2013年、劇場で観た新作映画は55本でした。
DVDほかの旧作は16本。
例年以上に順不同としたい気持ちが強い、その日によっていくらでも入れ替わる順位です。
また、「俺が挙げずに誰がやる」という映画の多さも例年以上ですね。
- 10位『ライフ・オブ・パイ』
「生きることは苦しい」と、カラフルで美しく語る。現代の映画にしかできない物語の力を感じました。力強く、軽妙で、新鮮。
3D・ハイパーリアル・サバイバル、という三題噺だと『グラビティ』にも重なりますね。でもこっちのほうがみずみずしいから好き!
- 9位『かぐや姫の物語』
「生きることは苦しい」その2。
全ての場面で感情の爆弾が己のなかで炸裂していく、というか...。
アニメーション映画がここまでできてしまうのだ、と恐ろしくさえなる二時間でした。
後半にかぐやが陥っていく、なりたい自分との乖離、逃れようのない自己否定と後悔の苦しさというのは自分にとってとても親しい感情で、見ていてきつかったです。
- 8位『風立ちぬ』
たとえスクリーンに映し出されるのが「喜び」であってもそこに身を切られるような切なさがあった『かぐや姫の物語』に対して、こちらの映画のなかの「喜び」は、もう少しだけスウィートな「喜び」でした。
毎回毎回ジブリ映画のキャッチコピーには「ケッ」と言いたくなる私ですが、今回は素直に「生きねば」と思ったのでした。ほんと、生きねばいかんね。
- 7位『ホワイトハウス・ダウン』
ジブリ二作の上がこれかよ、と言われそうですが、だって好きなんだもん! 十代のころの自分に嘘はつけない。
来年どの映画を覚えているかっていったらそりゃ『かぐや姫の物語』であり『風立ちぬ』だけど、劇場で自分が二時間ずっと満面の笑顔だった事実は動かせません。
当然、この映画単独でなく、きらめきと切なさに満ちた三十路男の魔法の映画*1『マジック・マイク』とのテイタム合わせ技一本です。
楽しかったー!!
レビュー:http://d.hatena.ne.jp/tegi/20130825/1377399056
- 6位『ゼロ・ダーク・サーティ』
恐ろしく仕事のできる女と男たちの色気。
得体の知れない敵、凄惨な犠牲、恐怖。
倫理に反した任務への嫌悪と責任感。
「悪」を討つ快感。
スパイフィクションによってもたらされるそうした背徳的な喜びの果てに、ジェシカ・チャスティンとともに途方に暮れる。現代最高峰のスパイ映画だと思います。
- 5位『アウトロー』
ぼくが自慢されたいアメリカン・ヒーロー。
ぼくが自慢されたいトムクル様。
シンプルなようでいて豊穣。
ストレートなようで珍味。
こちらは『オブリビオン』と合わせ技一本でした。またこういうトムクル映画が観たい、と思っていたら来年も『All You Need is Kill』があるのでもう幸せで死ぬ。
- 4位『クラウドアトラス』
ウォシャウスキー(とテイクヴァ)がとうとうやってくれた!
2003年、『マトリックス:レボリューションズ』を観終わったあと、戸惑いながら家路についたあのころの自分に教えてあげたい。大丈夫だ、あの兄弟監督たちは信用できる。そのままついていけ――なぜなら彼らは、物語を/人間を/愛を信じ続けて、また素晴らしい映画を作るのだから。
- 3位『華麗なるギャツビー』
ああ、ぼくがアメリカが好きなのはこういうわけなのだ、と得心がいった一本。また、『オブリビオン』とあわせて、「やり直し」の願望を描いた物語について考える*2ことにもなりました。
ぼくは自分の緑の灯がどこにあるかとうに忘れてしまいましたが、映画のなかのトビー・マグワイアのように、輝くものを追う人に会ったらそれを見続けよう、信じ続けようと思います。
レビュー:http://d.hatena.ne.jp/tegi/20130616/1371376432
- 2位『探偵はBARにいる2 ススキノ大交差点』
かつて札幌にいて東京のことを思い、いまは東京にいて札幌のことを思う自分の、心のど真ん中に刺さってしまった映画。
札幌への、「地方」への思い同様に、自分の気分によって「大好きだ」と「大嫌いだ」の間を行ったり来たりしそうな気配もありますが、きっと人にとって切実な物語というのはそういうものでしょう。
レビュー:http://d.hatena.ne.jp/tegi/20130519/1368936450
- 1位『アメリカン・パイパイパイ!完結編 俺達の同騒会』
1・2位はいずれも別格の映画です。出来は粗いし人に自信満々で薦められる映画じゃないけど、でもこれらは「ぼくの映画」なのでしかたない。
一昨日さんざ書いたので、もう言葉は費やしません。
大好き!
レビュー:http://d.hatena.ne.jp/tegi/20140102/1388646363
以上十本、2013年に観た映画のなかのベストです。
2014年もまたたくさん映画を観たいです。
特に、DVDスルーのスパイ映画はちゃんとおさえられるようになりたいです。
Twitter上で誰かが褒めていて「面白そうだな」と思った映画もちゃんとチェックしなけりゃなりません。そういう映画って、札幌にいるときは三ヶ月後くらいにスガイかキノか蠍座に流れてきたんだけど、東京じゃあすぐに観に行かないと駄目なんだよなあ。
最後になりましたが、ブログを読んでいただいているみなさま、Twitterのフォロワーのみなさま、いつもありがとうございます。
今年もよろしくお願いします。