宮城県内の基準地価は2.2%上昇 12年連続も上昇率は縮小
宮城県は17日、土地の標準価格となる基準地価(7月1日時点)を公表した。住宅地、商業地、工業地などをひとまとめにした「全用途」の平均は前年比で2・2%上がり、12年連続の上昇となった。仙台市やその周辺市町村を中心に上昇が続く一方、上昇率は前年(2・3%)より縮小した。
全用途の平均は仙台市で7・1%、周辺9市町村(塩釜、名取、多賀城、岩沼、富谷、七ケ浜、利府、大和、大衡)で5・7%上がった。上昇はいずれも13年連続だ。
一方、それ以外の25市町は1・1%下がり、10年連続の下落となった。用途別の県平均は住宅地が1・4%(前年は1・7%)、商業地は4・3%(同3・9%)の上昇だった。
住宅地の最高価格は仙台市青葉区上杉4丁目の地点で、1平方メートルあたり44万7千円。商業地ではJR仙台駅西口の同区中央2丁目の仙台東宝ビルの432万円だった。
住宅地の上昇率1位は仙台市近郊にあたる大和町杜の丘2丁目の地点で12・7%だった。他に目を引くのが、11・5%上昇し、3位となった大衡村大衡の地点。村には、台湾大手が出資する半導体工場が進出する予定だ。
商業地の上昇率1位はJR仙台駅東口の仙台市宮城野区榴岡1丁目のイーストンビルで16・7%。東口は西口に対して割安感があり、開発意欲が高くなっている。
県内で最も上昇率が高かったのは宮城野区扇町4丁目の工業地で18・9%。高速道路へのアクセスが良く、物流施設への需要が強いという。
一方、下落率が大きいのは、住宅地、商業地ともに大崎市や気仙沼市といった少子高齢化が進む地点が目立った。
調査の代表幹事を務めた不動産鑑定士の西山敦さんは「仙台圏の地価が内陸部や沿岸部の下落を補う流れが継続している」と説明。他方で全用途や住宅地の上昇率が縮小している点にも触れ「上昇率が拡大、もしくは下落率が縮小する全国とは異なった結果となった」と指摘する。
仙台は札幌、広島、福岡と合わせて不動産業界で「札仙広福(さっせんひろふく)」と呼ばれ、これまで高い上昇率が続いてきた。しかし「いったん上限に近づいてきている。強気一辺倒ではなく、割と低かったりまともだったりする価格の取引が出てきている」と西山さんは話す。
とはいえ、今後は半導体工場進出の影響が本格化する可能性がある。熊本県や北海道では半導体工場の影響で地価が高騰しており、西山さんは「宮城でもそういう可能性がないとは言い切れない」と話している。
住宅地で上昇率が高い上位10地点
住所 上昇率(%) 地価(円/平方メートル)
大和町杜の丘2-20-6 12.7 74,800
仙台市宮城野区新田4-36-7 11.7 143,000
大衡村大衡亀岡1-14 11.5 19,400
多賀城市浮島1-15-14 11.2 84,500
大和町吉岡東3-10-2 11.2 39,800
利府町神谷沢金沢12-24 10.9 66,000
仙台市宮城野区新田東2-13-10 10.3 160,000
仙台市太白区郡山3-23-8 10.0 165,000
大和町吉岡下町14 10.0 36,300
仙台市若林区東八番丁197-2 9.9 300,000
商業地で上昇率が高い上位10地点
住所 上昇率(%) 地価(円/平方メートル)
仙台市宮城野区榴岡1-2-1 16.7 2,800,000
仙台市宮城野区榴岡3-4-31 14.0 855,000
仙台市青葉区木町通1-3-33 12.8 520,000
仙台市宮城野区榴岡4-4-13 12.7 710,000
利府町神谷沢新宮ケ崎6-2 12.1 67,800
仙台市青葉区五橋2-8-15 11.2 615,000
仙台市宮城野区南目館20-30 10.7 134,000
仙台市若林区荒町73-1 10.7 341,000
仙台市青葉区木町通2-3-14 10.4 624,000
名取市増田柳田447-1 10.3 80,000