情報処理学会は4月2日、コンピュータ将棋でトッププロ棋士との公開対局を求める挑戦状を日本将棋連盟に送った。日本将棋連盟もこれを受諾、清水市代女流王位・女流王将を対戦相手とすることを明らかにした。対戦は今秋に実施予定。
情報処理学会から日本将棋連盟に送られた挑戦状
日本将棋連盟の返答。挑戦を受ける姿勢だ(いずれも出典は情報処理学会)
1997年、当時チェスの世界チャンピオンであったガルリ・カスパロフ氏がIBMのスーパーコンピュータ「Deep Blue」と対戦し、Deep Blueの2勝1敗3引き分けとなったことをご記憶の方もおられるだろう。すでにチェスの世界ではコンピュータがプロのトップレベルを打ち破っているが、チェスと比較すると、将棋は取った駒を持ち駒として再使用できるというゲーム特性から指し手の選択肢が多く、コンピュータ将棋はまだプロのトップレベルの実力には達していないと考えられている。
プロのトップレベルにコンピュータ将棋が勝つのは2015年ごろではないかと予測する識者もいるが、今回、情報処理学会は、「漸くにして名人に伍する力ありと情報処理学会が認める迄に強いコンピューター将棋を完成致しました」(原文ママ)と確かな自信を持ってこの挑戦状を送ったようだ。
今秋に実施される予定の対局では、コンピュータ将棋のソフトウェアに合議アルゴリズムと呼ばれる方針を採用する予定。これは、複数のソフトウェアを疎結合で並列計算させ、それらを集約して、次の一手を決定する手法。具体的なソフトウェアとしては、2009年の世界コンピュータ将棋選手権で優勝した「GPS将棋」のほか、Bonanza、激指、YSSなど世界コンピュータ将棋選手権で優勝経験があるソフトウェアの名が挙がっている。また、計算を行うハードウェアは、東大、京大、筑波大などの並列処理大規模計算機環境のグリッドを使う方向で検討しているという。
日本将棋連盟は2005年、公の場で許可なくプロ棋士がコンピュータと対局することを禁止している。この公開対局の行方がどのようになるか、注目したい。
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