。
『らき☆すた』が鷺宮神社の祭りや初詣のあり様を一変させてしまったように、一つのアニメ作品が現実の風景や行動様式を変えてしまう「聖地巡礼」という現象はアニメオタク等の間では古くから知られている。
僕は以前に、これはある種の「AR技術」ではないかと考えたことがある。
(ARについてはこちらの解説がわかりやすい→いま、AR(拡張現実感)技術がアツい! - ちずのメモ帳)
「AR=Argumented Reality(拡張現実)」っていうのは要するに現実空間の上に、仮想空間の情報を貼り付けることだが、「聖地巡礼」っていうのはまさにそういうことだからだ。
(ちなみに福嶋亮大はこうした聖地化のような作業を「偽史的想像力」と呼んでいる。参考:ホモ・エコノミクスの書く偽史『思想地図』p237)
同じように、ドラクエ9も「AR技術」のようなものだと言うことができる。ただドラクエ9の場合は「Argumented Reality(拡張現実)」というよりも「Alternative Reality(もう一つの現実)」と言った意味の方が近いかもしれない。先にみてきたように、ドラクエ9はゲームを通した新しい現実の見方をユーザーに課す、あるいはユーザーに与えるからだ。
さらにドラクエ9はアニメの「聖地巡礼」の場合と違い、コンテンツが「聖地」を作るというよりも、ゲームを介したコミュニケーションが「聖地」を生み出すところが大きく違うと言える。
これからこういう現実の読み替えを要する、あるいは読み替えを可能にするタイプのコンテンツやゲームが増えていくかもしれない。ドラクエ9はその萌芽にも思える。
コミケ会場はどうなっているのか気になる…
同期性との絡みからTwitterの流行とかも絡めてさらに論じたりすることができそうだが(すれ違いとフォローの類似みたいな)、書きかったことはだいたい書いたと思うのでここらへんで止めとく。
つらつらと色々書きましたが、所詮はドラクエⅨやってもいない非ゲーマーの妄言です。
それにしてもアキバのヨドバシであれなんだからコミケ会場はすごそうだよな…まさに聖地。
それだけのためにコミケ来る人とかもいるんじゃないだろうか。
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*関連記事のまとめ
都内各所ですれ違い。記事の最後で言ってるたしかにブーム過ぎたらこれ面白くなくなっちゃうよなー。
先日伊勢佐木町を、通信ONにして歩いていたら 風俗のお姉さんの宣伝を拾ってしまいました。
風俗情報の他にも、個人情報をバラまこうとする人間がいるのを想定して、3人までとかいう設定になったんでしょう。 歯止めにはなりますが絶対ゼロでは無いのが怖いところです。
そんなことにまで使われるとはw
自分の服装や待ち合わせの場所、日時、または強引にひらがなで「ぜろきゅーぜろ......」と電話番号を入力することにより、新たな出会いのキッカケになるでのでは?
そんなことに使う人いるのかw
芸能人とすれ違えるかも?
改造プレイの人とは通信したくないらしい。棲み分けとか起こってんのかな。
すれ違い通信についての解説。
けどこれ、このゲームにとっちゃ割と重要な要素だよなー。
*1:「おいでよ動物の森」とかでも既に起こってたのかな?http://gamemusic.blog50.fc2.com/blog-entry-985.html