9.11はツインタワー爆発崩壊の恐怖映像が瞼に張り付いてますが、パイロット、米連邦航空局(FAA)、北米航空宇宙防衛司令部(NORAD)、テロリストの間に交わされた無線交信記録の声にも底知れぬ恐怖があります。
10周忌を機にあの日の生の声の録音を、ニューヨークタイムズがサイトに公開しました。
ページ左にはタイムライン。下にはテープ起こしの文章。各テープの簡単な解説の後、時刻、発言主の名前、発言内容が記されています。一番上の「Start Playing Audio」をクリックすると再生スタートします。全部聴く時間のない方は発言右端にマウスオーバすると「play」ボタンが出てくるので、それをクリックすると気になる発言に飛ぶ趣向。
「そんな...何かの間違いでしょ、ね?」という最初の反応から、「交信に応えない航空機は直ちに撃墜せよ」という副大統領命令が下る最終シーンまで、どこ果てるともない悪夢が続きます。テープ進行に合わせて右の地図には、交信が繋がっている飛行機の移動ルートが時々刻々と映し出されていきます。
「この声の主のパイロットは最悪の結末になることをまだ知らないのか...」と思うと、なんとも言えない気持ちになりますよね...。
飛行機がハイジャックされたと聞いて思わず「Cool!」と叫んでしまうFAA女性職員の声も後ろに入ってますね...。アメリカ人は緊張が極限になると妙にテンション低い声出したりアホなこと口走ってしまう傾向がある気がするのですが、このテープはモロにそれ。誰も彼もが「これ本当の話ですか?」、「訓練じゃなくて?」と繰り返し確認しているのが印象的です。
絶望的状況に胸が塞がるシーンも...。8:42 空に出動したはいいけど、どこに飛んでいいものか全く分からない戦闘機パイロット
8:46 1機目のアメリカン航空11便がWTCノースタワー突入
9:02 2機目のユナイテッド航空175便がWTCサウスタワー突入
9:07 戦闘機パイロットに「とにかくマンハッタンに飛べ」と司令官
9:28 ハイジャッカーに乗っ取られるユナイテッド航空93便、コックピットから上がる悲鳴
10:14 (93便墜落11分後)「93の現在地は?」「ダウンしたよ」「ダウン?いつ着陸したんですか?」「着陸じゃない」
10:32 副大統領、撃墜命令発令
誰もが置かれた状況の異常性に目覚め、米全土に恐怖が黒雲のように広まっていく、あの1日のことがまるで今のことのように感じられます。10周忌の追悼も大事ですが、このような声を聴くことも「忘れない」という意味では大事ですね...。
[NYT]
Photo: USAF
SAM BIDDLE(原文/satomi)