レノボ・ジャパンは、ThinkPad X300を発表した2月26日に製品説明会を行った。従来から人気のある軽量小型のThinkPad Xシリーズが大幅にリフレッシュというだけでなく、海外のWebページなどでその薄いスタイルが事前に紹介されたことから期待が高まる中、多数の関係者が集まった。
薄く、軽く、そして頑丈なモバイルノート――写真で解説する「ThinkPad X300」
大和の技術を結集した“究極のThinkPad”――「ThinkPad X300」発表会
レノボ・ジャパン 製品事業部担当 執行役員の落合敏彦氏は、ThinkPad X300の開発とはThinkPadの良さを失うことなく、ノートPCで重要とされている3つの要素(薄さ、軽さ、バッテリー駆動時間の長さ)をレノボの技術でどこまで伸ばせるかの挑戦であったと述べている。
ThinkPadのラインアップにあって「TとXが重なる部分」(落合氏)に位置するThinkPad X300は、Tシリーズが持つパフォーマンスと大画面ディスプレイの使いやすさをXシリーズの携帯性能で実現することを目指している。13.3インチワイドというXシリーズより大きい液晶ディスプレイを搭載したことでフットプリントは増えているが、最薄部18.8ミリという筐体と3セルバッテリーの搭載で1.42キロという軽さを実現した。
落合氏は、薄くなった筐体で堅牢性能を維持するために新しく開発されたThinkPad Roll Cageや、ハイブリッドCFRPカバーを採用した液晶パネル天板、基板面積を削減するために採用されたHDI基板とSFFのCPUにチップセット、打鍵感が改良されたキーボードなど、ThinkPad X300に導入された新しい技術を列挙し、「大和事業所の技術の粋を集めたThinkPadらしいThinkPad」と新しいThinkPad Xシリーズに対するレノボの期待を表した。
レノボ・ジャパン 大和事業所 研究・開発 チーフエンジニアの福島晃氏は、落合氏が紹介した新技術の具体的な内容を説明した。大きくなった13.3インチワイド液晶ディスプレイについては、従来の1024×768ドットから1440×900ドットに広くなった解像度のほかに、厚さが2.5ミリ減/重量が140グラム減と薄型軽量化が進んだことと、LEDバックライトの採用で輝度が20%明るくなったのにもかかわらず、バックライトの消費電力は20%から80%減と進化したことを紹介、ストレージデバイスとして採用された64GバイトのSSDについては、PCMark05の結果が2.5インチ5400rpmのHDD搭載システムの約4倍の結果を出し、Windows VistaのOS起動時間が30%減になった検証結果や、耐衝撃性能(4〜5倍)や、低消費電力(平均で85%減)、軽量化(2.5インチHDDから55%減)が向上したことを、具体的な数値とともに示した。
システム基板の小型化は筐体の薄型軽量に貢献する要素だが、ThinkPad X300では、内層基板同士の配線を可能にするHDI基板技術や、インテルのSFF(Small Form Factor)パッケージを採用したCPU(Core 2 Duo SL7100)とチップセット(Intel GS965 Express)を実装することで、ThinkPad T61から基板面積が50%減、基板重量は60%減となった。IBM時代のThinkPad開発におけるシステム基板は、筐体強度を維持するために「左右側面に接していること」というルールがあったが、ThinkPad X300のシステム基板は筐体の一部を占めているに過ぎない。これでも、従来からThinkPadに課せられている堅牢性能の基準はクリアしているが、この背景として開発スタッフは「ThinkPad Roll Cageの導入によって可能になった」と説明している。
ThinkPad X300のために新たに開発されたThinkPad Roll Cageでは、従来1層の骨組み(Roll Gage)で守ってきたシステム基板を下から支えるマグネシウム製のベースカバーと組み合わせて保護し、Roll Cageの形状もこれまで別パーツだったキーボードベゼルの部分まで一体化することで強度を増すなどの工夫で、薄い形状でもノートPCの重要部品にかかるストレスを15%低減させている。
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