ファンサービス満載のイベントに!
2011年10月23日、埼玉県朝霞市の市民会館ゆめぱれすにて、テレビアニメ『シュタインズ・ゲート』のBlu-ray Disc&DVD発売イベント“オペレーション ギフトブリンガー”が行われた。会場には、多くの『シュタインズ・ゲート』ファンが集結。岡部倫太郎を演じる宮野真守、牧瀬紅莉栖を演じる今井麻美、ダルこと橋田至を演じる関智一ら3人の声優のほか、『シュタインズ・ゲート』の原案を務めた志倉千代丸氏、オープニングテーマを歌ういとうかなこ、エンディングテーマを歌うファンタズムのFES(榊原ゆい)が登場し、トークに、ライブにと、ファンにはうれしいイベントとなっていた。
イベントは、宮野真守による岡部倫太郎=鳳凰院凶真の前説で開始。「飲食は禁止だが、ドクペだけはオッケー。……と思ったが、機関の妨害により断念した」といった、キャラクター設定を活かした内容に、会場から笑いが起こる前説となっていた。
幕が開いて最初に行われたのは、宮野真守、今井麻美、関智一の3人が、それぞれの担当キャラクターで演じる生ドラマ。その内容は、牧瀬紅莉栖が先生役となって、岡部と橋田とともにタイムトラベルについて勉強するという、学園シチュエーションの書き下ろしドラマになっていた。しかし、橋田の「このイベントに来ている客を女性ファンだらけにする」という目標から、内容が一転。志倉千代丸社長に「『シュタインズ・ゲート』は女性ファン向けにしたほうが受ける」というDメールを送信すると、橋田がイケメンになった世界線へと移り変わって、橋田が自分の試験管を岡部に……というアブない世界線の内容になり、会場のファンは大爆笑。しかも、「まゆりは品川でバスケの試合に行っている」と花澤香菜が同日に出演していた某アニメのライブネタを始め、数々のアニメネタを盛り込んでおり、ある意味『シュタインズ・ゲート』らしいスピンオフドラマになっていた。
続いて、トークは各々が演じたキャラクターについての話題に。主人公の岡部を演じた宮野は、「最初は、どうしたもんかなあって思いました(笑)。ゲームのアフレコのときに膨大な台本があって、あまりの量になかなか読み進めることができなくて、先の展開がわかりませんでしたね。スタッフに“いわゆる厨二病です”って言われたのですが、“厨二病ってなんだろう?”って思ったくらいで(笑)。でも、何でも大きく自己表現をしていく人なんだなって思いながらキャラクターを膨らませていったら、物語もどんどん膨らんでいって、あるとき、厨二病というのはこのためのキャラクター設定だったんだなってわかったときは感動しました」と熱弁。一方の関は、アニメのアフレコが終わった後の取材で「全部やり直したい(笑)」と言ったことを宮野、今井から責められる状況に。劣勢の関は、「だって楽しいアフレコって何度もやりたいじゃん。『シュタインズ・ゲート』はそういうくり返しの作品だし。紆余曲折あって、キャラに迷った挙句、最初からやり直したくて“やり直したい”って言ったと思った? ……じつはそうなんです(笑)」と、思わず暴露してしまう。さらに、「デブでオタクっていうキャラクターだから、ドラマCDでどんどんその部分ばかりを膨らましていたら、アニメの第1話のアフレコのときに、音響監督さんから“オンエアーにそれはふさわしくない”って言われて(笑)。アニメのダルはちょっとクールになってて、これは俺が温めてきたキャラに合ってないなって思いました(笑)」(関)とアニメ版でのアフレコ秘話を語ると、「 現場で“ふつうにしてください”って指示が出ましたからね(笑)」(宮野)、「いつまでも尊敬できる先輩でいてほしい」(今井)とふたりから追い打ちが。だが、そんな言葉にも怯まず、「無難に終わるより爪痕を残す感じのほうがいいんだよ!」と関は開き直っていた。なお、今井から「田村ゆかりちゃんは、収録のときに“あのころのダルが懐かしいな”って毎回のように言っていましたよ(笑)」と言われると、「つぎにドラマCDがあれば、またあのころのダルができるんじゃないかな(笑)」と、やり過ぎ(!?)のダルの復活を示唆していた。
トークが作品の話題に移ったところで、ゲストとして原作者の志倉千代丸氏が登場。ここで、2011年10月8日に徳島の“マチ★アソビ”で行われた、“ニュータイプアニメアワード2011”で、岡部倫太郎が男性キャラクター賞を、宮野真守が主演男優賞を受賞したことが報告される。宮野は、「皆さんのおかげだと思っております。厨二病の主人公が、数あるイケメン男子をおさえてトップに立つなんて、こんなことあります? 本当に皆さんが作品を愛してくれたおかげです」と喜びを語ると、会場中から大きな拍手による祝福を受けていた。
