トルコを投資適格級に格上げ、見通しは安定的=フィッチ

[イスタンブール 5日 ロイター] フィッチ・レーティングスは5日、トルコの格付けを投資適格級に引き上げた。経済がソフトランディングに向かうなか短期的なマクロ財務リスクの低下と、信用面での基調的な強さを要因として挙げた。
適切かつ減少している政府債務と健全な銀行システム、好ましい中期的な経済成長見通し、比較的豊かで多様化した経済状態も指摘した。
長期外貨建て発行体デフォルト格付け(IDR)は「BBプラス」から「BBBマイナス」に、長期自国通貨建てIDRは「BBプラス」から「BBB」に引き上げた。長期格付けの見通しは安定的。
フィッチは「投資適格級への格上げは、トルコ経済がソフトランディング(軟着陸)に向かいつつあるなか、短期的マクロ経済上のリスクが緩和していることを反映している」と指摘。
「トルコでは経常赤字が縮小しており、インフレは2011年に過熱した後は低下している。フィッチはトルコ経済が持続可能な成長に回帰する軌道に乗っているとみている」とした。
ババジャン副首相は、フィッチによる格上げについて、適切な決定だと歓迎の意を示した。ほかの格付け会社もフィッチの判断に追随することを望んでいる、とも述べた。
ババジャン副首相は書面で声明を発表し「トルコがこの信用格付けを獲得したことは、我が国の公的・民間セクターが国際資本市場で資金を調達するにおいて、新時代の幕開けとなるものだ」との見方を示した。
また、シムシェキ財務相は、格上げはリスク認識にも良好な影響をもたらし、トルコへの資本流入を促進し、経済成長を後押しすると述べた。
トルコ経済は2011年に8.5%の成長を遂げたが、今年は内需低迷を受け3.5%に大きく減速するとみられており、トルコ中銀は金融緩和に動いている。
ただ、2002年に現与党の公正発展党(AKP)が政権を取ってから、トルコは年平均5%の成長を維持。インフレ率も8%前後と、3ケタ台にあった1990年代終盤から大きく低下している。
エコノミストの間では、トルコの格付け引き上げはもっと早い時期に行われてしかるべきだったとの見方が出ている。
スタンダード銀行の調査部門を率いるティモシー・アッシュ氏は、「困難な時にあっても債務を償還するトルコ政府の意思を踏まえると、トルコの格付けはかなり前に引き上げられてしかるべきだった。政府による資金調達に対する外部リスクは、長い間過剰に評価されていた」と指摘。
同氏はフィッチの格上げによりトルコに対する信頼が高まり、「新たな投資の呼び込みに寄与する」と指摘。今後、ムーディーズ・インベスターズ・サービスやスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)も後に続くとの見方を示した。
*内容を追加して再送します。

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