2014.03.22

「開いてて良かった」から「御用聞き」に
セブン―イレブン・ジャパンの宅配サービスが好調[コンビニ]

店舗従業員がお弁当などを届ける「セブンミール」サービス。顔の見える関 係が地域の見守り役に(セブン&アイ・ホールディングス提供)

全国に約1万6000店のコンビニエンスストアを展開するセブン-イレブン・ジャパン(東京都千代田区、井阪隆一社長)が、2000年9月に始めたお食事お届けサービス「セブンミール」の今年度の売り上げが前年度の2倍以上の250億円に達する勢いをみせている。好調の背景には、独居高齢者世帯や単身、共働き世帯の増加など社会環境の変化が大きく影響している。コンビニが日本に登場して40年。当初の「開いてて良かった」から「御用聞き」へと転換が進み、地域の「見守り」「防犯」「防災」の拠点としての役割を担うようになった。

埼玉県川口、浦和(現・さいたま市)の両市で始まったセブンミールは、配達条件は1000円以上の注文で200円が必要だった。配達は店舗が担当するほか大手宅配業者に委託していた。システムが大きく変わったのは12年5月。注文500円以上で店舗の従業員が無料でお届けし、配達する商品はセブンミールのお弁当などに加え、店舗内の商品も扱う方針に切り替える新スキームを打ち出した。

電話、ファクス、ホームページ、店頭で、前日の午前10時半までに注文すれば、昼食は当日の正午ごろまでに、夕食は午後5時ごろまでに届く。管理栄養士が監修した「日替り弁当」「お総菜セット」(各500円)のほか、カット野菜、飲料、お米、日用品まで注文できる。会員数は昨年11月時点で約46万人に上る。利用者の約6割が60歳以上の高齢者だが、子育て中や働いている女性、さらには1人暮らしのビジネスマン層の利用も多い。

セブン-イレブン・ジャパンは06年から新しい形の「御用聞き」を販売戦略に取り入れてきた。配達の際に「お弁当のほかに何かご入り用のものはないですか」と注文を受け付ける。24時間営業でいつでも買い物ができるという「待ちの営業」から、自宅を訪れる「顔の見える営業」へと転換してきた。「加盟店の経営者は元々、酒屋さんだったりと、そもそも御用聞きをしていらしたところが多い。ある意味では原点にも戻ったともいえるが、顔の見える営業で売り上げだけではなく、さまざまな好影響をもたらしている」(セブン&アイ・ホールディングス広報センター)という。

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