『名もなきアフリカの地で』50点(100点満点中)
ドラマは平凡で印象に残らないが、子役とアフリカの自然は見もの
アカデミー外国語映画賞を受賞したドイツ映画。
ナチスの時代、その迫害を逃れるためにアフリカに渡ったユダヤ人一家の物語。その小学生くらいの娘は、アフリカ人に偏見を持っている母親とは違い、なんの差別意識も無く現地のアフリカ人若者と友情を育む。
彼女の目を通して描くアフリカと、その原住民が大変魅力的で、現地に長くすむユダヤ系の人々が、揃って彼らに尊敬の念を持って接する気持ちが、クーラーの効いた劇場に座って見ている我々にも良く伝わってくる。
肌の色と同じように対照的な2つの民族の文化。しかし、その違いをもろともしない、ユダヤ人少女とアフリカ人若者の堅い友情、そして少女の確かな成長を描く事で、その母体たるアフリカの懐の深さを感じられるようになっている。
『名もなきアフリカの地で』は、いかにも賞ウケしそうな、スケールの大きな映画である。ただ、テーマもストーリーも平凡で、この内容に141分は長い気もする。
オールヌードシーンまで頑張る、娘役のレア・クルカがカワイイ魅力を振りまいているので、映画自体の印象は深いのだが、いわゆる単館ファン向けの、地味な映画だ。何を書かれようと見るつもりという、そういう人だけが見に行くタイプの映画といえる。