表現規制に関する小さな情報
表現の自由、表現規制の問題に関して大きな話題がないなと思っていたところ、
「“メディア良化法”がやってきた!?」出版労連緊急集会
表現規制問題に関する関心が高いはてな界隈ですが、この記事はさほど
注目されていないように感じたので、取り上げました。
この集会の主催者である日本出版労働組合連合会によると、
自民党青少年特別委員会(高市早苗委員長)は昨年12月11日、「青少年有害社
会環境対策基本法案」の焼き直しである「青少年の健全な成長を阻害するおそれ
のある図書類の規制に関する法律案」をまとめた。青少年の性的感情を刺激、残
虐性を助長、自殺または犯罪を誘発、心身の健康を害する行為を誘発――する図書
類を国が「有害」図書に指定して、18歳未満への販売を禁止するという法案だ。
青少年条例を法律化し、出版業界を直接、監視対象にすることがもくろまれている。
先行して、児童買春・児童ポルノ禁止法(児ポ法)の改定・強化が現実味を帯
びてきた。児童ポルノの単純所持を罰則付で取り締まり、性的なマンガを準児童
ポルノとして規制しようとする動きだ。実在の児童が被害者となっている児童ポ
ルノの根絶は当然であるものの、想像の産物たるマンガを規制対象に含めるのは
保護法益との齟齬を来たし、単純所持規制は密告社会の招来、冤罪の温床となり
かねないなど、多くの問題を残している。
さらに、自民党・民主党は、インターネット上の「有害」情報を規制する法案
を準備中だ。ネット業界は、第3者機関を標榜する「監視機構」を設立して、自
主規制の強化をアピールするも、権力規制に絡め取られかねない危うさが垣間見
られる。ネット規制でお座敷を清められれば、一気に紙の出版物の規制に進みか
ねない状況でもある。
規制強化を阻止すべく、政治家などに対して、はやくからロビー活動を展開し
ている日本雑誌協会の山了吉さんに、現下の情勢を報告していただき、具体的な
対抗策と反対運動の進め方などを論議したい。http://www.syuppan.net/modules/smartsection/item.php?itemid=81 より
とのテーマである。
この中で小学館執行役員の山了吉氏は青少年ネット規制法案や児童ポルノ禁止法改正の
問題点に触れ、
「一番通しやすいのがインターネット規制。その根底には環境を“浄化する思想”がある。そして、図書類の規制も視野に入っている」との懸念を表明した。 *1
そして、その集会には編集者や図書館関係者、ネット事業者、フリーライター、
漫画家、翻訳家らが参加したそうです。
なお、「マンガ論争勃発のサイト」*2にはレポートが無かったので、
おそらく、昼間たかし氏も永山薫氏も参加されなかったものだと思われます。
山氏は民主党のPTでも単純所持禁止に懸念を示しており、この集会でも
出版労連が、積極的な闘争を好むのか、あるいは御用組合的なのかは分かりませんが、
この問題に関しては労使双方で利害関係が一致しているようです。
もしかしたら、マスコミ(特にテレビや新聞)がインターネットをバッシングしているのは、
単に商売のためにやっているだけなのかもしれません。
だからこそ、厄介なのでしょうが・・・
少なくとも、ネット規制に本心から賛成しているのであれば
「青少年ネット規制法案は、単にインターネットを規制するものではなく、のちに“有害”図書規制につながっていく。これは、“有害な環境”を浄化しようとした青少年有害社会環境対策基本法案を同じ発想。特に反対しなければならない。図書類や流通、通販なども取り締まりたいとする中で、インターネットの規制が先にきたのだろう」
オーマイニュース前掲記事より
という言葉が飛び出すはずはないのですから。
宮崎勤事件を端緒に巻き起こった、1990年代の有害コミック問題の時にも、
真っ先に規制反対の声を挙げたのは出版労連などの労働組合です。
福島瑞穂社民党党首は、サヨク、フェミニストだと多くの人に見られているが、
自身のブログで創作物規制や単純所持禁止に懸念を表明しています。
また、社民党衆議院議員の保坂展人氏のブログでも、福島氏のブログの内容が転載されました。
つまり、表現規制反対論者の味方には(あまり好ましい言い方ではありませんが)
「左翼」が多いことが明らかになっているのです。
そして、規制推進派のバックには保守派の宗教団体がいたことを
山口貴士弁護士やkamayanさんなどが指摘しています。
もちろん、すべての左翼が味方だという訳ではありませんが…
有害コミック問題の時には規制反対のフェミニストがいましたが、
いまではほとんど推進派ばかりですからね…
最後に、語弊が無いように申し上げます。
規制推進派=ウヨク も
規制推進派=サヨク も
誤った論議なのでご注意ください!
表現の自由に関する問題にウヨサヨ論争を持ち込むべきではありません!
野党の皆さん、どうかこの問題を政局にしてください…