軽いモヤモヤに回答するシリーズです。
今後、私は自分を肯定できるようになるのか?
斗比主閲子 様
初めまして。
私は関西の大学に通って一人暮らしをしている美智といいます。
私は、自己肯定感が低いタイプでして、上手くいったと思ってもある程度経つと人間関係のトラブルになってしまい、最近になってようやく自分に認知の歪みがあることに気づきました。
それから、彼氏ができて自分のことを褒めてくれる人が出来たり、自分でも自信が持てるように自分を褒めたりして、自己肯定感が少しは感じられるようになっています。でも、自分は嫌われてる、とか、味方であるはずの彼氏が敵に感じてしまい落ち込んでしまうこともあります。
私は自己肯定感が低くなった原因が自分の生育環境にあると考えています。具体的には、
- 幼少期、三人きょうだいの次女で、弟は知能障害気味、姉は抜けている性格
- 母親との関係は、甘えさせてくれる人ではなく、姉や弟の愚痴を聞かされるなど、私は頼られていたのでなんとかしないといけないと思い、しっかりとした行動を取ってきた
- 勉強は母から構われるために、努力して満点ばっかりだったけれど、弟の60点の方が両親は嬉しそうだった
- 中学三年までは勉強を頑張ったが、あまりにも姉や弟より褒めてもらえないので勉強を辞めてランクを落とした高校に行き、わかりやすく化粧ばかりしてヤンチャになった
この様な状況でした。
私は、どこにいってもきょうだいの世話を見てきました。長女の様な役割を果たし、母や父と対等に話をしてきたのは私だけです。なのに、そのことを親に認められることもなく、むしろ私が派手になったこともあって、化粧のことや学校の成績が落ちたことを親からは怒られ、内面のことも悪く言われた思い出しかありません。
早く家を出て自立しようと生活してきましたが、いまだに何かしないと「自分には価値がない」と思ってしまうし、ゼミで「すごいね」と褒められたりしても皮肉に聞こえたり、「嘘なんだろうな」と思ってしまったりします。
原因が自分の生育環境にあると分かった今でも、何をどうすれば良いのかわかりません。この4月から東京へ就職することが決まっていますし、家族の嫌だったところにも大学生活中に自分の中で妥協点を見つけて、今では家族とも仲良くやれています。
もしかしたら、一生自己肯定感を得られないのではないかと不安です。仕事をし始めても人間関係がうまくいかないのではないかと思っています。
どうか、お返事を頂けないでしょうか。長くなってしまい、申し訳ありません。
宜しくお願い致します。
美智
あるあるあるある!
自己肯定感というパワーワードをこのブログと紙の本で多用したため、最近よくこの種のお悩み事を受け取ることが増えました。
私は自己肯定感を得るための方法を伝える伝道師でも専門家でもありませんから、あまり期待しないでほしいというのは一応書いておきます。私は単に自己肯定感の低さによってトラブルに遭いがちな人が多いということを知っていて、関連する書籍を数冊読んだだけの素人です。
これぐらい書けば過大な期待は抱かれないですかね。では、本題に。
紙の本でも書いたとおり、問題を適切に把握できれば解決までは半分ぐらい来たようなものだと私は考えています。大体ですね、多くの人は、問題を問題だと認識することもできず、その問題を深堀りすることもできないものです。自分で問題を認識し、言語化できただけで凄いんですよ。
※私が『紙の本』というときはこちらの本のこと
言語化は自力じゃなくて、カウンセラーなど使って他力でやっちゃってもいいんですけど、この美智さんぐらいのところまで来たら後はそんなに大変ではありません。だって、世の中に同じ悩みで苦しんでいる人がたくさんいることを確認できて、合わせて解決方法にも辿り着けますから。
詳しくは、ご本人が調べられるでしょうが、私の理解を書いておきます。確か、親に認められなかったことで自己肯定感を上手に構築できなかった場合は、親から大人になった今でもいいから認めてもらうことが有効なはずです。電話で「小さい頃にお父さんやお母さんに褒めてもらえなかったのが今でも気になってるんだ」「攻めるつもりはないんだよ。ただ、私のことが大好きかどうか知りたいんだ」みたいに聞く感じですかね。
親が毒っ気があるとしても(親が余裕がありそうなときに)試しに聞いてみるといいんですけど、難しそうなら、自己肯定感を育む通常のプロセスに移行すると。この辺のところは、もう何度も紹介している水島広子さんの書籍をご覧ください。
※いつもの
しかし、親に認められなくて、注目を浴びたいからヤンチャをしたというのはコテコテですよね。私の子どものの頃の学校の同級生で、クラスの子の鼻を折った子は、親が家庭内別居中で、お母さんからはきょうだいに比べて出来が悪いと言われていました。(この話はその子のお母さんから私が直接聞いたことです。)
ヤンチャしている子どもが全員ネグレクトの犠牲者だとは言いませんが、私の観測範囲ではその確率は非常に高い。私は自分の子どもに親の注意を得るためだけのヤンチャはしてほしくなくて、私にとって好ましいことをしているときに子どもに注目し、好ましくないことをしているときには注目しないようにしています。
きょうだいとの関係性から、親がその子に役割を意識させて、でもその役割に見合ったフィードバックをもらえてないときに、子どもが自己肯定感を抱けないというのも、本当にあるあるな話です。
ことほどさように親の役割は重要ですが、キーポイントははっきりしてるっちゃはっきりしているので、過度にプレッシャーを感じる必要はなく、適度に子どもをウォッチしましょうというのが重要だと考えています。
最後に、仕事を回すうえで自己肯定感がどれくらい必要かについて。
自己肯定感がないと仕事が上手くいかないなんてことはないと私は考えています。仕事は人を働かせるための仕組みがそれなりに構築されているもので、低い自己肯定感を満たす形で働けるモデルが構築されていたりします。仕事だけで承認欲求を充足できる。
それが健全で継続可能性があるかといえば怪しいところがありますが、自己肯定感が低いという理由だけで仕事が上手くいかないかといえば、そんなこともないんじゃないかと思います。
こんな感じでしょうか。