そして、話題は『シュタインズ・ゲート』の声優キャスティングに。志倉千代丸氏いわく、「この作品は、まずオーディションをやってません。今度新作で出る『ロボティクス・ノーツ』は、すべてオーディションをやっているんですが、『シュタインズ・ゲート』は完全指名制。最初の会議で、“この骨格に合うキャラクターは誰だろう”というところから話していたんです」とのこと。「たしかに岡部や紅莉栖の体格は似ているが、橋田は……?」と、ちょっと怪しい空気になると、関は「ダルの役が決まっていたときは、いまより15キロ太ってたから」とみずからフォローしていた。
アニメのブルーレイ&DVD第9巻には、テレビシリーズの最終話にあたる24話と別に、テレビ未放映の完全新作である25話が収録されるという。その話題に、関や宮野が見たい話をリクエスト。「ダルの奥さんが気になる」(関)、「30分の尺じゃ無理かもしれないけど、鈴羽の変えられなかった世界線や、ディストピアと言われるものが見たいですね」(宮野)。そんなリクエストを受けつつ、志倉千代丸氏は、「25話は本編の後半にはなかった、楽しい話になる予定です。みんなで旅行に行っちゃおう、アメリカ行っちゃおうか、とか言ってますよ」と発言。だが、今井から「これ、本当の話ですか?」と問われると、「うーん、うんうんうん」(志倉)と曖昧に濁し、「何を信じていいかわからないよ!(笑)」と宮野に突っ込まれていた。25話と同じく気になるのが、テレビの最終回放映後に電撃的に発表された劇場版。こちらは、関が「シリアスな話も観たいし、ぶっ飛んだものも観たいし、2本立てってのもいいね!」とリクエストするが、「それ、無理です。お金がかかりすぎる!」と、志倉氏があっさり却下。では、どこまで内容が決まっているのかと志倉氏が問われると、「うーん、まあまあまあ」と、再び濁していた。
各々がアニメの見せ場について話していると、今井が「私、自慢したいことがあるんです!」と話し出す。「後半の23話からアニメのオープニングの歌詞が変わって、2番が流れるようになりましたよね? あれ、じつは13話の収録後にみんなで打ち上げしたときに、私が“世界線が変わった後は、内容的に2番の歌詞がピッタリですよね”って言ったのを監督が採用してくれたものなんです。まったく知らなかったから、歌詞が違うバージョンが流れたときはテレビの前で本当にビックリして! その後に監督に聞いたら、“今井さん、お手柄だよ”って言ってくれたんです」と、オープニングの歌詞が変わった秘話を明かすと、初めて聞いた出演者、そして会場からも大きな拍手が起こっていた。
ライブコーナー
トークコーナーの後は、『シュタインズ・ゲート』に関する曲のライブパートに突入。ファンタズムのFESを演じる榊原ゆいは、キャラクターそのものの姿で登場し、アニメ版のエンディングテーマ『刻司ル十二ノ盟約』と、PSP版のエンディングテーマ『プレギエーラの月夜に』を熱唱。独特の世界観を創り上げて歌う姿に、会場中が魅了されていた。
続いて登場したのは、いとうかなこ。最初は、原作ゲームのオープニングテーマである『スカイクラッドの観測者』を熱唱。曲間では、「ナマで3人の演技が見られるなんて、みんな来られてよかったね! 私は『シュタインズ・ゲート』のゲーム、アニメの主題歌をやらせていただいていましたが、アニメの最終話とそのひとつ前で『スカイクラッドの観測者』が流れてうれしかったです。何となくは聞いていたんですが、挿入歌としてかかってそのままエンディングになだれ込んだときには、“スカイクラッド、キター!”って叫んじゃいましたよ」と語っていた。なお、2011年10月26日には、『シュタインズ・ゲート』や『カオスヘッド』といった“科学アドベンチャーシリーズ”の楽曲が多く収録された、アルバム『VECTOR』が発売。いとうから「いとうかなこの5pb.ベスト的なアルバムです。ぜひ聴いてください」とメッセージが送られていた。その後、アニメの名場面カットを背後のスクリーンに映して歌う、Xbox 360版のエンディングテーマ『Another Heaven』、そしてアニメのオープニングテーマ『Hacking to the Gate』を熱唱。観客が総立ちになって、会場全体が大盛り上がりとなっていた。なお、最後には「来月(2011年11月)には、シンガポールから依頼を受けて、千代丸さんと『シュタインズ・ゲート』の曲を歌ってきます。世界を超えるアニメだと思いますので、ぜひ今後とも広がってほしいと思います」と驚きの発表も行なっていた。
