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シャン語

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
シャン語
လိၵ်ႈတႆ
話される国 ミャンマーの旗 ミャンマー
タイ王国の旗 タイ
中華人民共和国の旗 中国
地域 東南アジア
話者数 330万人
話者数の順位 126位
言語系統
表記体系 ビルマ文字
言語コード
ISO 639-2 shn
ISO 639-3 shn
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シャン語(Shan)は、言語分類的にタイ語と近い関係にある言語である。書き言葉としてはビルマ文字と部分的に共通するシャン文字が用いられる。タイ語でタイ・ヤイ(Tai-Yai)、タイ・ロン(Tai Long)と呼ばれている。話者はミャンマー北東部、すなわちシャン州全域とタイ北部に点在している。シャン州から国境を東にまたいだ中華人民共和国南西部の雲南省シーサンパンナ・タイ族自治州にもシャン族やシャン語話者がいる。

社会言語学的状況

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ミャンマー

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2012年現在、ミャンマーの軍政下では、学校教育において少数民族の言語による授業を廃止しているが、かつての教科書を用いて私塾などで言語教育が行われている[1]

タイ

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タイのシャン人ディアスポラ社会においては、シャン人のエスニックアイデンティティの維持のためにシャン語教育が重要視されている。シャン人ディアスポラが存在するチェンラーイ県のルアムチャイ村(仮名)ではタイ語中国語の文化的影響が強まり、シャン語の消滅が危惧されていた[2]。同村では2002年から青年組織タイ・ヌム(シャン語: တႆးၼုမ်ႇ)により、子供たちを対象としてシャン語とシャン文化の教育学習を行うサマーキャンプが実施されている[3]

タイ国内の学校の壁に書かれたシャン語の落書き。タイ語や中国語、注音字母もある。

音韻論

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シャン語の音節は、頭子音・介子音・母音・声調からなる。

頭子音

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Egerod (1957) が挙げるシャン語の頭子音は以下の通りである[4]

シャン語の頭子音
両唇音 歯茎音 硬口蓋音 軟口蓋音 声門音
鼻音 m- n- ɲ- ŋ-
破裂音 - p- - t- tɕʰ- - - k- ʔ-
摩擦音 - s- h-
接近音 w- l- r- j-

介子音

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介子音としては、-j-, -w-, -r-の3つが現れる[5]

母音

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Egerod (1957) は、シャン語の母音体系を次のように分析している[6]

/i/ /ɨ/ /u/
/e/ /ə/ /o/
/ɛ/ /a/ /ɔ/
/aa/ [aː]

声調

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シャン語では五種類の声調を区別する[7]

  1. 上昇調 ̌ (˧˥)
  2. 低平調 ̀ (˩)
  3. 中平調 ̄ (˧)
  4. 高平調 ́ (˥)
  5. 下降調 ̂ (˥˧)

第2声、第4声、第5声は、しばしば声門閉鎖音きしみ声を伴う[6]

末子音

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Egerod (1957) の挙げる「末子音」は以下の通りである[8]

-m -p -w
-n -d -j
-k

音韻史

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シャン語では他のタイ諸語に見られるf-がpʰ-に変化している (強化)[9]

文法

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シャン語は孤立語的な性質を持つ[10]

名詞句

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名詞に対しては、それを修飾する形容詞類別詞指示詞などが後続しうる[10]

動詞句

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シャン語では動詞連続構文が多用される。動詞 (群) にはの標識 ・否定辞継続相の標識が先行するほか、完結相の標識が後続する[11]

関連項目

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出典

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  1. ^ 母語を守る戦い、ミャンマーの少数民族 AFPBBNews(2012年10月25日)2012年10月25日閲覧
  2. ^ Cadchumsang 2011, pp. 207–208.
  3. ^ Cadchumsang 2011, p. 144.
  4. ^ a b c Egerod 1957, p. 123.
  5. ^ Egerod 1957, pp. 122–123.
  6. ^ a b Egerod 1957, p. 122.
  7. ^ Egerod 1957, pp. 121–122.
  8. ^ Egerod 1957, p. 124.
  9. ^ Edmondson 2008, pp. 200–201.
  10. ^ a b Soh 2019, p. 30.
  11. ^ Soh 2019, p. 31.

参考文献

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  • Cadchumsang, Jaggapan (2011). A Study of Tai Ethnicity and Nationalism in a Thai Border Village (Ph.D. thesis). University of Toronto.
  • Edmondson, Jerold A. (2008). “Shan and other Northern Tier Southeast Tai languages of Myanmar and China: Themes and Variations”. In Anthony V. N. Diller and Jerold A. Edmondson and Yongxian Luo. The Tai-Kadai Languages. London & New York: Routledge. pp. 184-206 
  • Egerod, Søren (1957). “Essentials of Shan phonology and script”. Bulletin of the Institute of History and Philology 29: 121-129. 
  • Soh, Jyr Minn (2019). Serial verb constructions in Tai Long Shan (M.A. thesis). Nanyang Technological University. doi:10.32657/10220/47853. hdl:10356/106030

辞書

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英語:

外部リンク

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