流山、住宅地トップの上昇率 機能強化の成田周辺も目をひく伸び
千葉県は18日付で、今年の基準地価(7月1日時点)を発表した。県全体では昨年に続き、住宅地、商業地、工業地、全用途で前年を上回る上昇率となった。住宅地では、周辺で商業施設の開業が続くつくばエクスプレス沿線の住宅需要が高く、子育て支援も充実している流山市が調査開始以来初めて上昇率で県内トップになった。成田空港を抱える成田市や隣接する富里市などは、これまでに比べて上昇率の伸びが顕著だった。
地価調査は土地取引の価格の指標として、都道府県が毎年公表している。今回は県内59市区町村の計884地点(前年875地点)が調査対象になった。
平均変動率は県全体では、住宅地が前年比3・2%増(前年2・5%増)、商業地が5・0%増(同3・7%増)、工業地が9・9%増(同7・1%増)、全用途が3・7%増(同2・8%増)。県全体で平均変動率がプラスなのは、住宅地が3年連続、商業地が11年連続、工業地が12年連続、全用途が10年連続という。
住宅地では、JR総武線やつくばエクスプレスなどの都心にアクセスしやすい主要駅の徒歩圏から外縁部で、地価が上昇傾向で推移。テレワークなどの新生活様式の浸透などを背景に、低金利環境の継続あるいは住宅取得支援施策などの下支え効果により住宅需要が高まったという。
東葛地域やベイエリアを含む「東京圏」は、30市区町のうち29市区町で住宅地の平均変動率が上昇。中でも、流山市は10・6%増(同7・2%増)で、調査開始以来初の1位になった。このほか、成田空港の機能強化を見据えた取り組みが進む成田市は5・3%増(同2・7%増)、隣接する富里市は4・5%増(同2・6%増)と目を引く伸びを見せた。
一方、東京圏を除くと、29市町村のうち25市町村で住宅地の平均変動率が下落。銚子市は2・7%減(同2・5%減)と、前年に続いて県内最下位となった。
また、円安に伴うインバウンド需要を含め、社会経済活動が回復し、商業地の平均変動率は浦安市16・5%増(同14・2%増)▽市川市13・2%増(同13・0%増)▽船橋市11・6%増(同10・2%増)など湾岸部や都心に近い地域を中心に変動率の伸びが目立った。
工業地では、北西部・湾岸部で大型物流施設の設置需要が引き続き増加。成田空港周辺では空港の機能強化、圏央道などのインフラ整備などへの期待感が表れた。
今回の地価調査鑑定評価員代表幹事を務めた不動産鑑定士の高松芳壮さんは、全体的な上昇傾向について、低金利などの経済施策の影響を指摘した上で、「住宅地としても商工業地としても需要が高く、例年通りの傾向が見られる都心に近い地域の伸びが、県全体の地価の上昇を牽引(けんいん)している。加えて今回はインバウンド需要の回復、成田空港周辺への期待が反映された」と話した。