ライブコーナーを経て、壇上には再び宮野、今井、関、志倉氏の4人が登場。ここで行われたのは、“ラボメンズクエスチョン ラボメン800人に聞きました”という観客全体へのアンケートを使ったコーナー。出演者が聞いてみたい2択のお題を出して、観客がそれに対し、赤い紙、青い紙を使って答えるというもの。今井から「しかたなく言うんだからね」と出された例題は、“あなたは紅莉栖派? それともまゆり派、どっち?”というもので、“紅莉栖にきまってんだろ常考”の紅莉栖派は赤、“女はやっぱり胸がないとね”のまゆり派は青という選択に、会場が出したのは、半分以上が赤という答え。ちょっとホッとする今井を尻目に、関は「ここは貧乳派が多いみたいですね」と発言。これを機に恒例の(?)関の暴走トークがしばらく続き、赤面する今井の姿に観客から「かわいいー」の声も上がっていた。
質問コーナーが終わり、エンディングコーナーに突入。いとうかなこと、FES改め衣装をチェンジした榊原ゆいが登場する。大盛り上がりとなったライブの感想になると、宮野の「生(歌)はいいよね!」という感想をきっかけに、すかさず関が「生」に反応してボケをかまし、今井に突っ込まれつつも、会場中の笑いを誘っていた。また、志倉氏はその場で「この作品はなんでもアリなんだなって思って、勇気をもらいました。じつは、『シュタインズ・ゲート』の実写版をやってみたいんです。お芝居とか、舞台をやってみたい。いま初めて言ってますけど、大人の皆さんよろしくお願いします(笑)」と突然の衝撃発言。これには、宮野、関、今井ともに「ぜひ舞台をやりたいです!」とやる気を見せ、会場からも「観たい!」との声が挙がっていた。
最後には、出演者それぞれからイベントの感想が寄せられた。
榊原ゆい 私は『カオスヘッド』から関わらせていただいているんですが、いっぱい歌を歌わせてもらっていて、12月にはアルバムも出ますので、よろしくお願いします。今後とも作品の応援をお願いします!
いとうかなこ たくさんのラボメンの前で歌えて楽しかったです! ステージ上の生ドラマも見られて、超お得でした(笑)。これからもよろしくお願いします!
志倉千代丸氏 今回、珍しく出演者の男子率が高いイベントで、「男子率が高いとこうなるんだな」って思っておもしろかったです。今後もこういうことをやっていくんで、よろしくお願いします。
関 智一 最初は難しいキャラクターだなってところから入ったんですが、アニメでおもしろさがわかってきたし、終盤の岡部が立ち上がるところは僕も鳥肌が立ちました。噛めば噛むほど味が出る作品です。テレビシリーズは一旦終わってしまいましたが、もしかしたら舞台もあるかもしれませんし、いろいろな可能性がある『シュタインズ・ゲート』を、これからもよろしくお願いします。
今井麻美 2時間弱、楽しく過ごしていただけたんじゃないかなと思っているんですが、なぜか憔悴しています(笑)。もしまたこういう機会があったら、全ラボメンが揃ってのイベントができたらいいなと思います。その際には、皆さんもぜひ遊びに来てください。
宮野真守 皆さん今日は本当にありがとうございました。僕、“シュタゲ”のイベントは初めてで。長いあいだ携わってきて、想いがどんどんこみ上げてきた大事な作品ですので、こういうイベントに出演できてよかったです。今日も何人かオカリンのコスプレをしてくれている方がいて、生で見ることができて感動しました。こんなに好きになってくれた方々の空気を肌で感じられて、とても幸せな時間でした。この幸せな時間をこのイベントで終わらせたくないですし、想像以上の広がりを見せるコンテンツなので、皆さん最後までついてきてください。どうぞよろしくお願いします!
全員のコメントの後は、岡部こと鳳凰院凶真からの「フゥーハハハ、ラボメン諸君よ、もちろんわかっているな? ラボメン諸君の輝しき前途、我らが未来ガジェット研究所が、近い将来世界に混沌をもたらすことを誓って!」という音頭で、会場全員で「エル・プサイ・コングルゥ」を叫び、大盛況のイベントに幕を閉じた。……と思いきや、終了後のナレーションは橋田によるもの。「今日発売されたエロゲなどの置き忘れがないように。忘れたら、僕がもらってペロペロするからね」という、こちらもキャラクターを活かしたものになっている、最後の最後までファンサービスに溢れたイベントになっていた。