公約実行は当然のこと
トランプ政権が20日にスタートし、矢継ぎ早に大統領令を出している。
これに対してほとんどのマスコミは「異例である」と報じ、識者の多くはトランプ政権が早々に行き詰まるだろう、という見方を示している。
筆者がレギュラー出演している朝日放送「正義のミカタ」(毎週土曜日朝9時~)でも、米国人モーリー・ロバートソン氏が大統領令について、「異例の多さで、内容が悪い」と語っていた。彼は民主党支持者で、まるで大統領選挙中の民主党によるトランプ批判そのものを聞いているかのようだった。
米国の大統領令は、連邦政府や軍に対して連邦議会の承認を得ることなく、行政権を直接行使するものだ。これをモーリー氏は「今回は異例に多い」と言っていた。これに対して一緒に出演していた岡田斗司夫氏は、「オバマ大統領も数多くの大統領令を出していた」と返していた。
また、筆者は、実はどこの国でも行政権の行使に関して、議会承認を得ないで行うものはあり、たとえば日本でも政令は国会の承認を得ないで行うものだと説明した。同じ番組内で、新たな元号についての話題もあったが、実は元号の決定は国会の承認ではなく、政令によって政府が決めているものだ。
アメリカの大統領令の範囲が明確でないという批判もあるが、連邦議会の制定する法律に基づき大統領に委任されているものも少なくない。
この点、日本の政令でも、根拠法律が明確な委任政令と、そうでない実施政令が混在しているので、アメリカの大統領令との差異は、少なくとも筆者にとってはそれほど明確でなく、五十歩百歩ではないかと思う。
こうした意味で、「大統領令が乱発されている」という報道は、アメリカでもなされているが、やや大げさであると思う。
新政権が選挙期間中の公約を実行に移すのは当然である。また、見方を変えればトランプ政権は、選挙期間中、当選後の戦略をよく考えて、議会の承認の必要のない大統領令でできることばかりを公約に掲げてきたともいえるのだ。
もっとも、連邦議会が反対法律を制定したり、過去にも大統領令について連邦裁判所が違憲判断を示したことも2回ある。行政権の執行であるので、三権分立の立場から立法と司法からチェックを受けるのもまた当然である。
マスコミが知らないトランプの素顔
マスコミの報道の多くは、いまだに「トランプ大統領はバカではないか」というものが主流であるように感じる。これは(筆者は直接トランプ大統領と面識があるわけではないが)、私の友人・知人を通じて知るトランプ大統領のイメージと異なっている。
実は、昨年11月、安倍首相が当選直後のトランプ氏と電撃的な会談をしたが、それを仲介した人物は、筆者の長年の友人である日系三世アメリカ人、村瀬悟氏である(https://gendai.media/articles/-/50422)。友人の名を明かすのは気が引けるが、もういいだろう。
彼は、日本語の勉強のために日本に中学・高校と留学しているが、留学先は成蹊中学・高校である。年齢は安倍首相と一つ違いであり、安倍首相も成蹊中学・高校であるので、当然よく知っている仲だ。
ハーバード大卒、ニューヨークで評判のいい弁護士をしており、トランプ大統領のかつてのビジネス案件も手がけいたこともあって、トランプファミリーとも密接な関係がある。
当然、トランプ大統領に直接連絡できる人物だ。彼は、トランプはとても賢く数々の発言は計算に基づいているといっていた。
また、トランプ大統領がかつて倒産したとき、彼のために金策で奔走した日本人も知っている。苦境の時に助けに乗り出した人であり、そういうときの恩義は古今東西を問わず忘れないものだ。その人も、トランプ大統領はかなり賢く、先々のことをいろいろと考えて行動していたといっていた。