もし吉田豪が桃太郎一行にインタビューしたら
ここ数日、岡田斗司夫騒動や小向美奈子逮捕など、案件が次々に舞い込んできて大忙しの吉田豪。スタッフの人から「岡田さんのことより仕事のメールに返信してください」とツイートされる始末ですが、今日はうちの桃太郎ネタで活躍してもらいます。
過去のシリーズ一覧はこちら。
もし大藪春彦が桃太郎を書いたら - 男の魂に火をつけろ!
もし平山夢明が桃太郎を書いたら - 男の魂に火をつけろ!
もし夢野久作が桃太郎を書いたら - 男の魂に火をつけろ!
もし横溝正史が桃太郎を書いたら - 男の魂に火をつけろ!
もし小池一夫が桃太郎を書いたら - 男の魂に火をつけろ!
もし桃太郎が水曜どうでしょうだったら - 男の魂に火をつけろ!
もし桃太郎がなんJ民だらけだったら - 男の魂に火をつけろ!
もし梶原一騎が桃太郎を書いたら - 男の魂に火をつけろ!
もし伊藤政則が桃太郎を書いたら - 男の魂に火をつけろ!
もし淀川長治が桃太郎を解説したら - 男の魂に火をつけろ!
もし鈴木涼美が桃太郎を書いたら - 男の魂に火をつけろ!
もしタカアンドトシが桃太郎をやったら - 男の魂に火をつけろ!
もし全盛期の古館伊知郎が桃太郎を実況したら - 男の魂に火をつけろ!
もし吉田豪が桃太郎一行にインタビューしたら
――最近、桃太郎さんの関係者みなさんにインタビューしているんです。今日は「チームPEACH」で活躍した犬、猿、キジのみなさん、よろしくお願いします。
犬:俺に聞いたってイイ話なんか出てこねえと思うよ(笑)。
猿:犬ちゃんはさあ、桃さん関連ではイイ思いしてないからね。
――うわーっ!
キジ:(あわててフォローするように)いや、そうでもないでしょ。犬さんだってきび団子はたっぷりもらってたじゃないですか。
犬:あんなモンで命まで懸けさせられたんじゃあ、割に合わねえよ。誰が痛い思いして受け身取ってたと思ってんだよ。
猿:キジちゃんはけっこうイイことあったからね。桃さんの紹介でけっこう女の子と遊んでたじゃん。●●●とか、●●●●とかさ。
――ダハハハハ! そんなの載せられるわけないです!
キジ:勘弁してくださいよ! 僕だってもう結婚して子どもが3人もいるんですから! でも猿さんだってね、そうとうお盛んだったんですよ。
猿:まぁあのころは俺も若かったし、それに岡山の女はオープンだったんだよね。そんとき俺が付き合ってた女がさ、「友だちのところに遊びに行く」っていうからどんな相手か聞いたんだけど、「前に付き合ってた男」だって言うんだよ。それはダメだろ、っつったら「なんで? 岡山じゃふつうだよ?」とか言って。
――それはふつうじゃないです! 岡山の人が聞いたら怒りますよ!
犬:でもそういう話だったらさあ、桃さんがいちばんヒドかったよな。
キジ:そうそう。●●●さんとか●●●●さんとかね。あとね、僕が合宿所に入ったときは、うちの姉が車を出して、実家から荷物を運び込んでたんですよ。そうしたら、姉貴と目が合った桃さんが「お姉さんですか! お茶飲みに行きましょう!」って。会って30秒ぐらいで、いきなりですよ。で、桃さんが自分の部屋に財布を取りに行った隙に、たまたま合宿所に来ていた浦島太郎さんが「お姉さん! 今のうちに逃げなさい!」って言うんでブーンって帰ったっていう。猛獣の檻の中に姉貴を放したような感じでしたね。
――ダハハハハ! 猛獣ですか!
猿:でもさあ、この世界ってだいたいそんな人ばっかりだよね。
犬:それこそ浦島太郎さんだって、人のことは言えねえよな(笑)。
――ところで、桃太郎さんといえば育ての親であるおじいさんとおばあさんがいらっしゃるわけですが、みなさんの印象はどうだったんですか?
犬:あの人たちはねえ……●●●●ですよ。
――ダハハハハ! マッドネスですか!
猿:だってさ、「この子は桃から生まれたんです」って、大真面目な顔で言うんだよ。
犬:そういうギミックなのはわかるけどさあ、あの人たちは24時間それを崩さないんだよな。
キジ:僕ね、桃さんがベロンベロンに酔ってたときに「本当に桃から生まれたんですか?」って聞いたことがあるんですよ。そしたら、グデングデンだった桃さんが急に真顔になって「キジ、お前は俺のことを何やと思うとるんや?」って(笑)。そんでね、「お前まで俺のことをそんなふうに言うんか」って、泣いちゃうの(笑)。
――うわーっ! あの桃太郎さんがですか!
