芋から考えるデザイナーのセルフマネジメント
こんにちわ、スワンです( 'ω')
今日はデザイナーのスキルセットについて、日頃のモヤモヤ考えていたことを話そうと思います。
前置き
さて、なんといっても個人的去年のニュースと言えば社会人4年目になって初めてメインデザイナーとして血反吐を吐いたプロダクトのリリースです。自分で手あげたくせに何泣き言いってんだぶん殴るぞって感じですが、正直言って本当にジタバタした1年だった。
なんでキツかったって、もちろん色んな要因はあるけど、なんといっても辛かった1番の理由は「セルフマネジメント」が思うようにいかなかったことだと思う。なので今回はデザイナーのスキルセットをベースにセルフマネジメントについて体感したことをまとめて書こうと思います。
目次
本当に自分をコントロールできてるかって話
「あなたは自分のタスクをほぼコントロールできてますか?」
仮に読んでる人が新人時代を終えた以降ぐらいを想定するとして、結構な人がYESと頭を縦にふる気がする。
いや、だって2年以降って言ったらそこそこ仕事をこなしてるわけですよ。そこそこ打たれながら仕事覚えて、そこそこ評価されて、そこそこに大きな仕事をして、運良ければ数字に繋がって、そこそこ自分の仕事にプライドを持ち始めちゃう時期です。自分が積み上げてきたものを「ろくでもないですよはっはっはー!」と笑い飛ばせる人はなかなか居ないと思う。表立っては言わないけど「賞賛されるものではないかもしれないけど自分にとっては大きな成長で、必要なものだった」と思わなければ自分との折り合いがつかないのが健全な思考だと思う。
そのタスクは誰かが洗った芋ではないか?
突然ですが私は芋が好きです、特にサツマイモが好きです。
こいつ頭おかしくなったのかと思わないでください至って冷静です。で、なんで急に芋の話かって、スーパーで売ってる芋ってすごく綺麗じゃないですか。洗わなくても食べれそうなぐらい(洗うけど)綺麗な状態でお店に並んでて、その中から美味しそうなやつを選ぶわけです。私は地元の親戚に農家の家があってジャガイモの収穫とかお手伝いしたこともあるような田舎育ちなんですが、掘ったことある人ならわかると思うんですけど掘りたての芋ってドロッドロなんですよね。もう、全部泥なんじゃないかっていうくらい泥。雨上がりとかだともうすごい、爪の中は土でびっしり、洗っても洗っても落ちやしない。
で、じゃあなんでスーパーの芋が綺麗かって業者が洗ってから販売してくれてるからなんですよね。 いや、知ってるわって思うと思うんですけど。社会人1〜2年目で落ちてくるタスクってまさにこの「洗われた芋」だなって思うのです。
綺麗なタスクと泥付きのタスク
仮にこれを「綺麗なタスク」と呼ぶこととします(綺麗なジャイアンみたいなイメージ
- 誰かがもらってきたタスク
- 誰かが要件整理してくれてる
- 誰かがゴール定義してくれてる
- 誰かが課題設定してる
- 仕様が決まっている
- 代行できる人がいる
などなど、捉え方は広いけど。 今すぐ特に頭をひねらずに(デザインとかトンマナで悩むとかは別にして)アウトプットに集中できるタスクというイメージ。
ここで勘違いしないでほしいのは、綺麗なタスクをきちんとこなせる人って無能とかではなくちゃんと優秀だと思います。ちゃんとお仕事できる人。 でもじゃあ何が厄介って、綺麗なタスクをこなせるようになると急に自己管理能力がMAXになったような気分になっちゃうんですよね。
あなたの周りの芋洗い人
あなたのチームにはディレクターはいますか?プランナーは?スクラムマスターは?プロダクトオーナーは?あなたに具体的なタスクが落ちて来るまで、どれだけの「泥」が削ぎ落とされてるかいままで感じたことってどれくらいあるのかなって思うんです。
自分が感じているよりもずっと多く、知らないところで自分の代わりに頭を下げてくれたり、叱られてたり、そもそもこんなに仕事振ったら潰れちゃうなってタスク量調整してくれたり、やりやすい仕様に整えてくれてたり、自分の周りにいる人達がが私にとっての「ジャマモノ」を先に、しかも知らないところで片付けてくれてるんですよね。そんなことを既にわかったような気がして、実際半分も実感してないことが多い。
泥付きタスクは精神を蝕む
綺麗な芋が扱えるようになって、やっと泥付きの芋が取り扱えるようになります。おめでとうございます。え、例えが芋芋うるさくてよく分かんなくなってきたって?わたしもだよ、奇遇だね。
泥付きのタスクはとにかく最初上手くいかない、から結果的にダイレクトにメンタルにきます。
先に補足しておきますが、泥付きタスクがあること自体がやばいとか酷いって話じゃないです。むしろ泥付きのタスクって自分が責任者だったり、決定権や裁量権が大きかったり、自分から生み出したものだったりと仕事のやりがいに繋がるものが多いと思います。社会人としてもそれに着手するのは大きなステップアップだと思うし、みんな超えていく壁、ならぬ泥だと思うのです。
