夫を亡くして:47 門井慶喜 恋愛というもの 14

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 と、屋外が、にわかに騒がしくなった。

 声の具合から察するに、どうやら門のあたりで客と女中が押し問答しているらしい。

 少しして、女中が座敷に来て、

「ミナさん、ミナさん。平野さんが」

「えっ」

 ミナは、腰が浮いた。

「平野さんって……平野友輔(ともすけ)さん?」

「ええ」

「いらっしゃったの…

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