北朝鮮題材映画をネット配信、ユーチューブなどで劇場公開に先行
[ロサンゼルス 24日 ロイター] - ソニー・ピクチャーズエンタテインメント(SPE)は24日、北朝鮮の金正恩第1書記の暗殺を題材にした映画「ザ・インタビュー」について、24日から米グーグル GOOGL.O 傘下の動画共有サイト「ユーチューブ」などを通してネット配信することを明らかにした。
「ユーチューブ」のほか、グーグルのコンテンツ配信サービス「グーグルプレイ」、米マイクロソフト MSFT.O の家庭用ゲーム機「Xbox」を通してレンタル、もしくは購入が可能になる。このほか、SPEが同映画のために立ち上げたウェブサイト( www.seetheinterview.com )からも入手可能になる。料金はレンタルが5.99ドル、購入が14.99ドル。ただ今のところ、ビデオ・オン・デマンド方式で同映画を配信することに合意したケーブルテレビ、もしくは衛星テレビ会社はない。
SPEのマイケル・リントン最高経営責任者(CEO)は声明で、受けた被害を踏まえると同映画の公開はSPEにとり重要なことだったと表明。「公開初日にできるだけ多くの人に観てもらうため、まずネット配信することを決定した」とし、今後も映画の配信先の拡大に努める意向を示した。
CEOによると、公開中止を公表した17日に、グーグルやマイクロソフトをはじとする関係各社に最初にアプローチした。
CNNの報道によると、iTunesでの配信でアップル AAPL.O とも協議したが不調に終わったという。
グーグルのデービッド・ドラモンド最高法務責任者(CLO)はブログで、この映画の経緯を踏まえると「安全面での影響が最大の検討事項だった」とし、「だがすべての問題を協議した結果、グーグルとソニーは、一部の人間が他国の言論の自由に制限を設ける事態を看過することはできないとの考えで一致した」と述べた。
ビデオ・オン・デマンド市場はアップル AAPL.O やアマゾン AMZN.O、ケーブルや衛星放送会社が独占しており、グーグルやマイクロソフトにとってソニーの映画配信は巻き返しを図るチャンスになる。
SPEの発表に先立ち、米CNNがこの日、「ユーチューブ」が同映画の放映で暫定合意したと報じていた。CNNは、SPEはアップルが運営する音楽配信サービス「iTunes(アイチューンズ)ストア」を通して同映画を配信できないか、アップルと協議したものの、物別れに終わったとも報じている。
F5ネットワークスの主任ストラテジストで、ネットセキュリティー専門家のバレット・リオン氏は、グーグルは巨大なインフラを有しており、ハッカー攻撃対策も万全とし、「ユーチューブの画面がいきなり真っ黒になるようなことは想定していない」と述べた。ただマイクロソフトは、よりぜい弱な可能性があるとしている。
米ホワイトハウスは、ネットでの映画公開決定を歓迎する意向を表明。
シュルツ報道官は声明で「オバマ大統領が前週末に明言しているように、米国は海外の独裁者が検閲を押し付けるような国であってはならない」とし、「本日の発表で人々はこの映画に対し自分自身で選択することが可能になる。これがあるべき姿だ」と指摘した。
ソニーの米映画子会社のSPEは「ザ・インタビュー」を上映する予定だった映画館がハッカー集団に脅迫されたことを受け公開中止するとしていたが、23日、米国の一部映画館で公開すると発表した。
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