校庭の迷える大人たち
大石大(おおいし・だい)
光文社/2023年6月刊
定価・1,925円(税込)
学校には、子どもの知らない秘密がある。
小六の息子・颯太の授業参観で母校を訪れた新城幹太。学校での颯太は家とは別人のように活発で、幹太は動揺する。三十年前、自分がこのK小学校に転校してきた際に遭遇した奇妙な出来事を思い出したからだ――
「シェルター」
M小に転勤してきた庄内真奈は、給与明細に「危険業務手当」として三十万円の支給が記載されていることに気づく。「危険業務」に思い当たるふしはなく同僚に聞いてみると、三年二組の誰かが「手のかかる」児童だとわかり――
「危険業務手当」
ほかに
「事務の先生」「妖精のいたずら」「カウントダウンが進まない」を収める。
見慣れない扉、覚えのない高額な手当金、ありえない同僚、目に見えない幸運、そして進まない時計――学校に集う大人たちに起きた、子どもが知らない五つの奇談。
☞ 大石大「ぼくの小説作法」第3回:新刊『校庭の迷える大人たち』ができるまで