コーヒーブレイクにお読み下さい。
ケメックス(Chemex)のコーヒーメーカー。多くの人が知っているこのコーヒーメーカー、実はとある科学者によって作られたというのは、なかなか有名な話。ケメックスコーヒーメーカーは、今から70年以上も前にPeter Schlumbohm博士によって発明され、それ以来デザインそのままに現代でも広く親しまれています。
Schlumbohm博士は、300個以上ものマシンの特許を保持していますが、そのうち20アイテムはMoMAのパーマネントコレクション入りしています。その中で彼の作品として最も有名なのが、ケメックスコーヒーメーカー。ネタ元のCWが、そのSchlumbohmとコーヒーメーカーにまつわる話を紹介しています。
Schlumbohmは、フンボルト大学ベルリンにて化学の博士号を取得後、1936年にニューヨークに移住。世界恐慌の最中、彼の友人の多くがアメリカの経済について抗議していた時期からほんの5年後、彼はあのガラスのコーヒーメーカーを開発します。数年以内で特許を取得した後、ケメックスは世界中のデパートや注文カタログにその姿を表すことになりました。彼は、苦みのない完璧なコーヒーを淹れることができるマシンを作りたかっただけではありません。何よりも、ミッドセンチュリーモダニズムを組む洗練されたプロダクトを作り出したかったのです。
Schlumbohmのデザインへのアプローチは、その物のもつ余計な部分を全て取払い、よりよく動くコアの部分だけにするというものでした。近年でいうと、ダイソンの創始者であるジェームス・ダイソン氏のように、不必要な新機能を無駄に搭載することをしないというのがSchlumbohmの求めたスタイル。エレガントさを持って、彼は自分が足を踏み入れた業界そのものに一石を投じたのです。
ケメックスが開発されてから現代まで、当時のデザインのまま今もなお愛されている理由は、彼のそのデザインへのアプローチにあるのでしょう。余計なものを一切排除した、その洗練されたシンプルさ。それはいつの時代の人々にも受け入れられるもの。特に、現代のように様々なものが同時に存在し、ある意味混沌とも言える時代には、尚のこと新鮮味すら与えているのかもしれません。
[CW]
そうこ(LESLIE HORN 米版)