ソニーは9月3日、電子書籍リーダー最新モデル「PRS-T2」の国内発売を9月21日から開始することを正式に発表した。海外では8月に発表・販売開始となっており、すでにハードウェア仕様も明らかになっているが、国内モデルではどのようになっているのだろうか。PRS-T2の実機(評価機)での「開封の儀」と実機レポートを最速でお届けしたい。
この評価機は米国販売モデルではなく、国内向けモデル。ただ、特別に貸し出しを受けた端末のため、本稿執筆時点(8月末時点)では端末登録やストア機能など一部機能が利用できなかった。よって本稿では、端末の機能や使い勝手にフォーカスした内容をお届けし、そのほかの部分はPRS-T2発売後に改めて紹介したい。評価機を用いているため、発売時点での仕様や挙動とは異なる可能性があることはあらかじめご了承いただきたい。機器情報を確認すると、バージョンは「1.0.00.08020」となっている。
なお、筆者は先日、楽天の「Kobo Touch」を購入したばかりだ。同製品は本体サイズや解像度、電子ペーパーディスプレイなどPRS-T2との共通項が多く、競合製品に当たる。Kobo Touchは、楽天レビューが炎上後不可視状態にされたり、ストアに(出版社刊行の)日本語書籍が少ないなどさまざまな問題もあるが、専用端末としての実力はかなりのものだ。また、7980円という挑戦的な価格も、競合他社にとっては脅威だ。
PRS-T2は、米国などでは129ドルで販売されているが、日本では9980円で発売されることが発表された。現在の為替レート(1ドル78.5円)で換算すると1万円以上でも不思議はないのに、あえてこの価格での販売に踏み切ったのは非常に意義深い。ちなみに、先代モデルの「PRS-T1」が米国では149.99ドル、日本では19800円で販売(現在は値下げされ14800円)されていたことを考えても、この価格戦略はまず評価したい点だ。
PRS-T1では用意されていたオーディオ端子(ヘッドフォンジャック)はPRS-T2では非搭載となった。電子書籍専用端末という位置づけの中、「音楽を聴く」という機能がどの程度使われていたか分からないが、旧モデルにあった仕様を削るというのは勇気の要る判断だと思う。
PRS-T2とその先代モデルの「PRS-T1」、そして楽天koboの「Kobo Touch」のスペックを比較したものが以下の表だ。サイズとしては一般的な新書サイズとほぼ同じで、それでいてそうした新書よりも軽量だ。
スペック | PRS-T2 | Kobo Touch | PRS-T1 |
---|---|---|---|
幅 | 110ミリ | 114ミリ | 110ミリ |
奥行き | 173ミリ | 165ミリ | 173.3ミリ |
厚さ | 9.1ミリ | 10ミリ | 9.6ミリ |
重さ | 164グラム | 185グラム | 168グラム |
解像度 | 600×800 | ||
画面サイズ | 6型 | ||
ディスプレイ | 電子ペーパー16階調グレースケール | ||
タッチパネル | クリアタッチパネル(光学式) | ||
オーディオ再生 | - | - | 対応 |
内蔵メモリー | 2Gバイト | ||
使用可能領域 | 1.3Gバイト | 1Gバイト | 1.4Gバイト |
外部記憶装置 | microSD/SDHC(最大32Gバイト) | ||
通信方式 | IEEE 802.11b/g/n | ||
バッテリー持続時間(メーカー公称) | Wi-Fiオフ時:最長2カ月(1日30分)・最長1.5カ月(1日60分)/Wi-Fiオン時:最長3週間 | 約1カ月 | Wi-Fiオフ時:最長5週間(1日30分)・最長1.5カ月(1日60分)/Wi-Fiオン時:最長3週間 |
対応ファイル形式(電子書籍) | 配信コンテンツ(.mnh)、XMDF(.zbf)、ドットブック(.book)、EPUB(.epub)、PDF(.pdf)、Text(.txt) | EPUB(.epub)、PDF(.pdf) | 配信コンテンツ(.mnh)、XMDF(.zbf)、ドットブック(.book)、EPUB(.epub)、PDF(.pdf)、Text(.txt) |
対応ファイル形式(画像など) | JPEG(.jpg、.jpeg)、GIF(.gif)、PNG(.png)、BMP(.bmp) | JPEG(.jpg、.jpeg)、GIF(.gif)、PNG(.png)、BMP(.bmp)、TIFF(.tiff)、CBZ(.cbz)※いずれも非公式 | JPEG(.jpg、.jpeg)、GIF(.gif)、PNG(.png)、BMP(.bmp)、MP3(.mp3)、AAC(.mp4、.m4a) |
価格(本稿執筆時点) | 9980円(米国129ドル) | 7980円 | 14800円 |
こうしてスペックを比較すると、PRS-T2は「とにかく薄く、軽く」を追求した端末ということなのだろう。ただ、薄く・軽くしながらも、バッテリー持続時間(メーカー公称)はPRS-T1より延びている。全体的に、PRS-T1のデザインを進化させ、より読みやすさを追求したデザインになっているといえる。
クイックスタートガイドに記載されている手順では、端末をUSBケーブルでPCへ繋ぎ、時刻を設定した後、PC専用ソフトウェアのインストール、製品登録と機器認証となっているが、冒頭に触れた通り、本稿執筆時点では製品登録や機器認証ができなかった。また、端末からReader Storeの利用もできなかったため、購入や書籍のダウンロードを試すことはできなかった。この部分は端末発売後に追って紹介したい。
設定には、端末のパスワードロックや、スタンバイ画面の画像(初期状態では、最後に読んだ書籍の表紙)、標準文字サイズやページめくり方向、画面のリフレッシュを毎ページ行うかどうかなどがある。
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