トラックボール個別面談

Kensington Expert Mouse Pink(Expert Mouse 7 Pink:Model 64383)

Kensington Expert Mouse 7 Pink
メーカー Kensington
ボタン数 4ボタン
ホイール スクロールリング
エンコーダー 光学式
ボール支持 人工ルビー(合成コランダム)小球による3点支持
ボール径 55mm
コネクタ PS/2・USB

ひかえおろぉっ! ピンクであるぞっ!!

最初は買うつもりなんて全然なくて、見に行ったのは単なる冷やかしのつもりでした。

Expert Mouse Pink。1万2000円もする高額トラックボールの 日本限定カラーバリエーションをいえば聞こえが良いモノの、 そのピンクという選色は何を血迷ってしまったのだろうと誰もが思ったに違い有りません。 配色もまた、銀とピンク(それもけばけばしい)と言う何ともコメントに困るモノで、 正直なところ 初めて本機の写真をみたとき、このトラックボールにふさわしい言葉は だわぁ、と思っちゃいました。

まあ、Orit Optical の方くらいなら、話のネタに買っても良いかしら。 ――くらいの気持ちで、ちょっとアキバにお出かけしたのでした。 が、これが運の尽きだったのです。



・・・かわいい? かわいい! かわいいかもっ!!

ええっと、まぁ、あたしの人格を疑われるのを承知で言うのですが、 実機を前にして そのかわいさに参っちゃいました(^^;。

と言っても「本物見たら意外に良かった」とか 「写真写りが悪かったのね」とかそういうのじゃなくて、もう、最初の印象そのまんま。 毒々しいピンクに浮かんだ色彩感覚を疑う銀のボール&ボタン というのも、おおむね第一印象のまんまです。 にも関わらず、これはかわいいと思ってしまう あたしの感覚はきっと変なのでしょう。 なかなか説明しがたいのですが、 一言で言えば下品でキュート、 それ以外にありません。

この可愛らしさは、 猫のハートを鷲掴み。ああ、まいっちゃう。 一台連れて帰ってしまったじゃないですか。もう。

かわいいの説明

本機の何がどう可愛いのか。どう説明したらいいか、 猫自身にも皆目検討つきませんが、 頑張って説明するならば、その駄目さ加減と 毒々しさこそ 本機のかわいらしさの源泉です。

まず、おおくの人があまりの違和感に写真写りを疑ってしまうピンクですが、 実際の色は パステル風味もオレンジ味も微塵も入らない まごうことなきドピンクです。 某掲示板で言われた様に大人のおもちゃ色という表現が本当に適切で、 ビビットといえば聞こえが良いけど、 否応なしに下品なピンクです。

この個性の強いピンクを アクセントではなくメインカラーとして使ってしまう当たりが 本機の毒々しさの原因です。代わりにアクセントカラーとして 選ばれたシルバーは、この効果を押さえるどころか 倍増させているようで、 結果ピンクにネガポジ反転したかのような印象与えます。 なんというか、凶悪です。 うーむ、言葉を重ねれば重ねるほど「かわいい」の説明とは ほど遠くなってきたました(笑)。

ようするに、考えられる限りの 最高のお莫迦な配色で、 このお莫迦さかげんと毒っぽさを頭ではちゃあんと理解しているハズなのに、 何でこんなにも猫の琴線に触れるのか。 理屈じゃなくて感覚なのよね、 なんともキュートに感じます。

可憐とも愛おしさと無縁の「かわいさ」って なんて日本語で表現すればよいのやら。 「毒々しい」と「かわいい」の間の接続詞は、 猫の心のなかじゃ 「けど」じゃなくて確かに「だから」なのだけど、 その「だから」がなんで「だから」なのかはうまく説明できないんです。 うーん、この「あくの強さが欠点かつ中毒に・・」って感覚、 強いて言えばドクターペッパーが美味しいと思える感覚に似てるかも。

(注:猫はドクターペッパーが大の大好きです)

