去年の秋のはじめに屋久島に行ってきました。日程的にはこんな感じ。
一日目と二日目:ひたすら移動。大阪〜(さんふらわあきりしま)〜鹿児島本土(フェリーはいびすかす)〜屋久島
三日目:朝に屋久島着。白谷雲水峡を経て安房地区の宿へ。
四日目:縄文杉トレッキング
五日目:バスで永田・志戸子地区をめぐる
六日目:バスで尾之間・栗生地区をめぐる
七日目:宮之浦岳登山
八日目:安房を探索してから鹿児島本土へ。
〜以後、友達の家にお世話になり、阿蘇を経て大分の実家へ〜
屋久島は遠い
去年は時間が腐るほどあったため船旅を選んだ、というのもありますが、屋久島は遠い。
大阪からフェリーさんふらわあで一晩かけて、鹿児島の志布志(しぶし)港についたあとはバスで鹿児島市内に移動。上の写真は鹿児島県民の大好きなデパート・山形屋です*1。
鹿児島から屋久島に渡るには高速船『トッピー』『ロケット』などもあるのですが、安さを追求するなら谷山港から出る『フェリーはいびすかす』。またしても船で一晩過ごすことになるが、屋久島での時間を朝から使えるので便利…だったのは旅行当時の話で、今は種子島との航路しかないみたいです。船旅をめぐる事情は日々悪化している。
港から見える桜島。おれ、これから屋久島に行くんだ…スピリッチャルなパワースポットで聖なる気を浴びて生まれ変わって、遠い目でポジティブなことしか言わなくなるんだぜ…
はいびすかすは「貨物船がついでに旅客運送をしている」という船なので、中に売店やゲームコーナーはないし、デッキから景色を眺めたりもできません。港も自販機と待合所がある程度なので、市街から移動する前に食料は買っておく必要があります。
船旅の夜
船内はザコ寝のみ。カーテンを引けるレディースシートというのがあり、早めに陣取りました。
同室は全国を自転車で旅しているという女子大生と、地元の歩こう会かなんかで来た初老の女性。自然と「旅人たちの会話」的なものがはじまってしまい、「うーん…なぜ人はこの旅に出るなりフランクな感じになるのか…(街中でフランクにすればよいのに)」と思いながら参加するメレ山…。
女子大生「屋久島はなんか行ってみたいなって思ってただけで、ぜんぜん宿とかもとってないんですよ〜」
メレ山「それはチャレンジャーですね。わたしが当たった感じだと見つからないってことはなさそうですけど、着いたら観光協会に行ったほうが。山とか行くんなら宮之浦より安房(あんぼう)地区のほうがいいですよ」
歩こう会の女性「でもあてのない旅ってステキよね〜。わたしは山小屋に泊まりながら縦走するのよ。といってもベテランの人についていくだけなんだけど。そうだわ、あなたもコッソリついてきちゃえばいいんじゃない?」
メレ山(コッソリって、ちゃんとパーティに入れてあげるわけじゃないんだ…そして雨具も持ってない人に屋久島縦走をオススメするとは、聞いてるだけで殺人幇助になりそうな発言だわ)
女子大生「山小屋ってタダなんですか?いいですね〜」
メレ山「ええッ」
そうこうしているうちに外海に出た船がものすごい勢いで揺れはじめ、全員が言葉すくなく床にはりついて就寝しました。
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安眠とはいえないながら「ついに屋久島!」という思いで目覚めると、歩こう会の女性が体調最悪な感じになっていた。
「4回トイレに行って吐いたのよ、お腹もおかしいし」というので、「宿で水分とって寝てたほうがいいですよ」と無難きわまりないアドバイスをするメレ子をヒタと見すえ
「あなたは看護婦さん?」
「…まったく違いますがそう見えますか?」
「ううん、そうだったらいいのにと思って…」
すみません…看護婦じゃなくてすみません…
まったくサワヤカじゃない気持ちで朝の屋久島に降り立ちましたが、平地がほぼなく山が海に切り立っているさまを見ているとまた盛り上がってきました。
白谷雲水峡
港でコインロッカーに荷物をブチこみ、さっそくバスに乗って白谷雲水峡へ向かいました。
白谷雲水峡は三時間くらいあれば往復できて、デカい杉やら苔やらもそこそこ楽しめる渓谷です。屋久島で「そこそこ楽しめる」を求めてどうするんだっていう気もしますが、いきなり縄文杉とかはキツいので一日目はここにしてみました。
石の上でくつろぐヤクザルの群れ。屋久島にはヤクザル・ヤクジカというニホンザル・ニホンジカの亜種がいます。天敵がいないので本土のよりひとまわり小さい体をしている*2。
森はじめっとしていていかにも九州という感じ。青いあやしい菌。
かわいい白いキノコ。
紅ショウガをふったたこ焼きみたいなキノコ。
じめじめした森にはかならずいるザトウムシ。絶賛ケンカ中です(屋久島は人が多すぎなので、自然保護のためにネガティブキャンペーンをしたいと思います!)
