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フリーのゲームライターという時間に縛られにくい職業で、かつ自堕落な筆者が“朝の4時に起きる”というのはだいぶ難しいことでした。しかし、『スプラトゥーン2 先行試射会』を十二分に遊ぶためならば──。積み上がった仕事や睡眠不足など難なく乗り越えられたのです。
『スプラトゥーン2』は、2017年夏にNintendo Switchで発売予定の対戦アクションシューティングゲーム。Wii Uで人気を博した『スプラトゥーン』の続編ということで、2017年3月25日・26日に開催された先行試射会(家から参加できる体験会)にもかなりの注目が集まっていました。今回はそのプレイレポートをお届けします。
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今回の試射会では、4種類のブキとふたつのステージによる「ナワバリバトル」を楽しむことができました。ナワバリバトルは本シリーズの最もオーソドックスなルールで、4対4でイカ(正式名称:インクリング)たちがインクを撃ちまくって戦い、より多くの地面を塗ったチームのほうが勝利となります。
基本的なルールは前作で完成していますが、やはりさまざまな箇所が変化しています。よりインクらしくなったインクの飛び散り表現、ノリの良さはそのままに一新された楽曲、そして本作でバトルをするイカたちも、新たなギア(衣装)を身に着けてよりオシャレになっています。
また、マッチング中にコントローラーをいじると音を出したり曲のピッチを変えられたりと、遊び心も垣間見えました。街中に貼られていたステッカーなど前作でも細かい部分へのこだわりがありましたが、引き続きそういった部分も期待してよさそうです。
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さて、先行試射会における注目はなんと言っても新ブキ「スプラマニューバー」でしょう。前作にも登場したシューター、ローラー、チャージャーも引き続き登場しますが、これまでになかった二丁拳銃というジャンルのマニューバーは実に多くのイカが使っていました。
「スライド」という高速移動でカッコよくインクを撃てるマニューバー、縦振りでこれまでより動きやすくなったローラー、そして「チャージキープ」で急な襲撃もできるようになったチャージャーなど、バトルもかなりの新鮮さです。とはいえ、今回の状況では一番バランスのいいスプラシューターが人気だったようですが。
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スペシャルウェポンは完全に一新されているため、前作のうまいプレイヤーたちですら慣れずオロオロする場面も見受けられました。汎用性が高そうな「マルチミサイル」、窮地に追いやられても周囲の敵を一気に倒せる「スーパーチャクチ」、遠くの壁の向こうから一方的に攻撃できる「ハイパープレッサー」など、どう使うかを考えるだけでも楽しいですね。
ところで、前作の試射会はサーバーダウンなどが発生して混乱が起こりました。もしかしたら今回もそうなるのではと不安視していましたが、少なくとも筆者の環境ではとても快適にプレイでき、自分が試合の途中で回線落ちすることはなかったのです。
あくまで筆者の印象ですが、マッチングにもこだわられているように感じられました。そう感じるのには理由がふたつあり、まず前作のガチマッチと同じように同種のブキがなるべく被らないよう振り分けられているように見えたのです。そして、最序盤のほうは外国人プレイヤーとばかり当たりましたが、しばらくすると回線落ちなどしない安定した日本人プレイヤーのみと当たるようになっていました。
とはいえ、せいぜい6時間の中で筆者が受けた印象に過ぎませんし、このあたりに何か調整が行われていると明言されていないことは留意してください。
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全体的な印象としては、新鮮なのは間違いなくより奥深くなっているように感じられました。前作に比べると操作も複雑で、ローラーは縦と横の振り分けが大事ですし、スペシャルウェポン「ジェットパック」は慣れないとなかなか当てられないでしょう。また、マニューバーは新ブキにも関わらず最も癖が強く難しく見えました。
スペシャルウェポンが一新されたことも気になります。前作には「バリア」「ダイオウイカ」といったプレイヤーが無敵になるものが存在したものの、今のところ発表されているものには同じ系統のものがないようです。無敵系スペシャルウェポンは相手を一方的に倒せるケースがあるため不満の声もあったのですが、これをなくすと純粋な立ち回りの良し悪しや撃ち合いの強さが重要になっていくでしょう。
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また、全般的にインク消費量が激しかったり、敵インクを踏んだ時のスリップダメージが大きく感じられるなど、地面を塗ることをより重視するような調整方針を感じ取れました。これは各々がしっかり塗って相手を牽制する必要があることに繋がり、よりチームワークが大事になると推測されます。
前作『スプラトゥーン』はカジュアルな見た目がウケましたが、根底にあるのはかなりガチな思想の対戦シューターでした。もちろんカジュアルにも遊べるのですが、やりこめば奥はとても深く、それ故に多くの人から支持を得たわけです。
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そして『スプラトゥーン2』は、操作も色々と使い分ける必要があり、個人の技量もより重要になり、もちろんチームワークもさらに肝心になってきそうです。ゲームバランスがより良い方向に調整できていれば、イカたちの熱かったバトルがさらに白熱することでしょう。
しかしより奥深くなるということは、逆にいえば初心者と上級者の溝がより深くなるということです。この点に関しては住み分けができれば問題ないはずなので、マッチングをより厳密にし、近い腕前の人たちが集まれるような環境作りが重要になってくるのではないでしょうか。
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先行試射会で一足先に『スプラトゥーン2』を体験したわけですが、どの面から見ても正統進化と言える出来栄えであると言えそうです。これまでのブキはどうなるのか、ルールはどういったものかなど気になる点もありますが、楽しみなのは間違いありません。2017年夏の発売日が実に待ち遠しい一作です。
(C) 2017 Nintendo