「AKIRA」も「攻殻」も超えた? ベクシルを見た!2007年05月30日 日本が世界に誇るアニメ、「ジャパニメーション」。その進化の最前線に突如姿をあらわしたのが、8月18日公開予定の「ベクシル 2077日本鎖国」だ。舞台はいまから60〜70年後の日本。最新テクノロジーを駆使し、迫力映像満載の近未来SFに仕上がった。ついにAKIRAや攻殻機動隊をしのぐ作品誕生、となるか。ところでベクシルって何? (アサヒ・コム編集部)
日本のアニメは海外で高い評価を得ている。宮崎駿監督に代表されるファンタジー作品の一方、クールでメカニカルなSFものも、根強いファンをもつ。有名なのは「AKIRA」や「攻殻機動隊」「機動警察パトレイバー」などか。今回紹介する「ベクシル 2077日本鎖国」も、そうした系譜に位置づけられそうだ。 なんと言っても特徴は、コンピューター・グラフィックス技術で全編を表現した「フルCG3次元アニメ」、と銘打っている点にある。 5月9日、都内で開かれた関係者向けの試写会を見た。構想から2年半かけた、その精密でリアルな映像を目にすることができた。 「ベクシル」の主人公は、アメリカ特殊部隊の女性隊員。そのコードネームがベクシルだ。語源は、古代ローマ軍の軍旗をもって先頭に立つ兵士という。 物語の舞台は、ロボット産業で世界をリードする国となった60年後の日本。だが、その危険性ゆえに世界から孤立、ついには電磁的に鎖国政策を敷き10年が経過した――という設定になっている。現代のテクノロジー偏重に対する鋭い文明批評がうかがえるが、物語は、アクションシーン満載で、痛快エンターテインメントとして楽しめる趣向だ。 最後まで結末が読めない、ハリウッドばりのストーリー展開については、ネタばれになるので公式サイトを参照していただくとして、目を見張ったのは、その映像だ。 主要な人物の動きはほとんどモーションキャプチャーで表現。人物の動きでは、これまでのアニメには見られなかった、微妙な上体のゆらぎまで表現されていた。 監督したのは、TBS出身で「ピンポン」(03年)を撮った曽利文彦監督(42)。アニメ作品では、熱狂的なファンをもつ士郎正宗原作「アップルシード」(05年)をプロデュースした経験がある。 クオリティーにこだわる姿勢と監督の経歴が効いたのか、「ベクシル」の前評判は上々だ。海外の映画バイヤーからは、未完成映像の段階から問い合わせが相次ぎ、すでに50カ国以上での上映が決まったという。さらにフランス・カンヌ映画祭でも紹介され、「上映国はまだまだ増える」(関係者)という。 これは驚異的な前評判といえる。「ベクシル」は、誰もまだ見たことも聞いたこともない、まったくのオリジナル作品。これまで海外ファンの関心を呼んだ作品はほとんど、原作漫画の映画化だ。今回は、曽利監督が脚本から練り上げた作品だ。つまり国内でさえ固定ファンがゼロだというのにすでに高い評価を得ている、というわけだ。 ふつう、劇場公開アニメをオリジナル作品で撮るのは、興行的にリスクが高い。なのに、あえてオリジナル作品にこだわった理由は何か。 曽利文彦監督(42)は、「確かにリスクだが、固定ファンがいると、話題になりやすい一方で、ファンの原作への思い入れを大事にしなきゃならない。オリジナルにはそれがないので、作り手としては、思いどおりに作り込むことができた」と話す。 こうした製作サイドの挑戦のほか、声優陣も注目だ。黒木メイサ、谷原章介、松雪泰子らが出演している。音楽は「マトリックス・リローテッド」を担当した人物だ。 現在、公式サイトでベクシルの全容がチェックできる。 PR情報 |