ミャンマー最大のマイクロファイナンス機関であるBC Financeは、「ASTERIA WARP」「mijinアダプタ」を用いることで、融資と貯蓄を処理する基幹システムの勘定データを「Microsoft Azure」上に配置したプライベートブロックチェーン「mijin」に移行することに成功した。インフォテリアとテックビューロが6月17日に発表した。
実証実験のシステム構成イメージ
BC Financeは、ミャンマー8州に全19支店を設置するマイクロファイナンス機関。ミャンマーでは5000万人を超える人口に対し銀行口座数は200万件程度と、銀行サービスの利用は一部の富裕層のみに限られており、あらゆる層の国民に融資や預金といった金融サービスを提供するマイクロファイナンスが、同国の今後の経済成長を支えていく上で重要な役割を担っている。2011年春の民主化以降、7~8%の経済成長を記録、2016年春には軍事政権が終焉したことで米国による経済制裁が解除される動きもある中で、ミャンマーはさらなる成長が期待され、BC Financeの利用者は大幅に増加していくことが見込まれている。
現行のシステムでは、利用者の拡大につれてデータ管理コストも増加していくのに対し、ブロックチェーン技術を導入することで勘定データを安全かつ安価なコストで運用することが実現でき、マイクロファイナンスの事業拡大をよりスムーズなものにできると考えられている。
今回の実証実験では、BC Financeの1支店のアクティブな口座における全ての取引履歴(勘定データ)を、ASTERIA WARP、mijinアダプタを利用し、mijinに記入した。なお、BC Financeでは、1アカウント(1顧客)に対してLoan(融資)用1口座、Saving(貯蓄)用2口座の合計1口座が割り当てられる運用となっている。
実証実験の概要
実証実験の様子(2016年5月30日、BC Finance本社にて撮影)
今回の実証実験において、インフォテリアのASTERIA WARPとテックビューロのmijinがマイクロファイナンスの業務プロセスに適用可能なことが確認でき、勘定データ記録にプライベートブロックチェーン技術が適用できることが実証されたとしている。また、マイクロファイナンスでプライベートブロックチェーン技術を使った実証実験は世界初の試みという。
また今後も一定期間連続で並行運用実験を行う予定で、7月前半から約6週間実施する計画となっている。そのほか、クライアント(各支店の端末)からmijinへの書き込み、データ参照等を担うアプリケーション開発についての検討も行っていく。
インフォテリアとテックビューロの両社は、今回の実証実験で得ることができる成果を他国に向けた展開にも活かしていくことで、両社の提携を世界規模なものに発展させていく方針。