でもじゃあ何が問題かって、受け取った最初はそのタスクに「泥」がどれだけついてるのか理解してないこと。
そもそも泥付きのものを受け取ったりこなしたことないと、世の中にそういうモノがあるんだって気付きにくいんですよね。綺麗なタスクだけで世の中が回ってる気がしちゃう。今までのやり方で、今までの自分のワークフローでこなせるように思ってしまう。で、そのままいつも通りに手をつけて火傷したり爆発したりしてしまう事態が起こります。私はめちゃくちゃ爆発しました(笑)
そんな時にメソメソしながらいろんな本読んだり、懸命に自分の状況を冷静に俯瞰しようと紙とかに整理しだして「あ、私ってセルフマネジメントできてなかったんだ」ってある日気づいたんです。
デザイナーとセルフマネジメント
さて、ここまで異様に芋の話ばかりしてきましたがようやくセルフマネジメントの話。
ただ、デザイナーにとってのセルフマネジメントってあんまり前に出てくるスキルじゃないと思うんです。デザイナーっていったら「グラフィック!」「タイポグラフィ!」「設計力!!」「インタラクション!!!」「コミュニケーション!!!!!」とかの声が大きい。マネジメントって領域でも「育成」とか「横軸」とか少し違うことにフィーチャーされることが多い。
そもそもセルフマネジメントって「みんなできてるもの」って思われがちなんですよね。というか、それくらいできてないと社会人として恥ずかしいっていう見えみたいなものがあって、日本人って「ちゃんとしなきゃ!」っていう意識がすごく強い。 だから自己暗示に近くて「大丈夫、私は自分のことは自分でできる。セルフケアできるしなんなら周りへの気配りもできる」って思い込んでるんです。
そんな状態でじゃあ自分の環境やタスク内容が変わる時どうなるかって、自分が経験したことのないようなドロッドロの芋が時速60キロぐらいで飛んでくるイメージ。思ったより遅くねって思うかもしれませんが、ポイントは一発では「致命傷」にはならないってこと。これがまたすごく厄介。
なんか上手くいかないな、から始まって日に日に摩擦が大きくなる。 よく考えればかなり進化が必要な段階なのに通常運転のまま「普段よりちょっぴり多めのやる気」を片手に戦いに行こうとしちゃうので、結果ジリジリとダメージ食らって人知れずある日HPが0になります。
そんな変化を強いられるフェーズで且つストレスが強い時こそ、どれだけ「セルフマネジメント」できるかがすごく大切。
ベースになるセルフマネジメント
わたしはセルフマネジメントを含めたスキルセットをこんなピラミッド式に例えています。 そう、セルフマネジメントはいっっっちばん下です。つまり土台。 上の3つがよくあげられるものだと思うんですが、幻の4番目のスキル、とでもいいましょうか(オタクなのがバレるネーミングセンス
別にデザイナーに限らず全職種の人が持つものだと思うのですが、大きな変化に直面した時にセルフマネジメントできないと何が一番堪えるかって「平均点の自分が保てない」ことなんですよね。
普段から守ってくれる上長がいたり、めちゃくちゃチームの体力をコントロールしてくれるディレクターとかがいるなら話は別です。彼らがその一部をカバーしてくれてるからこちらはそこに体力を使う必要はなく、目の前の作業に集中できます。 でも1人だったり、立ち上げたばっかの少数チームだったりするとそうはいかない。
一番下の土台が崩れると、当たり前ですがその上のものは全て崩れます。要はメンタルや体調管理、自分の状況が俯瞰できなくなって「あれ、私こんなこともできなかったっけ?」と焦って悪循環が始まるわけですが、このときにどうしても今までできていたことが出来なくなる事実がなかなか受け入れられない。
セルフマネジメントできないと恥ずかしい話、色を決めるとか、UIの設計を考えるとか、締め切りを守るとか、時間内で世の中に出せるクオリティを担保するとか。超ミラクルダイナミック当たり前のことが、何年も仕事してきたはずのことが本当にびっくりするぐらいできなくなる。というか何も信じられなくなります、はい。
セルフマネジメントのやり方
①俯瞰日記をつける
人によっていろんなやり方があると思うんですが、とりあえず私がやったことを書き連ねようと思います。
毎日、日記を書きます。
え、初歩的すぎるって?でも意外とみんな疎かにしちゃうんですけど毎日メモを取る習慣ってセルフマネジメントに限らずいろんないい効果があるのでぜひ試して欲しいです。
書くことは、あなたの健康に素晴らしい影響を及ぼします。クリエイティビティを保つこと以外にも、日々の生活のストレスを解き放つ働きをしてくれるのです。この精神的・感情的なメリットについて、クリエイティブライティングの視点から紹介したことがありました。でも、何もフィクションを執筆する必要はありません。毎日の「素晴らしいこと」を記録するだけでも、自尊心を高める効果があるのです。