犬:そういうことを聞けるのはお前だけだったよな(笑)。
猿:俺がそんなこと言ったら、半殺しじゃすまねえよ(笑)。コイツはねえ、変に世渡りのうまいところがあるんですよ。
――それは世渡りとはいわないと思います! それにしても、みなさん仲がいいですよね。
犬:まあね、やっぱり若いころいっしょに苦労したし、あのころはみんな夢があったからな。
キジ:けっきょくね、「鬼ヶ島で鬼退治をする」っていう一つの目的があったから、合宿所で厳しい生活をしていても、それに耐えられるんですよ。
猿:その夢がある程度カタチになってくると、今度はいろいろ不満が出てくるんだよ。金太郎さんだってそうじゃん。頼光さんのところで、四天王とかいって威張ってたけど、鬼退治しててっぺんを取っちゃったら、もう泥沼だったよね。
犬:だからね、俺たち3人はまだマシなほうだよ。みんなバラバラになっちゃうんじゃないかと思った時期もあったけど、今はこうやって酒飲んで集まれるんだから。
キジ:こんなふうにみんなで集まれるようになったのも、ここ2年ぐらいのことなんですよ。
猿:この世界でやってきた者どうしってのは、こうやって一緒に飲めばだいたいのことは乗り越えて、昔に戻れるモンなんですよ。だからね、本当は桃さんやおじいさんたちともこうやって飲みたいんだよ。そうすればさ、きっといろいろ氷解できると思うんだよね。
――やっぱりそういう点では、桃太郎さんがいちばん硬いんですか。
猿:いや、桃さんよりもおじいさんだね。桃さんとおじいさんの間が、いちばん硬い。
犬:桃さんが俺たちといっしょに鬼ヶ島から凱旋して間もなく、おじいさんとおばあさんが離婚したでしょ? それでね、桃さんとしては板挟みになっちゃった。けっきょくおばあさんのほうについたんだけど、おじいさんとはそれからずっと絶縁状態だって。
キジ:あのころはホント最悪でしたよ。毎晩毎晩、遅くまで飲みに連れていかれて「おいキジ、お前は何があっても俺の味方か?」ってもう100回ぐらい言い出すんですよ。
――うわーっ! 最悪じゃないですか!
キジ:僕も困っちゃってねえ。最初のうちは「僕は桃さんについて行きます!」って元気に言えるんだけど、午前2時を過ぎるぐらいになるとね、こっちも疲れてきちゃうんですね。それでつい、「桃さん、『何があっても』ってどういうことですか。そこをハッキリ言ってもらわないと、僕だってちゃんと約束はできないですよ」って言っちゃったんです。
犬:そうそう。それで次の日に、桃さんが俺たちを集めて「チームPEACHは今日で解散や」って宣言したんだよ。
猿:いつかこうなる、とは思ってたけどね。だから、キジちゃんが悪いわけじゃないんだよ。コイツが言わなかったら、俺なり犬ちゃんなり、誰かがきっかけになってたんだろうね。
――でも、あのときは犬さんがみんなをまとめようと努力されてたんですよね?
犬:まあ、ふつうの会社だったら誰かがそうするじゃない。俺の認識としては、あくまでトップは桃さんだった。けど、あの人は一人でいろいろ考えて、その結論をいきなりポンと出すから、俺たちとしちゃそのプロセスがわかんないんだよ。桃さんは味方も敵も多い人だから、そういうワンマンなやり方になっちゃう。
猿:俺たちにもね、それぞれ「これからどうしよう」ってのがあったわけじゃない。でも桃さんは、そういうことは気にしないんだよな。
キジ:猿さんは女のことばっかりだったじゃないですか(笑)。
猿:お前ね、そういうけど俺だってたいへんだったんだよ。ちょうど付き合ってたのが●●●●●でさ、だけど俺は●●で●●●●と●●●してたんだよ。そしたら、●●●●●が「何やってんの!」って怒鳴り込んできてさあ。
――ダハハハハ! とても載せられないです!
犬:それで俺もさ、桃さんに食って掛かったわけ。コイツらはこんな感じだったしさ。でも「俺が解散いうたら解散なんや。文句あるんかお前」って、もう目が座っちゃっててね。俺も引っ込みがつかなくなって「文句とかそういう問題じゃないです! 俺たちの話も聞いてください!」って、思わず桃さんの胸ぐらをつかんじゃったんだよ。そうしたら、桃さんは何も言わずに俺の顔面に膝を入れてきたの。もうね、顔面はへっこんでるし、目の周りなんか真っ黒になるしさ。
――うわーっ!
犬:それでムカっときたんだよね。何てことしてくれるんだって。病院で診てもらったら骨が折れててさ。痛みと憎しみに耐えてて、モノは二重に見えるし、もう最悪だったよ。……裁判を起こそうかと思ったね(あっさりと)。
――ダハハハハ! さすがです(笑)。大人の戦い方をしよう、ということですね。
猿:でもね、桃さんだって犬ちゃんの治療費はちゃんと出してくれたし、あれからずいぶん苦労したんだから、もうイイ思い出だよ。
犬:お前はそうかもしれねえけど、俺は実際に痛い思いしたんだから、そこまで割り切れねえよ!
キジ:犬さんはすぐそういうこと言いますからねえ。こないだもね豪さん、犬さんと2人で飲んだときにね、猿さんから来たメールの画面を見せてくれて、内容はたわいもない冗談なんですけど「猿の野郎、もうアッタマ来た! ツイッターでリムってやる!」とか言ってたんですよ(笑)。
――ダハハハハ! おとぎ話もSNS時代ですか!
犬:でもさあ、コイツのツイッターアカウントって鍵つきなんですよ。一回フォロー外したら、また読みたくなったとき、申請しなきゃいけないじゃん。それが恥ずかしいし面倒臭くてさ、けっきょくまだリムーブしてないんだよ。
キジ:そういえばね、僕こないだ、桃さんのアカウントがあるって聞いたんで見にいったんですよ。そうしたらね、僕まだ桃さんには何にもツイートしてないのに、ブロックされてて見れなかったんですよね(笑)。
――うわーっ!
猿:そうそう、俺もブロックされてたよ(笑)。でね、おじいさんは何をつぶやいてるのかなと思ったら、そっちからもブロックされてた(笑)。
犬:あの人たちはいつまでああやってるのかなあ。みんないい歳なんだから、そろそろ仲直りしておかないと、ヤバいよね。
キジ:縁起でもない(笑)。
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