ロイター調査:消費税引き上げ、8割超のエコノミストらが延期予想

ロイター調査:消費税引き上げ、8割超のエコノミストらが延期予想
 3月28日、ロイターがエコノミストやアナリストを対象に行った緊急調査によると、2017年4月に予定されている消費税率10%への引き上げを安倍晋三首相が延期するとの予想が8割超に達した。写真は1万円札を数える男性、都内で2012年11月撮影(2016年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)
[東京 28日 ロイター] - ロイターがエコノミストやアナリストを対象に行った緊急調査によると、2017年4月に予定されている消費税率10%への引き上げを安倍晋三首相が延期するとの予想が8割超に達した。
今夏に参院選と衆院選のダブル選挙を実施するとの見方も7割超を占めた。
消費税率引き上げについて、回答した21人のうち18人が延期と予想した。延期予想は全体の約85%に当たり、市場のメーンシナリオとして織り込まれてきている。20人のうち9人が最近になって見通しを変更した。
FPG証券の代表取締役の深谷幸司氏は、追加緩和による景気刺激効果は見込みにくいほか、為替政策、円安による景気刺激策はとりようもないとして「残るは財政政策による景気対策のみで、このタイミングでの消費税率引き上げは逆行。先日の国際金融経済分析会合でも増税見送りのアドバイスが相次いだ」と指摘している。
もっとも、延期自体への支持は延期予想ほどは多くない。消費税引き上げを延期すべきとの見方は19人中10人と、約半数にとどまる。IHS主席エコノミストの田口はるみ氏は「延期することで、再増税が困難になり財政再建への道のりが示せなくなる危険性がある。増税と同時に待機児童、介護対策を進めるとともに、雇用改革や投資を促進すべく構造改革を加速すべき」と指摘している。
一方、20人中、15人が衆参ダブル選挙を予想した。「法律で決まっている消費増税を延期するなら解散の大義となるし、ここで一度勝てば自民政権が長くなるのでインセンティブが十分」(国内投信ストラテジスト)と指摘している。
3月23日─25日の期間に金融機関のエコノミストやアナリストを対象にアンケートを実施し、集計した。
*表を削除して再送しました。

平田紀之

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