いつも嫌味を言う人っていますよね。
契約を取ってきたときに上司が一言。
「よく取れたなあ。あんな資料で」
それって褒めてるのか?けなしてるのか?
有給休暇の申請をしたら、
「いいけど・・・こんな忙しい時期に休むの?」
「俺だって休んでないのに?」
とチクリ。
3週間前から休むって予告していたじゃないですか。
嫌味な人はレパートリーが豊富です。言われるたびに腹が立ちます。
「なんで、その一言を付けるかなあ」
「最後の一言、余計」
「どんだけ語彙力を無駄づかいしてるのだ」
そんな心の声を口に出せるはずもなく、私たちはグッと耐えるわけです。
このイライラを同僚にぶつけたり、ストレス解消に散財したりする。
一体、自分は何をやっているのだろう・・・。
よし、ならば、最初から嫌味を言われないようにすれば良い。
嫌味予防策として、ウソをつくことを思いつきます。
休むときも「身内が大変でして」みたいに、文句が出そうもない無難な理由にしておこう。これなら嫌味も言えまい。
しかし、そんなウソをつくと、休み明けに、
「お祖父さんは大丈夫だった?」と聞かれたりします。
「ええ、何とか」と話を合わせると、
「あれ、お祖母さんだっけ?」とニヤニヤしながら言われる。
しまった、試された!
えーっと、休むとき、なんて言ったっけ?祖母?祖父?どっち?
と、ウソに話を合わせなければならなくなり、もうウソのストーリーで小説が書けるぜってレベルまで練り込まないといけなくなります。
ああ、めんどくさい!
嫌味を言われ続けると、苛立ちと罪悪感がごちゃ混ぜになって、自分の気持ちも分からなくなってしまいます。ストレスが貯まり続けます。
仕事で、うつ状態になった人とか、人間関係が原因で退職した人とかの話を聞くと、結構な割合で、嫌味な上司、嫌味な先輩が登場します。
仕事は好きだったのに、嫌味のせいで、体調を崩して退職。
なんともったいないことでしょうか。
これは、そろそろ真剣に嫌味対策を考えないとまずいです、日本。
苛立ちとか罪悪感がごちゃ混ぜになっていますので、まず、それらの感情を生み出す嫌味を整理するところから始めてみましょう。「嫌味」と一括りにしても、色々とあります。
「嫌味か!」と感じたときに、覚えておきたい視点を二つ紹介します。
視点1 みんなorあなた?
嫌味を言ってきた上司は、みんなに嫌味を言っていますか?
それとも、あなたにだけ言っていますか?
みんなに嫌味を言っているならば、それは上司の口癖です。
特に意味はありません。
『妖怪ウォッチ』の人気キャラであるジバニャンが語尾に「にゃん」と付けるように、
私たちがプレゼンで、つい「あー」とか「えー」とか付けてしまうように、
彼らは癖で嫌味を付けてしまうだけです。
「ここ間違ってるぞ。そんなんでよくウチに採用されたなぁ」
という嫌味の後半は口癖に過ぎません。
癖って簡単に治りませんよね?もう、仕方がないのです。
そんな口癖の嫌味を言われたら、こっちで変換してしまいましょう。
「ここ間違ってるぞ。そんなんでよくウチに採用されたなぁ」
→
「ここ間違ってるにゃん」
聞いた瞬間に脳内で変換するのです。そうすれば腹も立ちません。
きっと嫌味な上司にステキな笑顔を振りまけるはずです(くれぐれも吹き出したりはしないように)。
「視点1 みんなorあなた?」の話に戻します。
次に、上司が、みんなには言わないのに、あなたにだけ嫌味を言ってくる場合です。
なんで自分だけ嫌味を言われるのだろう・・・。自分だけ嫌われているのだろうか。あなたはそう感じるはず。
まあ、7割くらいはそうかもしれませんね。
じゃあ、残りの3割は?
好かれている。
ほら、憎しみと愛情は裏返しって言うじゃないですか。
まず、あなたに対して、他の人と違う対応をしてくるということは、他の人に抱いていない感情を持っているということです。
「俺だって休んでないのに?」という嫌味の裏には、
「お前はいいなあ、自由に休めて。うらやましい!」という気持ちが含まれています。憧れです。
「ここ間違ってるぞ。そんなんでよくウチに採用されたなぁ」の裏には、
「お前は俺には理解できない何かを持っているのか?くっ」という気持ちが含まれています。畏敬の念です。
「最近の若い人は・・・」→「若いっていいなあ」
「独身は気楽でいいよな」→「あの頃に戻りたい」
隣の芝生は青いってヤツですね。
あなたの持っているものが好きだから、うらやましくて嫌味となり口から出てしまうのです。
もちろん上司にだって、うらやましい点があるはずなのですが、それを置いておいて、とりあえず目の前のあなたの利点だけが見えてしまうのです。
だから、嫌味を言われたときは、胸を張っていい。
あなたは羨望の対象になっているのです。
ミスユニバースだから嫉妬されるって感じ?
