核戦争をテーマにしたRTS「DEFCON」登場。
製作会社はインディペンデント系のゲームオブザイヤーを獲得した「Darwinia」と同じところ。この会社のコンピュータらしさを強調したデザインは低予算でもスマート。このソフトも$15ほどで買えます。
ルールはだいたいこんな感じ。
- 敵都市や拠点を攻撃できるのは核兵器だけ。
- 核弾頭の保有数は限られている。
- 核弾頭を使えるのは「防空・核ミサイル切り替えサイロ」「戦略爆撃機」「戦略ミサイル原潜」
- 核攻撃を開始すると、その瞬間敵軍に発射位置警報が発令され、核弾頭の迎撃と使用ユニットへの報復攻撃が開始される。
- 核兵器は同一ユニットからは1発ずつしか発射できない。発射と発射の間には準備時間が必要で、搭載弾を全速力で次々発射しようとしても全弾撃ち尽くすよりずっと前に報復弾が着弾する。
- 核兵器は非常に強力な防空兵器で迎撃され、標的エリアが防空体勢にあれば少々の核攻撃では突破できない。
- 防空体勢から核攻撃体勢に移行していれば防空力は0になる。
- 核攻撃体勢から防空体勢に移行するのには非常に時間がかかる。核攻撃直後にすぐさま防空体勢に移行しても報復弾はその準備時間中に着弾する。
- 以上のルールの為、防空エリアを力ずくで突破する飽和攻撃は非常にハイリスク。
- 多数の核兵器を同時使用するために多数の拠点が攻撃体勢へ移行することによる防御力の消滅、数が限られている核弾頭の大量消費。
こんなシンプルなジレンマから生まれるジェノサイド合戦。
ためしに一度コンピュータと対戦してみたら、北米連合vs東西アジア連合の組み合わせ*1ではじまり、北米連合の自分は試し撃ちしたICBMへの迎撃量でアジア極東の守りが薄いのを見破り、戦略ミサイル原潜部隊とそれの護衛艦隊を全部使って東京名古屋京城釜山上海香港にこれでもかといわんばかりにSLBMを撃ち込んで、海に近く一番攻撃しやすかった東京なんかは1300万人いた人口が10万人になるまで徹底的に攻撃をしかけ、ミサイルサイロも破壊し、これだけ徹底的にやれば終わったと安心。
安心していたら、北極海からはるばる大西洋まで渡ってきた敵戦略ミサイル原潜部隊が北米東海岸にあらわれ、ニューヨークボストンワシントンあと忘れるほどいっぱいの都市にこれでもかと言わんばかりにSLBM撃ち込まれた。太平洋に全力を投入していた自分はほとんど何もできなかった。街は全部消えた。
そして死亡者数6370万人vs5730万人、生存者数3600万人vs4200万人くらいで負けた。ごくごく短い戦いで人口は半減し、人類は自らの行いに恐怖した。
防空サイロで守られたエリアに虎の子の核弾頭を一気に投げつけて飽和攻撃をしかけて、ICBMやらSLBMやらSRBMやらそれを積んだ潜水艦や飛行機が迎撃されて次々爆発しながも突破していった弾が次々着弾し「TOKYO HIT 4.3M DEAD」「SEOUL HIT 3.8M DEAD」「HONG KONG HIT 6.6M DEAD」「SHANG HAI HIT 8.6M DEAD」と都市を消していきスコアが猛烈な勢いで跳ね上がっていくのには、ジェノサイドの背徳感と賭けに勝ったという爽快感がいっしょになった不思議なおもしろさがあります。
BGMは極端に静かなアンビエント系で、それに女性がすすり泣くような声と咳き込む声が入っていたりして、核戦争という絶望的状況の空気が出ていておもしろい……というより怖い!
見た目に無機的な美しさがあるので、マルチプレイは観戦モードにして他人のプレーをスクリーンセーバーのように流しっぱなしにするだけでも楽しめます。こういうゲームは珍しい。
公式サイト
http://www.everybody-dies.com/
写真つきでわかりやすい日本語解説サイト(無料デモバージョンもダウンロードできます)
http://www.4gamer.net/news.php?url=/patch/demo/defcon/defcon.shtml
詳しい方の日本語紹介解説サイト(邦訳版OfficialGuideも読める)
http://defcon.no.land.to/index.php?FrontPage
多くの反応があったのでそれに関するコメントを書きました
*1:エリアはゲームごとに違う