書くという行為は、それだけでストレスを減らすし自尊心を高める効果があるそうです。しゅごい。
書き続けることで、複雑なアイデアを効果的に処理し、伝えることができるようになります。さらに、重要な情報を記憶したり、新しいアイデアのブレインストーミングにも役立ちます。
要はとにかく頭の中でどんぱち起こっている情報の錯綜をまとめ、俯瞰し、理解する力が養われます。毎日ミーティングのまとめ役やってるような感じ。なのでミーティングのスピードについていけない、なんの話してるか分からなくなるといった悩みを持っているような人にもお勧めできるトレーニングだと思います。
なのでこんなITが進化した世の中ですが、私もまずは手書きのノートで始めてみました。ロフトに行って、テンションが上がるデザインで且つ薄めのものを購入しました(分厚いと挫折した時に嫌な気分になりそうだから)
私が買ったのはこちら↓
見返してたらこのブログの元ネタもここから来てたみたい。オススメポイントは方眼紙なことと適度に紙がクリーム色で雰囲気がとにかく良い、あと横長なので長めのテキストや挿絵を書く私には合ってた。
家の机に置いておいて、帰ったらビール飲みつつ1ページ好きなように殴り書きするスタイル。無理に綺麗に書こうとはせず、あったことを思いついたことをポンポン書いていきます、感想でもいいし事実でもいい。嬉しかったこと、困ったこと、嫌だったことなどありとあらゆる事実や感情を思い出せるだけ書き出します。
ムカついた日はきったない言葉もよく書いてました
②よかったこと・悪かったことに分ける
書き出したことを「赤のペンをよかったこと」「青のペンを悪かったこと」で先頭に印をつけていきます。 嬉しかったこと、うまく行ったことは赤、ミスしたり納得いかなかったり課題がある事象には青、とシンプルに分類していきます。
③何か変える・対策が必要なものを洗い出す
よかったことはよかったんで放っておく、あと精一杯喜んでおく。いいお酒のつまみにでもしておく。笑
もちろん日によってはたくさん悪かったこともあると思うんですが、全部が全部反省する必要はない。疲れちゃうから、それに人ってそんな焦ってすぐに一変に変われるものでもないのでひとまず落ち着いて。 本当に気になってることを1、2こ選べば十分。でもあまりに同じことが続くようだったら対策を考える方に移行する。
で、明日からできることをその周りに書き出す。 大きすぎる目標ってどうしていい変わらなくなっちゃうので、明日からすぐできる範囲での対策を考える。「メモを取る」とか「アラームをつける」とか「悩みを解決する本を探す」とかそういう粒度で十分だし、意外にそれくらいで解決することが多いのも事実。
その反面、わーと書き出すこともしばしば。基本は日毎の振り返りだけど特別使い方に制限はつけてないので思いついたら好きに使います(内容が恥ずかしいのでぼかしておく
④寝る
寝ましょう、とっとと。書いた後ってちょっぴりカロリー消費するし(酒のせいじゃないと言いたい)書き出したことを頭に定着させるためにゆったりとした睡眠は大事。書いたら寝ていい、とかにしたら習慣化しやすくてよかった。
⑤気楽に続ける
1日忘れてもいい。なんなら1週間空いても全然いい。まずは自分が自分にストレスをかけないことが大事、自分くらい自分でよしよししてあげましょう、頑張ってるんだから。笑
私は最初の頃は書かないと落ち着かなくて(頭が整理できなくて)毎日書いてたら、日に日に「1行で書く」とか「今日はここだけまとめておけばいいな〜」と書く前に大枠が見えたり、どんどんシンプル化していった。これも思考の整理と、自分が安定した結果だと思う。あと、安定して気づいたんだけど安定するとあんまり書くことがなくなってくる(笑)何すればいいかはっきり頭でわかるようになるからあまり日をまたいで課題を持ち越さなくなった。
見返したら去年の9/14から始めたんで、途中博白紙の期間もあるけどなんだかんだ5ヶ月くらいやってることになる。やらせっぽいけどすごい効果出たなって実感してます。
最近はiPadも買ったのでデザイタル移行できないかもテスト中。
技術者こそセルフマネジメントが必要
つい目先の技術に目が行きがちな職種ではあると思うんですが、その下にある自分のモチベーションを含めてコントロールできるようになってはじめて「いつでも良いものが作れる」プロのデザイナーだと思う。
どうしても目に見えるスキルじゃないから、なんとなくみんな出来てるつもりになるけど改めて本当に?できてる?と見つめ返すことは大事だなあと思うこの頃。そして周りへの感謝を忘れずに。少しずつ、着実に、徹底的に泥使いになりたい。
ではまた( 'ω')スワーン