MSN産経ニュースに掲載された記事、
<【教育】「道徳」の教科化をJCが文科相に提言>
2009年1月7日 8時47分
↓
http://sankei.jp.msn.com/life/education/090107/edc0901070847010-n1.htm
短い記事ですので、以下、全文引用します。
-------------
日本青年会議所(JC)の小田與之彦(よしひこ)会頭は、文部科学省に塩谷立文科相を訪ね、小中学校の学習指導要領で「道徳」の教科化を求める提言書を手渡した。
提言書では、現状の「道徳」授業について「授業時数が確保されず、教える内容も担保されていない」と形骸(けいがい)化への懸念を示し、「検定教科書の不在が教師の混乱を招き、教師の勉強不足や能力による格差が生まれている」と指摘。
教科化の壁とされる点数評価については「国語と同じように行う」とし、検定教科書には偉人伝や天皇の歴史、武道・茶道など「道」を盛り込むべき-などとしている。
小田会頭は2041人の賛同署名も提示。JCによると、塩谷文科相は「道徳教育の重要性は認識している。教科化は一つの手法に過ぎないが、提言をきちんと検討したい」と話した。JCは「道徳の授業はどうあるべきかという議論を国民の間に広げていきたい」としている。
-------------
民間団体がその団体としての「提言」を政府に提出するのは、それぞれの団体の自由としてあっていいことですけどね・・・渡された「提言書」に政府がどう対応するのか、ということが重要なんですから。
この「社団法人 日本青年会議所」のHPを検索で探してみてみましたが、「提言」らしいものは見つかりませんでした。
↓社団法人日本青年会議所のHP TOP
http://www.jaycee.or.jp/index.html
↓社団法人日本青年会議所 倫理道徳力教育実践委員会HP TOP
http://www07.jaycee.or.jp/2007/strength/morality/
だから、上に引用した産経新聞の短い記事しか資料がないのですが、
記事中に、
>JCは「道徳の授業はどうあるべきかという議論を国民の間に広げていきたい」としている。
と、あるので、意見を述べたいと思います。
私は、「道徳」の教科化には反対する立場をとります。
↓2007年5月18日の日記で、私の考えを書いているのですが、
http://plaza.rakuten.co.jp/yotayotaahiru/diary/200705170000/
簡単にまとめると、
(1)「道徳」を教育しようとするときに「成績評価」を行うことは道徳の荒廃につながる。
(2)先生方に、教材研究の充分な時間と一人一人の児童・生徒を見ることのできるゆとりがあれば、通常の教科の中で「道徳教育」は実践できる。
という2点になります。
子どもをなめちゃいけません。
教科書に基づいた授業の中で、「成績評価」されるとなれば、どうしたら良い成績をとることができるか、ということくらい、目先の効く子どもたちはちゃんと見つけます。
自分の中にある葛藤と取り組まずとも、「良い成績」になるための作文くらい、書けてしまいますからね。受験を控えた中学生はことに、内申書にひびきますから真剣に取り組むでしょう。
そういう考え方をする私にとって、
>教科化の壁とされる点数評価については「国語と同じように行う」とし、検定教科書には偉人伝や天皇の歴史、武道・茶道など「道」を盛り込むべき-などとしている。
という、考え方は私には理解できません。
ここで書かれている、「国語」と同じようにって、教科書に掲載されたテキストを正確に読み取って、テストで良い点をとるということなんでしょうか。テキストに対する反論がある場合、その自分の意見をしっかりと論理立てて記述することは、「道徳」の場合、どうなるんでしょうか。
「偉人伝」って、「偉人」ってどういう人のことなんでしょうか。
時代によって「偉人」と「悪人」の位置付けって変わる場合もありますよね。
「天皇の歴史」って、「道徳」とどういう関係があるんでしょうか。
南北朝時代とか壬申の乱とか継体天皇とかどうするのかしら。
「武道」や「茶道」などの「道」って、そう荒っぽくまとめちゃっていいの?
歴史や文化をきちんと学ぶことと相反していませんか?
今、思いつくのはこれくらいなんですけど。
また、ゆっくり考えていきます。