住宅地、商業地ともに下落率縮小 秋田駅前の商業地では大幅上昇も

滝沢隆史
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 秋田県は17日、土地取引価格の目安になる基準地価(7月1日時点)を公表した。住宅地、商業地ともに平均変動率は下落が続いたが、下落率は縮小。県内観光客がコロナ禍以前の水準に回復しつつあり、JR秋田駅前の商業地では変動率が大幅に上昇した。

 324地点を調査し、上昇は3地点増えて72地点、下落は4地点減って213地点だった。林地を除く全用途の平均変動率は0・4%の下落で、下落は27年連続。全用途の平均価格は1平方メートルあたり1万6500円で、19年連続の全国最下位だった。

 住宅地の平均価格は1万3400円で、平均変動率は0.6%の下落。秋田市の平均変動率が1.9%上昇した一方で、秋田市以外は1.1%下落し、二極化が進んだ。

 秋田市は、市街地のほぼ全域で変動率が上がった。低金利などを背景に住宅需要が高まっており、中心部から離れた地点でも上昇が見られた。昨年7月の豪雨で住宅が浸水被害を受けた市中心部の地域でも、上昇や横ばいとなった。

 商業地の平均価格は2万5100円で、平均変動率は0.3%の下落。住宅地同様、秋田市では2.8%上がったが、秋田市以外では1.2%の下落となった。

 最高価格は、秋田市千秋久保田町3の23(コンフォートホテル秋田)で11万9千円。17年連続の1位で、変動率は9.2%の大幅な上昇だった。周辺では、あきた芸術劇場ミルハスが開館し、高層マンションやホテルの建設も続く。調査に携わった不動産鑑定士の千田幸紀さんは「上昇幅は近年にない衝撃的な数字。中心街に人の流れが戻ってきている」と指摘する。

 県内で最も上昇した地点は、能代市扇田扇渕4の5の能代工業団地の工業地で、変動率は9.6%の上昇。製材大手の中国木材(広島県)が進出し、さらなる用地需要が見込まれるという。

 今後の見通しについて、千田さんは「コロナ禍明けで経済が少しずつ回復し、住宅ローンもまだまだ低金利。ただ、今後も人口減少が続き、物価や建築費の上昇が影響する可能性はある。商業地は住宅地と変わらないぐらい単価が下がって投資がしやすく、条件の良い場所は今後も上昇が見込める」としている。

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