既存顧客向けの会員制優待サービスとして、ドコモユーザーの83%が加入するドコモ「プレミアクラブ」。携帯電話のアフターサービスやドコモポイントの優待といったサービス提供だけでなく、プレミアクラブの“母数の大きさ”が様々なビジネス効果を生み出しつつある。
前編に引き続き、NTTドコモ営業本部マーケティング部プレミアクラブ担当課長の田中浩明氏、同プレミアクラブ担当の森雄一郎氏と三吉顕史氏にインタビュー。ドコモのプレミアクラブへの取り組みと、今後の展望について話を聞いていく。
プレミアクラブではドコモポイント獲得での優待のほかに、様々な飲食店や施設で使えるケータイクーポンを使った会員優待サービスがある。
例えば、複合映画館の「MOVIX」では全国で毎週金曜日を「プレミアクラブの日」としており、プレミアクラブ会員はケータイクーポンの画面を見せるだけで一般が300円割引、大学生・高校生が200円割引になる(2007年3月末日まで、2006年11月の記事1/記事2参照)。またケンタッキーフライドチキンではプレミアクラブ会員向け優待メニューを多数用意しており、3月8日からは「チキンフィレサンド+ドリンクR+ポテトS」のセットメニューが会員特別価格400円で提供される。ほかにもすかいらーくグループ各店やドトールコーヒー、インターコンチネンタル東京ベイなど複数のシティホテル、三越や松坂屋、大丸など百貨店といった様々な業種で、プレミアクラブ会員向けの優待サービスが用意されている(2月14日の記事参照)。
「プレミアクラブの会員優待サービスは2004年11月に始めまして、現在は全国約7000ヶ所で実施しています。利用数も順調に伸びていまして、2006年度の上期には延べ約180万件の利用がありました」(森氏)
プレミアクラブの公式サイトを見れば分かるが、会員優待サービスのバリエーションは幅広く、しかもユーザーにとってお得なものばかりだ。サービスの認知度が高くなるごとに、利用数は大きく伸びているという。しかも、このプレミアクラブ会員優待サービスの仕組みは、クーポンを媒介としてドコモと提携先企業との間にWIN-WINの関係が築けている。
「利用件数が多いというのは非常に重要でして、ドコモとしては、いろいろなシーンで『ドコモのユーザーでよかった』とお客様に感じていただける。これは顧客満足度の向上に繋がります。一方、提携先企業は多くのドコモユーザーが送客されてくる、という形になりますので、顧客獲得のメリットがあります。
ドコモやドコモユーザーからすれば、(会員優待サービスで)提携先企業が送客のメリットを強く感じていただければ、それだけ多くの優待サービスや特典を用意していただけるということになりますから、よりよい循環のモデルが作れるのです」(森氏)
ここでポイントになるのが、会員優待サービスにおけるドコモの立ち位置だ。ドコモはプレミアクラブ会員4200万人に対して提携先企業のプロモーションを行い、提携先への送客を行う。一方、提携先企業に求めるのは、プレミアクラブ会員への特典サービスの提供のみだ。
「ドコモと提携先企業の間には(プロモーションや送客に伴う)お金のやりとりがないという珍しいモデルになっています。我々としては、ドコモに支払う送客手数料は要らないので、できるだけ多くの特典をプレミアクラブ会員に提供してほしいと提携先企業にお願いをしています」(森氏)
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