エプソンは8月21日、ビジネス向けのA4インクジェットプリンタ/複合機のラインアップに9機種を投入した。製品の主な仕様と価格は既報の通りで、こちらの記事を参照していただきたい。
製品発表会では、エプソン販売 取締役 販売推進本部長の中野修義氏が、ビジネスプリンタの市場について「ビジネス向けインクジェットプリンタ、複合機の売り上げが伸びている」と述べた。
エプソンは2011年に、ブラザーの独占状態にあったA3インクジェット複合機カテゴリの製品を投入した。その際は、シェア51%以上を目標としていたが、2011年下期にはA3インクジェット複合機のシェアは約58%になったという。市場規模も2倍以上にふくれあがった。中野氏は市場が拡大した要因について「2社が競合したことにより市場が活性化した。製品の認知が広がれば、売り上げはまだまだ伸びる」(中野氏)と述べた。
スマートフォンやクラウドとの連携も強化する。従来からエプソンは、写真やドキュメントをメールに添付し、プリンタのメールアドレスに送ると印刷できる「メールプリント」機能や、スマートフォンに保存した写真やドキュメントの印刷などができる「Epson iPrint」機能を同社製のプリンタに搭載していたが、今回の新製品では、Web経由で印刷指示が出せる「リモートプリンタドライバー」機能、スキャンした原稿データをクラウドストレージへアップロードしたり、別のプリンタ(メールプリント対応の機種)に送信してFAXのように印刷できる「メールdeリモート印刷」機能を加えた。
エプソンは今回の新製品発表を機に、これらのネットワークに接続しているプリンタと端末を結ぶ機能の総称を「Epson Connect」と名付け、認知拡大を図る。「いつでもどこでも、さまざまな端末を使ってコンテンツを印刷できる」(中野氏)ことが目標だ。これにより、ビジネスにおける利用シーンを拡大するという狙いがある。
新製品の性能について説明したセイコーエプソン プリンター企画設計部 部長の和田高一氏は、製品の改良点について、堅牢性/耐久性の向上やファーストプリントの速さを説明した。
堅牢性については、従来チルト角度の調整に対応した操作パネルを本体に固定させたほか、排紙トレイの部品数を減らすなどして(4段から3段に)、強固な構造を採用したという。耐久性向上については、各部品の見直しや、印刷時にインク滴が内部のセンサーに付着しないようにすることで実現したとアピールした。ファーストプリントや印刷の速さについては、インクの定着時間が他社より短く、乾燥する時間が早いためだと説明した。「特に両面印刷時に差が出る」(和田氏)という。
最後に新製品の販売戦略について、エプソン販売 OP MD部 部長の鈴村文徳氏が説明した。「インクジェットプリンタは“本体価格が安い”というイメージは定着しているものの“ランニングコストが安い”ことについては認知度が低い」(鈴村氏)という。レーザープリンタと比較してランニングコストが半分になると訴求しつつ、ビジネス用のプリンタについて、レーザープリンタとインクジェットプリンタのカタログを統合し、ユーザーが両者を比較しやすいようにする(スペック表記も合わせる)という。
販売目標については、ビジネス用のインクジェットプリンタのシェアを50%以上(60万台程度、2012年度において)にすると明言。また、A4サイズのFAX機能付きプリンタのシェアを広げることを宣言した。「高価格帯の製品はうち(エプソン)も多く出しているが、主に売れているエントリー向けの価格帯については、ブラザーさんの独占状態となっている。今回の新製品は、エントリー向けのFAXプリンタのシェアを獲得することも目的」(鈴村氏)だという。こちらは現在約19%となっているシェアを55%まで引き上げることが目標だ。
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