奇跡のトラックボール

こうまでかわいいと連呼しておいてなんですが、 猫はExpert Mouse Pink がかわいいことを人に説得出来る自信がまったくありません(笑)。 だから猫は本機見ないで購入することを絶対お勧めしません。 世の中どう間違うかは解らないものですが、 おそらく本機を見て「うわ〜っ、かわいいっ」と言える人は少数派でしょう。 また、たとえ気に入ったとしても、常用するには決定的に向かない配色だなぁとも思います。 会社や学校に持って行って使ったら、変態さんの汚名を着ることは確定です

それでも肯定的に捕らえるならば、 なんといっても本来の Expert Mouse 7 が持つ上品さを、 配色一つで水泡に帰してしまうこの破壊力がたまりません。ここが 本機の魅力なのです。 感覚面だけでなく実用面でもメリットがあって、 盗難が怖い職場などでExpert Mouse 7が使いたいならば ちっとも高そうに見えないので、まず盗まれないと思います。ハイ。

また、本機のインパクトは 漆塗りの非じゃありません。 ある意味コスト・インパクトパフォーマンスは非常良いといえます。 この強烈なアクが堪らなくなってしまった方は きっとすぐ市場から無くなっちゃうか、在庫が余りまくって 投げ売りのあげくに幻になっちゃうと思うので、買い時を見極めて 逃さないように気をつけねばなりません。

ああ、だんだん文章を繋げていくのが苦しくなってきました。 滅多な人に勧められないから「いろもの」なんであって レビューをすること自体無茶でした。(^^;)

ともかく、性能、配色、値段と いろんな意味で「凄い」トラックボールですが、 一番凄いのはこのトラックボールが発売されたことではないでしょうか。

この配色が多くの人にとってネタ以外の何者でもないとも思いますが、 ネタでこの金額を支払える人はあまり多くないと思います。 七陽さんだかKensingtonさんだか解りませんが、 このような企画が、ニッチェでゆとりのないトラックボール業界で まかり通ってしまったことこそが、 まさに奇跡です。

マウスならば意外によくあるこの手のいろものですが、 トラックボールでこういう「賭け」ができるようになった ということは、 それだけトラックボールが普及してきた、ということならば 良いのですけど、 一方で元気なのはKensingtonだけの様な気もします。う〜む。

各部の詳細

表 今回はカラーバリエーションということで、 ちゃっちゃと行きます。

まずは俯瞰ですが、なんだか、カラーバリエーションの域を超えたカラーリングですねぇ。 EM7どころか、EMらしさすらないといいますか。

でも、なんだか妙にかわいい。
手前 手前から。
左側面 左横から。
前 後ろ側です。
裏 そして下面。

ゴム足までピンクゴムなところに尋常でないこだわりを感じます。
ケーブル ケーブルもピンクです。(ついでにケーブルを結んでいるリボンもピンク)
パッケージ パッケージもピンク。うーん、ピンクへの執念が凄いです。
通常カラーとの比較 標準カラーのOptical Blackと比べてみました。 配色一つでここまで高級感が無くなるとは驚きです。(^^;
ラベル ラベルです。

単なるカラーバリエーションですが、 オリジナルの型番「64383」が振られています。 ちなみにOrbit Optical Pink が「65384」になります。
パームレスト パームレストです。

ちょっと味高級感のあったシボ打ちパターンですが、 銀になるととたんに安っぽく感じるのは私だけでしょうか。
パームレスト 裏から見るとちゃんと黒いです。なんだか単に銀スプレーをかけただけみたいに思えてしまいます。
パームレスト側のコネクタ とぉっっっても折れやすい、パームレストのコネクタピン。

前回のレビューからだいぶ後のロットのハズなので 改良されているかなぁ、と思ったのですがそのまんま。 早くも撮影中に折れそうに・・(TT)
パームレスト付き パームレストを装着したところです。

うーん、かわいい♪
パームレスト付き 上 パームレスト付き 手前 パームレスト付き 横 パームレスト付きで三面から。

ボールを外す ボールを外すと三つのルビー支持球と光学センサが顔を覗かせます。

TurboBallとかOrbitの後期ロットは支持球がルビー球からアルミナセラミック球に 変わってしまったのですが、Expert Mouse7に関しては人工ルビーのままで一安心。
筐体オープン 単なるカラーバリエーションとはいえ、分解しなきゃ猫が廃ります。 というわけで、容赦なく分解です。
内部 「筐体上側なんて飾りです」と言わんばかりの構造は健在です。 しかし、これだけ部品がごっちゃりなのに、 色一つでこんなにオモチャっぽく感じるとは・・(笑)
ボタンパーツ 塗装 ボタンの部品です。

