カナデビアが都留市に工場進出 水素発生装置の中核機器を量産

三宅範和
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 水素発生装置製造のカナデビア(本社・大阪市、旧日立造船)は、水を電気分解して水素を発生させる装置の中核機器「水電解スタック」の量産工場を山梨県都留市に建設すると発表した。

 長崎幸太郎知事は発表があった19日に臨時の記者会見を開き、「(山梨県の)水素の先進地としての位置づけが大きく前進する」と語った。

 カナデビアが進出するのは、市が整備を進める同市厚原の工業団地。設備投資の総額は約80億円で、経済産業省の「GX(グリーン・トランスフォーメーション)サプライチェーン構築支援事業」に採択されたため、約24億円の補助金が交付される。

 新工場は2028年度末までに完成、操業開始の予定で、当初の従業員は約100人。水素発生装置の世界での導入量は30年までに230ギガワットに達するとの試算があるが、新工場の水電解スタックの生産能力は年1ギガワットに及び、製造する水素に換算すると15万7千トンにもなるという。

 県は東レ、東京電力と共同で、米倉山(甲府市)に設置した「P2G(パワー・トゥー・ガス)システム」により太陽光の余剰電力を使って水素を製造し、事業者に供給する実証的運用を進めているが、このシステムもカナデビアが開発したものだ。

 長崎知事は臨時記者会見で、「P2Gシステムの普及にあたって、スタックの製造能力がボトルネックになる」との危惧を持っていたことを明かした。しかし、新工場の操業によってボトルネックが解消すると共に価格も安くなり、「P2Gシステムの普及拡大が進むことが期待される。山梨県で製造された水電解スタックが、世界の脱炭素化に貢献していくことは大変喜ばしい」と話した。

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