視点2 有益or無益
「嫌味を言われた!」とムカついているときは、嫌味に役立つことなんてないと思っているでしょう。
余計な一言を付けるんじゃないよ、と感じることでしょう。
ただ、この嫌味が意外にも役立つこともあるのです。
手紙やメールでも、追伸とかP.S.とか、最後にちょっと付け加えた所に、つい惹かれてしまうことがありませんか?
「要件を伝えたぜ」と気を抜いた瞬間の一言って、その人の価値観が出てきます。
嫌味な一言には、その人の価値観がむき出しにされていることが多いのです。
「よく取れたなあ。あんな資料で」
→「あんな資料」
→「資料はもっと作り込んでから営業に行くべきだ」
「ここ間違ってるぞ。お前、何回目だよ」
→「何回目」
→「ミス自体より、繰り返すことが問題だ」
もし、上司があなたに嫌味を言ってくる場合、上司とあなたは価値観が違います。価値観が合わない点に嫌味を言ってくるわけですね。
これはチャンスです。
上司の価値観から学ぶべきものがあるかもしれないからです。
「資料はもっと作り込んでから営業に行くべきだ」という価値観を上司が持っているならば、上司の資料作成スキルは、あなたの遙か上を行くもの。
教えを乞う絶好のチャンスなのです。
「ミス自体より、繰り返すことが問題だ」という価値観の場合、上司はミスを回避する仕組みを持っている可能性が高いです。
上司の嫌味から「~べき」という価値観が垣間見えたとき、そこから学ぶものがないか考えてみましょう。
ひょっとしたら上司も「資料の作り方を教えてやるよ」という気持ちで「あんな資料で」と付け加えたのかもしれません。
余計だと思っていた嫌味が、思わぬ財産に化ける瞬間です。
「嫌味な上司の発言だから」という目で見ていると、財産を見逃してしまうかもしれません。
一回、先入観なしでチェックしてみましょう。
「視点2 有益or無益」で、有益な嫌味もあることをお伝えしました。
しかし、現実には、残念ながら、無益な嫌味も多く存在します。
「お前、本当にダメだな」「小学生だってもっとマシだぞ」というように、どう解釈しても人格否定だよねって発言がされることもあるでしょう。苛立って、名誉毀損や侮辱罪について調べたくなるときもあるでしょう。
こんな発言は、相手にするだけ時間のムダです。
発言する上司自体がダメな人間でしょうから、スルーしましょう。
PCメガネでブルーライトをカットするように、
ノイズキャンセリングイヤホンで、余計なノイズをカットするように、
嫌味もカットして話を聞くようにしましょう。
サラリとかわす方法
以上の2つの視点をまとめて、表にしてみましょう。
各視点の組み合わせで4パターンができます。
1 「・・・」(脳内で「にゃん」に変換)
無益な嫌味はスルーです。
無言というより、嫌味をなかったことにして、話を続ければ良いでしょう。
「いいけど・・・こんな忙しい時期に休むの?」
「ええ、休みます」
と結論だけ返せば良いです。
みんなに嫌味を言う上司であれば、脳内で語尾を「にゃん」と変換して楽しんでも構いません。
2 「もっと詳しく教えてください」
嫌味があなたに対してだけ発せられており、かつ、有益な場合、違う価値観を取り込むチャンスかもしれません。
目を輝かせて教えを乞うてみてはいかがでしょうか。
3 「みんなに教えてくださいよ」
嫌味と思われている上司の発言が実は有益であり、かつ、みんなに発せられている場合、その上司の力を部署内で広げてもらいましょう。
有能なのに、口が悪いタイプです。
彼の能力が発揮されれば、チームの力、会社の力が伸びる可能性が高いのです。
嫌味の裏に隠されたお宝をみんなで共有しようではありませんか。
まとめ
嫌味を受けて、気持ちがゴチャゴチャしてしまうのは、いろんな嫌味を混ぜて反応してしまっているからです。
一度、嫌味を仕分けしてみると、意外にスッキリできます。
余計な罪悪感、イライラをサラリとかわして、仕事に打ち込んでいきましょう。
P.S.
嫌味な上司への反応の一部は、書籍『めんどうな人をサラリとかわしテキトーにつき合う55の方法』から抜き出しました。
嫌味な上司以外にも、めんどうな人をかわす方法を色々と紹介していますのでチェックしてみてくださいね。
著者:石井琢磨
『めんどうな人をサラリとかわしテキトーにつき合う55の方法』著者。弁護士。幼少時から家族が次々と壺を買わされるという、ダマされ環境で育つ。偏差値35から中央大学法学部に合格。在学中に司法試験一発合格、消費者事件を中心に活動中。
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