写真ではちょっと見にくいのですがグレーのプラに 薄くシルバーを吹いているのがわかります。
ボタンパーツ 裏 こちらは裏側。
ボタンの下 ボタンの下側もあいかわらずです。
スクロールリングのクリック機構 この最新のExpert Mouseで確認したかったのが、スクロールリングのノッチを演出する 磁石の有無です。 過去のレビューの個体は、国内販売開始直前時期の 米国輸入品だったのですが、 国内販売の最初のロットはこの磁石が無かったといいます。

で、今のロットはどうなってるのかしら、と見てみれば 磁石が乗っています。うーん、紆余曲折ですね〜。(^^;
スクロールリングのチップ リングの裏から垣間見れる摺動チップの数も 変わってないようです。

ただ、過去のレビュー機と違い、カップの底にリビジョン表記があります。 でも、今まで付いて無いのに突然つけて、 しかも付いたと思ったらRev.1であったりなど、 全然有効活用されてなさそう。ちょっと謎です。
色分けの爪 本来のカラーでは筐体上面は黒とシルバーで色分けされて居るハズで、 これはパーツ分割で実現しています。ピンク単色の本機でもパーツ分割はそのままですので、 この爪を外せば・・、
筐体上面 こうして、パーツをばらすことが出来ます。(結構簡単です。)
カラーバリエーション02 と言うわけで、色が違うパーツが複数有るなら オリジナルカラーを作ってみたいのが人情というもの。 いろいろ遊んでみました。

まずはカッコイイ系から。 単純にOpticalBlackのボタンとボールを銀に変えてみました。
カラーバリエーション03 何とはなしにパンダーZっぽいカラー。
カラーバリエーション04 なるべく派手に組み合わせてみるとこんな感じ。
カラーバリエーション05 こうなるとなんだかまっとうなカラーバリエーションみたい。
カラーバリエーション06 コレもなんだかエレコムのマウスみたいな配色です。
カラーバリエーション07 これもかなり派手目に組み合わせてみたけれど、 サイケデリックでちょっといいかも。
カラーバリエーション08-1 カラーバリエーション08-1 コレは結構自信作だったり。

ShopU さんとか、こういうカスタムモデル作ってくれそうですね。
カラーバリエーション10 ボタン周りを銀にするだけで、 アレゲな感じがだいぶ薄まります。

うーん、と、いうことは、 やっぱりこの配色ではパンチが弱いとの 判断だったのかしら。

こうしていろんなカラーを作ってみると なるほど、オリジナルのピンクよりカッコいいものは出来るのだけれど 破壊力あるのはつくれないなぁ、と変に納得してしまいます。
グラビア ピンク好きにはたまらない本機でしょうが(推測)、 高価なトラックボールなのにどうにもこうにも高級感がないのは 営業上結構なハンデじゃないのかと思ってしまいます。

でも、七陽さんには悪いのだけれど、 これが間違って売れてしまっても良し、 あまりに売れなくて在庫一掃セールになって 安価にEM7が出回るのも良しなので、 どちらに転んでもトラボユーザにはうれしいかしら。

ちなみに猫自身はこのピンクエキパマ7の、 ラブリーさに当てられてしまって、なんだかもうメロメロです。 人間わからないものですねぇ。

<総合評価>

繰球の気持ちよさ 軽い摩擦と大きな慣性、ウルトラノイズレスな繰球感が気持ちよいです。
回り出しの滑らかさ 馴染むまでは光学式点支持特有の「カクン感」があります。
回転中の滑らかさ 回転中も非常に滑らかで軽いっ! ボールが慣性でいつまでも回っていそうな感覚です。
ドラッグのしやすさ ボールの操作に手全体を使うため、ちょっと難あり。
対腱鞘炎 パームレスト無しだと辛いかも。レスト付きで普通くらいでしょうか?
コストパフォーマンス 悪い冗談のような機体にこの値段。最悪です。
三猫の中毒度 ★★★★☆
おすすめ度じゃないことに注意。