空気がなければ本当に羽は鉄球と同じ速度で落下するのか世界最大の真空チャンバーで実験
アリストテレスの力学にしたがって「重い物ほど速く落ちる」と信じられていた時代に、ガリレオ・ガリレイは鳥の羽がゆっくり落ちるのは空気に邪魔されるからで「空気のない世界ならば羽と鉄球は同じ速度で落下する」と考えました。今ではガリレオの考えは半ば常識となりつつありますが、あくまで知識として学んだもの。羽と鉄球を空気がない状態で落下させると本当に同じ速度で落下するのかを、NASA所有の世界最大の真空チャンバーで実験するとこうなります。
The Hammer-Feather Drop in the world’s biggest vacuum chamber | The Kid Should See This
http://thekidshouldseethis.com/post/the-hammer-feather-drop-in-the-worlds-biggest-vacuum-chamber
壮大な落下実験の様子は以下のムービーで確認できます。
Brian Cox visits the world's biggest vacuum chamber - Human Universe: Episode 4 Preview - BBC Two - YouTube
ここはアメリカ・オハイオ州にあるNASAの実験施設「Space Power Facility」。宇宙空間を再現するための世界最大の真空チャンバーがあります。
世界最大の真空チャンバーにやってきたのは今回の実験を行う物理学者のブライアン・コックス博士。
チャンバー内を下から見上げるとこんな感じ。中にある30トンの空気をわずか2gを残すだけというほぼ真空の状態にまで減圧可能。
チャンバーはアルミ製。
しかし、原子力宇宙船の実験を想定して放射能対策のためにチャンバーは分厚いコンクリート壁で取り囲まれています。
羽と鉄球をつり下げたクレーンが登場。
どんどんと高く持ち上げられていきます。
セット完了。
まずは普通の状態で落下実験。
落下開始。
結果は当然のように鉄球が先に地面に到達。
羽は空中をゆらゆら漂っています。
スローモーションで落下の様子を再生。
落下と同時に空気抵抗で羽が逆立っているのがよく分かります。
いよいよ真空状態での実験。チャンバーの分厚い扉がゆっくりと閉じられます。
まるで原子炉のように厳重です。
装置を見守るスタッフも真剣そのもの。
真空ポンプをフル回転。減圧には3時間かかるとのこと。
減圧完了。
スイッチを押して、落下実験スタート。
先ほどと同じに見えますが……
ここは真空の世界。
シンクロするかのように横並びで落下していく羽と鉄球。
机上の空論が実現する様子は見事。
同時に地面に落下。
実験を見守っていた人たちはこの笑顔。
右の男性は「ほんとうに同時だ……」と驚きの表情。
着地の瞬間はこんな感じ。
実験後、羽と鉄球に近寄るコックス博士。
アイザック・ニュートンは「物は地球に引っ張られるので落下する」と「万有引力」の存在を発見しました。羽も鉄球も同じく地球に引き寄せられていることが確認できてコックス博士は大満足のようです。
なお、同様の実験は1971年に月面でも行われています。
The Hammer and the Feather - YouTube
・関連記事
「ニュートンのゆりかご」を人間の頭で実験するとどうなるのか? - GIGAZINE
無重力下でロウソクの炎はどうなる? - GIGAZINE
重力に逆らっているかのようなピタゴラ装置のムービー - GIGAZINE
GoogleのSVPが成層圏から音速突破でフリーフォールの世界記録を更新 - GIGAZINE
高度3000mから落下したのに骨折ひとつせず生還した男性 - GIGAZINE
・関連コンテンツ
in サイエンス, 動画, Posted by darkhorse_log
You can read the machine translated English article Will the feather fall at the same speed ….