目印の赤いテープをたどっていけば道に迷う気づかいはほぼありません。人もいっぱいいるし、「ついていけば大丈夫」な認識の人が出ちゃうのも仕方ないのかな…。
杉も古いのがいろいろあります。わたしは木としてはクスやケヤキのほうが好きだけど…。
木の股をくぐったり、
植物系男子にはめずらしく三本目の足をもつ杉もある。
むかし浮気した男子を複数の女子で責める的なイベントを目撃したのですが、そのときに女子が「足は三本!」と言っていたのが気になり、家に帰って「お母さん、足は三本ってどういう意味かねえ…」と質問したら「それは二本の足の間にあるやつのことだよ」と即答されました。インターネットとかしてないわりに耳年増な女子高生でしたね…それはともかく三本足杉の足元に土を盛って普通の杉にしてあげることはできないのか?
山小屋の横の水場。屋久島は花崗岩の岩盤で土壌が少ないので、水が濁りにくく基本的に汲んだ水をそのまま飲めると言われています。でもトイレも少ないから、水やお茶よりスポーツドリンクを携行したほうがいいです。
もののけ姫の森
土壌が少ない森がどうやって水をたくわえているかというと、苔が大活躍しているそうです。
宮崎駿がなんちゃらの「もののけ姫の森」。たいそうモジャモジャのモスフォレストです。海に切り立つ屋久島に太平洋からの風がぶつかって、国内最高の降水をもたらします。「月に35日は雨が降る」と言われるくらい。とはいえ、春や秋の気候のいい時期を選んでいけば、そこまで雨にたたられることもありません。
もののけ姫の森をのぼっていくと辻峠の休憩所があります。しばらく休んだあと、ひと足のばして絶景スポットの太鼓岩に向かいました。
太鼓岩
太鼓岩への道は10分ほどですが、よく踏まれた道がここからちょっとだけワイルドになった。
これが太鼓岩!山肌に突き出した花崗岩の大岩の上から眺望を楽しめるスポットです。
けっこう人がいるので「この中に一人でもピチガイがいたら三人〜五人くらいはくらい一気に死亡…」と思ってドキドキします。風もビュービュー吹いていた。
爪のようなシルエットは太忠岳(たちゅうだけ)の大岩です。たぶん登ってみたら認識できないレベルの大きさ。予想とは違って、森のスケールよりも岩のスケールに感動していました。
安房の宿
宮之浦で荷物を回収して、バスで安房(あんぼう)地区にやってきました。民宿のおばちゃんは超気さくで、登山用品レンタルの店や食料品店の場所を教えてくれたうえ「一人でさびしくないようにごはんとか一緒に行ってあげるからね!あと、NEWSのDVDをいっしょに観ましょう」と申し出てくれるのだった。気持ちはうれしいが、一人でさびしかったら屋久島じゃなくて心斎橋とか行くので大丈夫ッスよ…でもありがとう…。
安房地区は登山コースへの交通の便もいいし、スーパーや食料品店・登山弁当の店も集中していてとてもいいところです。翌日は超早起きなので、雨具をレンタルしたり登山弁当を予約したりします。
夜はおばちゃんの言うがままに近くの食堂で揚げトビウオを食べた。メレ山がかならずごはんの写真を撮るので笑われました。
次回は縄文杉トレッキングについてお送りします!