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2025/01/23 00:06 |
“オタ芸”と“コール”の線引きを考える
『アイドルマスター ライブフォーユー!』の販促用動画が公開され、話題になっているのが「ファンからの声援」をテーマにした音ゲーを思わせるシステム。音楽にあわせてタイミングよく指定されたボタンを押すと、客席からの掛け声が再現され、ポイントが入る? というものです。このシステムに対しては賛否両論で、どちらかというと否……というより、“このシステム、大丈夫かな”という不安と期待が半ばの空気が漂っているように思います。

 ●“オタ芸”と“コール” 
否定的な意見の中には、「グレパではオタ芸禁止の旨が発表されたのに、矛盾してない?」というものもあります。このあたりについて考える上では、オタ芸、そしてコールというものの定義を考えてみる必要があります。このあたりの議論が必ず混乱するのは、語っている人たちが、「オタ芸を楽しんでいる人たち」と「ステージを見る上で邪魔だと考える人たち」のどちらかの立ち位置で語っているからで、それぞれに自分の立ち位置にとって、具合のいい定義を前提に語るからです。この系統の議論として頻発するやり取りを例示すると、

A「オタ芸は危ないしステージ見てねーじゃん」
B「座ってお通夜みたいに見てろって言うのか?」
A「そんなことは言っていない、適度に飛んだりコールはいい」
B「はいはい、マグロは黙ってろよ。在宅涙目ww」

的なものです。かなり強調して書きましたが、オタ芸否定派は「オタ芸←→コールや掛け声」という前提で話しているのに対し、肯定派は「オタ芸・コールといった盛り上がり全般←→静かに聞きたい派」という前提で話しています。これでは会話が成立するはずがありません。どちらかというと、オタ芸肯定派が軸をずらしにかかっている印象があるのですが、彼らにとっては自分のライブの楽しみ方が否定されるか、許容されるかの瀬戸際なのですから、必死になるのも仕方がないと思います。

 ●そもそもオタ芸とは
  どこまでがオタ芸、どこからがそれ以外という判断は難しいのですが、語る上では重要な差異なので、個人的な切り分けをしておくと……

□オタ芸

ロマンス:斜め上を指差す動作を、上体の回転を交えて左左右右左右左左、右右左左右左右右と繰り返す。高速バージョン、のけぞり、ペアで鏡合わせ、などのバリエーションも
OAD:オーバーアクションドルフィン。曲調に合わせ、頭の左右での手拍子をリズムよく繰り返す。上体を激しく回転させ、ロマンスに近い動きをすることも
マワリ:頭上で手を打ち合わせながらその場で回る
ロミオ:演者に向かって手を差し伸べる動きをさらに強調し、肩もはずれよとばかりに腕を伸ばす。最前列中央でよく見られる

□コールなど、肯定的に受け入れられることが多いアクション

PPPH:パン、パパン、ヒュー! と手拍子とともにリズムよく叫び、ヒューでジャンプを行うことも
ケチャ:手扇子、もしくはサイリウムを縁者に向けて差し伸べるように振る。会場全体で揃える
合いの手:「はーいはいはいはい!」「ほっちゃーん!」「まーすみん、まーすみん!」など、ボーカルの合間や、盛り上がりの前に入ることの多い掛け声
ヘイヘイ(名称不明):間奏中、「ヘイ! ヘイ!」と拳をつきあげながら叫ぶ。演者が煽ることも多い

□コール寄りだが、否定的に受けとられることが多いアクション

MIX:「タイガー! ファイヤー! サイバー! ファイバー! ダイバー! バイバー! ジャージャー!」などの独特の叫び
長台詞のコール:「愛する○○のためならば、世界におそれるものはない。~~」みたいな2、3行ぐらいのロングコール
話しかけ:トークに対し、演者が反応を求めていないところで介入していく

といったところです。基本的に、「自分が目立ちたい、個人的に演者に注目されたい」アクションは好まれず、「会場の一体感や演者の盛り上げを考えている」アクションが歓迎される傾向にあるように思います。これに「動きが大きく、周囲に迷惑を与えやすい」「ステージを見ていない?」といった要素が加わるものが、“オタ芸”と呼ばれやすいようです。

●演者の側は?
では、演じる側の舞台の声優さんやアニソン系歌手の皆さんは、どのように考えているのでしょうか。基本的に、公的なスタンスとしては、「コールなどで盛り上げてくれるのは大歓迎、過度のオタ芸に関しては言葉を濁す」というものが多いようです。肯定的なスタンスの代表は、桃井はるこさんでしょうか(※モモーイはアイドルノリは大好きだが、ロマンスなどオタ芸に関しては、必ずしも肯定的ではないとのご指摘を頂きました。確かに納得なので補足させていただきます)。ICHIKOさんもかなり積極的で、反応の薄い客層の場合、かなりアクティブにアクションを求めている印象があります。一方、オタ芸に対してかなり強烈に否定的なメッセージを送っているのが榊原ゆいさん。高いジャンプやオタ芸、危険行為をすべて禁じて、「自分の芸を見せに来るんじゃなく、ゆいの芸を見に来てくださぃ(笑)」と明言しています。その榊原さんも、声を出し、手を上げるライブとしての盛り上がりにはもちろん肯定的です。妖精帝國の妖精ゆい様は、過度のがっつきをする観客に対しては、「和を乱すものは帰れ! ……すまん、今のは言い過ぎたな」とツンデレっぷりを発揮していましたが、「会場全体のノリやアクションの共有、世界観の維持」に心を砕いているのが伝わってきます。こうして見ると、スタンスがはっきりしているのは、やはり歌手の人が多いですね。声優さんだと、アイマスの最初のシークレットライブで、若林直美さんがPPPHに本当に感激していたのを思い出します。

盛り上がってほしいが、主役はあくまでもステージ。言葉にするとしごく当たり前なことなのですが……。オタ芸を好む人が最もコアな常連客であることは否定できず、演者が未熟な場合は、彼らが盛り上げ役を担っているケースも多いのが、問題をさらに複雑にしているように思います。 

●指針をはっきりさせることが大事
この話題が果てることはないのは、最初に書いたとおり、結局のところ「オタ芸やりたい人」と「やめてほしい人」の立場が断絶しており、一定のラインからは歩み寄る余地がないからです。では是非の基準をどこに置くのか、という線引きを、演者の側からはっきり提示するというのが、大事になってくるのではないでしょうか。その意味で、今回のアイマス関係の「オタ芸はやめてね。でも盛り上げるコールは歓迎よ」というメッセージは、不毛なやり取りに決着をつける一助にはなるでしょう。ルールがないところでお互いの希望をぶつけあって争いになるのなら、線引きをするのは主催者側が望ましいと思います。

もちろん、例外はあって、宝塚型の“ファンの間での統制・規律がしっかりしている集団”では、その客席ならではの慣習法が定められる余地はあると思います。声優業界で言えば、田村ゆかりさんのライブなどは、客席の側から規律・ムードが作られている好例だと思います。しかしなかなか、そこまでの経験値を重ねるのは難しいですね。

おまけ:客席の近辺や中で取材していて一番怖いのは、断トツでロミオとロマンスです。後ろ頭をはたかれるぐらいなら我慢しますが、商売道具のカメラを叩き落されるリスクは本当に怖いです。 
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2007/11/21 14:15 | Comments(22) | TrackBack() | 雑記(アニメ系)

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