前回、「MacBook Pro Retinaディスプレイモデル」とともに登場した「新型MacBook Air」をレビューした。OS X LionおよびWindows 7環境下でベンチマークテストを実施した結果、Sandy Bridge世代の前機種に比べて性能は順当にアップしていることが分かった。ただ、今後ディスプレイの高画素密度化がよりいっそう進むことを考慮すれば(すでに11インチクラスでフルHD液晶を搭載した製品も出始めている)、新型への乗り替えを検討すべきは、Sandy Bridge世代のMacBook Airユーザーではなく、2世代前(Core 2搭載モデル)のユーザーだろう、というのが前回の結論だった。
とはいえ、常に最新機種を購入する余裕があるのなら、主にシステムパフォーマンスの面で新モデルに乗り替えるメリットはある。ただし、そこで気になってくるのが性能以外の部分だ。今回は追補編として、新旧モデルのアーキテクチャの変更により、マシン使用時の発熱状況がどう変わったのかを見ていくことにする。
評価に使用したのは、新型11インチMacBook Air(MD224J/A)と新型13インチMacBook Air(MD232J/A)で、比較に2011年発売の11インチMacBook Air(CTO)と13インチMacBook Air(MC965J/A)、および2010年発売の11インチMacBook Air(CTO)を並べている。測定器はおなじみのNECAvio赤外線テクノロジー製赤外線サーモグラフィ装置「InfReC Thermography R300」だ。なお、比較対象として挙げた旧機種のCTOモデルは、スペックをハイエンド構成で固めているので、結果は参考程度に見てほしい。
型番 | 新型11インチMacBook Air(MD224J/A) | 旧型11インチMacBook Air(CTO) | 11インチMacBook Air,Late 2010(CTO) | 新型13インチMacBook Air(MD232J/A) | 旧型13インチMacBook Air(MC965J/A) |
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CPU | Core i5-3317U(1.7GHz/最大2.6GHz) | Core i7-2677M(1.8GHz/最大2.9GHz) | Core 2 Duo SU9600 (1.6GHz) | Core i5-3427U(1.8GHz/最大2.8GHz) | Core i5-2557M(1.7GHz/最大2.7GHz) |
アーキテクチャ | Ivy Bridge(22nm) | Sandy Bridge(32nm) | Penryn(45nm) | Ivy Bridge(22nm) | Sandy Bridge(32nm) |
CPUコア数/スレッド数 | 2/4 | 2/4 | 2/2 | 2/4 | 2/4 |
TDP | 17W(CPU+GPU) | 17W(CPU+GPU) | 10W(CPU) | 17W(CPU+GPU) | 17W(CPU+GPU) |
メモリ | 4GB(1600MHz DDR3) | 4GB(1333MHz DDR3) | 4GB(1066MHz DDR3) | 4GB(1600MHz DDR3) | 4GB(1333MHz DDR3) |
ストレージ | 128GB SSD | 256GB SSD | 128GB | 256GB SSD | 128GB SSD |
グラフィックス | Intel HD Graphics 4000 | Intel HD Graphics 3000 | GeForce 320M | Intel HD Graphics 4000 | Intel HD Graphics 3000 |
NECAvio赤外線テクノロジーの「InfReC Thermography R300」は、研究開発や高度な診断・検査向けの赤外線サーモグラフィー装置だ。
測定温度範囲はマイナス40度〜500度(2000度までオプションで対応)、温度分解能0.03度、空間分解能1.21mradと、クラス最高水準の画質と感度を実現している。ホールドしやすい約105(幅)×193(奥行き)×121(高さ)ミリのボディに、チルト調整や反転表示が可能な3.5型の液晶モニタを搭載。記録メディアにはSDメモリーカードを採用し、動画撮影も可能だ。熱画像、可視画像、合成画像の動画を同時に撮影できる。
メーカー:NECAvio赤外線テクノロジー
今回の測定では、OS X起動30分後(アイドル時)、連続動画再生30分後、ベンチマークプログラム(CINEBENCH 11.5)連続実行時30分後の3パターンで、キーボード面と底面の最高温度/最低温度を計測している。室温は約28度だ。
下の画像で示したサーモグラフィ装置の計測グラフは、下限を24度、上限を45度にそろえている。低温から高温になるにつれて、黒、青、緑、黄、赤、白と色が変化し、それぞれの環境で最も高温な点と最も低温な点は画像内に明示した。それでは結果を見ていこう。
OSを起動して30分間アイドル状態が続いたときの発熱状況は、11インチモデルの最低点が24.8度、最高点が29度、13インチモデルの最低点が24.4度、最高点が28.3度とほとんどを熱を帯びず、むしろアルミボディが冷たく感じられる。旧世代のモデルはこれよりもわずかに温度が高い傾向にあるが、それもまったく気にならないレベルだ。騒音計を用いた測定(環境騒音27デシベル)でも30デシベルを下回っており、ほぼ無音に近い。
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